ロードヴェイク・モルテルマンス(Lodewijk Mortelmans)ベルギー国民楽派 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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※画像はフランダースフィールズ第33集(後述)より

 

ロードヴェイク・モルテルマンス

Lodewijk Mortelmans(1868-1952)

 

アントウェルペン(Antwerpen)生

アントウェルペン(Antwerpen)歿

若い頃より、聖歌隊員や打楽器奏者として活躍。

ベルギー国民楽派の祖であるペーテル・ブノワ(Peter Benoit, 1834-1901)に学ぶ。

1893年に、ベルギーローマ大賞(Prix de Rome)受賞。

フランドル王立音楽院(Koninklijk Vlaams Muziekconservatorium)にて、

1901~1924年に教授を務め、

1924~1933年には運営者となった。

友人に、ポール・ジルソン(Paul Gilson, 1865-1942)や

ジョゼフ・ジョンゲン(Joseph Jongen, 1873-1953)

アウフスト・ドゥ・ブック(August de Boeck, 1865-1937)

ギヨーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870-1894)

ウジェーヌ・イザイ(Eugène Ysaÿe, 1858-1931)などがいた。

彼の門下からは、

ロードヴェイク・ドゥ・フォフト(Lodewijk de Vocht, 1887-1977)

マリニュス・ドゥ・ヨング(Marinus de Jong, 1891-1984)

イェフ・ファン・ホーフ(Jef Van Hoof, 1886-1959)などの才能が輩出された。

ジルソンをして「フランドル歌曲の王子」(De prins van het Vlaamse lied)と言わしめた。

19世紀フランドルの偉大な詩人、ヒド・ヘゼレ(Guido Hezelle, 1830-1899)の詩による

数多くの歌曲を作曲した。

 

ブノワ、ブロックス、ブック等と

ベルギー国民楽派の作曲家を色々と見てきたが、

それぞれが個性的に輝いている。

で、モルテルマンスだが、彼はとりわけ、

美しい旋律美に彩られた曲を作る事に専念した作曲家であった。

 

ブノワには時々泥臭い様な荒々しい描写が見られ、

ブックには印象派的な崩れた感じの描写が時々見られる。

 

しかしモルテルマンスには、そういった「美しくない」描写が、

私の聴いた限りでは見受けられなかった。

それだけではなく、何となく

ベルギーの田園風景でも思い浮かべてしまいそうな作風なのである!!

完成されたベルギーロマン派とでも言えようか。

 

また、彼と、

兄のフランス・モルテルマンス(Frans Mortelmans, 1865-1936)

の二人を記念した財団のHPも存在する。

フランスは、ベルギーを代表する画家の一人であった。

ロードヴェイク&フランス・モルテルマンス記念財団HP

何と嬉しいことに、日本語によるプロフィール紹介記事もある。

が、日本語がちょっと変。

日、蘭、英、仏、独の5カ国語である。

因みに、HPトップで流れるピアノ曲は、

「コウライウグイスとヒバリ」(Het Wielewaalt en Leeuwerkt, 1921)

である。

 

名前の表記についてだが、

以前は「ロデヴェイク」と表記していたけれど、

どうやら「ロードヴェイク」の方が、原音に近いようだ。

 

英語には、発音し易い様に、

表記から発音が変化するという事が起こったりする。

例えば、語尾の「d」が、単語によっては「t」になったり「d」になったりする。

 

オランダ語も、英語の様に、発音し易い様な音に変化したりする。

例えば、一人称の「Ik」が、

言葉の流れで「イグ」という風に、「k」の発音が濁ったりする。

実際、その様に発音した方が、発音し易い。

 

また、語中の「e」も、英語の様に、曖昧母音「ə」になったりする場合もある。

それから、上述の記念財団でも「ロードウェーク」と表記されている。

そういった事を踏まえ、「ロードヴェイク」と表記する事に決めた。

が、検索用に「ロデヴェイク」とも打ち込んでおく。

 

 

 

歌劇「海の子供たち」より

オープニング

「夜明けと日の出」

In de openingsscène

'Dageraad en Zonsopgang'

Opera 'De Kinderen der Zee'(1901-1915)

海に於ける夜明けと日の出、及び、海の波の細かい動きが管弦楽で

美しく描写されていると思う。

それから、フワッとした様な優しい感じが、

ベルギーの田園風景を彷彿とさせる。

 

管弦楽だけの描写が長く続くが、それが終わって混声合唱が始まると、

そのフレーズが何とも言えない。

ベルギーロマン派とでも言うべき、

ドイツロマン派によくありがちな「マンネリっぽさ」が全く感じられない、

美しい瞑想的牧歌的且つ海の雄大さも感じる旋律。

 

私は、昔の丁寧にアニメが作られていた頃の、

東映長編アニメ映画辺りに使えそうと思った。

 

 

 

ミニョンの歌「君よ知るや南の国」

(ソプラノと管弦楽)

Lied van Mignon

(Kennst du das Land)(1906)

ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832)の

「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」

(Wilhelm Meisters Lehrjahre, 1796年発表)

に登場する少女の歌に作曲したもの。

日本語の題名は、森鴎外によるもの。

聴く者を引き込む情感溢れる描写力が見事!!

テンポを一瞬止める「溜め」描写が何とも言えない!!

 

 

 

交響詩「朝の気分」

Symfonisch gedicht

'Morgenstemming'(1922)

出だしに登場するメロディが、

「ドラえもん」のOPの出だしである「こんなこっとい~いなッ!!」や

NHK教育テレビの小学生ドラマ「みんななかよし」のOPの出だしである

「くっちぶ~えふ~い~て~!!」のフレーズにちょっと似ている。

このフレーズは何度も登場するので、かなり印象的。

 

ホルン等によって奏でられるほのぼのした柔らかい雰囲気なので、

「ドラえもん」がどうしても頭に浮かんでしまう。

 

「みんななかよし」で分からなければ

「『さわやか三組』の前身」と言えば分かると思う。

題名通り、朝の清々しい雰囲気が見事に音によって活写されている。

優しい雰囲気であったり感動的な雰囲気であったり、感情が豊かだ。

NAXOS音楽配信サイトで聴く

 

 

 

交響詩「ヘリオス」

Symfonisch gedicht 'Helios'(1894)

ギリシャ神話の「ヘリオス」を題材に取った作品。

初期の作品だけあって、ヴァーグナーからの影響が見受けられる。

が、管弦楽書法はしっかりしているうえ、劇的雰囲気が素晴らしく、

内容のバランスもいい。

 

 

 

哀歌第1番「インメモリアム」

Elegie Ⅰ'In memoriam'(1917)

彼の代表作のようである。

何故なら、この曲の収録されたCDの種類が多いからである。

彼の妻と2人の子供の死を悼んで作曲したという。

 

薄暗い夕暮れ時のベルギーの田園風景の中で鬱々と物思いに耽る・・・、

そんな雰囲気。

 

テンポの遅い曲というのは、

往々にしてメロディラインを憶えにくく退屈さを感じるものがある。

が、この曲は特徴的な雰囲気なので、聴いていて退屈ではない。

というか、昔何処かで聴いたような「デジャビュ」なものも感じる。

実はこの曲には、同年作曲された姉妹曲があるのだが、

それについては別の機会に・・・。

NAXOS音楽配信サイトで聴く

YouTubeで聴く

※追記:姉妹曲「哀歌第2番」も「どこかで聴いた感」が凄くある?

 

 

 

交響詩「春の神話」

Symfonisch gedicht

'Mythe der Lente'(1895)

初期の作品。

出だしの雰囲気が、

いかにも何処かで聴いた感じの「デジャビュ」っぽいものを感じた。

第一主題も聴き憶えがあるような・・・。

 

アニメとかテレビコマーシャル辺りに実際使用されてなかったか?

春のポカポカしたほのぼのな感じ。

グラズノフの音楽絵画「春」作品34(1891)にも似ている。

後半辺りは、春の訪れをファンファーレ風に力強く歌い上げている。

NAXOS音楽配信サイトで聴く

 

 

 

フランダース・フィールズ第33集

In Flanders' Fields Vol. 33

ロードヴェイク・モルテルマンス管弦楽作品集

ソプラノ:ニーナ・ステンメ (Nina Stemme)

フランドル放送合唱団(Vlaams Radio Koor)

フランドル放送管弦楽団(Vlaams Radio Orkest)

指揮:ジョルト・ハマル(Zsolt Hamar)

BRTNフィルハーモニー管弦楽団

(BRTN Filharmonisch Orkest)

指揮:フェルナン・テルビ(Fernand Terby)

【PHAEDRA DDD 92033】2003

※表紙に使用されているのは、フランス・モルテルマンスの絵である。

ここに紹介した曲全て収録。

 

 

 

ベルギーロマン派管弦楽作品集第1集

Romantic Orchestral Music by Flemish Composers, Vol. 1

指揮:スィルフェール・ファン・デン・ブルック

(Silveer van den Broeck)

演奏:VRTフィルハーモニー管弦楽団

(VRT Filharmonisch Orkest)

【MARCO POLO 8.255100】1999

※「インメモリアム」収録

 

 

 

ベルギーロマン派管弦楽作品集第2集

Romantic Orchestral Music by Flemish Composers, Vol. 2

指揮:スィルフェール・ファン・デン・ブルック

(Silveer van den Broeck)

演奏:VRTフィルハーモニー管弦楽団

(VRT Filharmonisch Orkest)

【MARCO POLO 8.255101】1999

※「春の神話」収録

 

 

 

【追記:2020.4.16】

肖像画像追加

YouTube埋め込み、及び、リンク貼り

CD画像(3枚)差し替え

マリナス・ドゥ・ヨング → マリニュス・ドゥ・ヨング

フェルナン・テルビー → フェルナン・テルビ

ゾルト・ハマリ → ジョルト・ハマル

綴りからして明らかに「ジョルト・ハマル」なのだが、

何故「ゾルト・ハマリ」なのかは今となっては不明。