ネガティブフィードバック する側 される側 | 桜井妙の「新ストレスと怒りの調理法」

桜井妙の「新ストレスと怒りの調理法」

★職業:講師 ★専門:ストレスマネジメント アンガーマネジメント コミュニケーション危機管理 ★特徴:「あたま・こころ・からだ」をととのえる ★㈱コミュニケーション・デザイン結 代表

仕事でも家庭でも
言いたくないことを言わなければいけないシーンが多々あります。
欠点や失敗を修正するためのアドバイスは必要不可欠です。

アドバイスをフィードバックと言うことが多くなりました。
フィードバック(FEEDBACK)は、結果と原因の因果関係を見直すために
こういう結果を感じますと伝えるのが目的です。

アドバイスもフィードバックも感覚的には同じようなものですが
効果的に機能している場合と、機能していない場合があります。

正のフィードバックと不のフィードバックがあります。
前者は生産性が促成し
後者は生産性が抑制されます。

工業用語から生まれた言葉なので
生産現場ではどちらも必要です。

この言葉がビジネスの人材育成のシーンでも使わるようになり
私には違和感があるときがあります。
いわゆる欠点を修正するために伝える
ネガティブフィードバックのときです。

もちろんよくなって欲しいからこそ伝えるのですが
人間関係が構築されてない状況
あるいは受け手からフィードバックくださいとお願いしていないのに
一方的に否定的な評価を送る場合

効果は逆に作用するような気がするからです。

例えば

「あなたの行動は●●だから、絶対に大きな失敗をします。
だから△△しなさい。」という指摘の場合。

分かりやすく書けば
「あなたがお酒を飲んで運転するのは危険だから、絶対に大きな事故を起こします。
だからお酒は止めなさい!」と指摘されたとしても
「はい!分かりました」にはなりません。

しかし、一回でも事故を起こしたら
誰からも指摘されずに人は飲酒運転を辞める筈です。

義父はヘビースモーカーで毎日ピース60本吸っていて
家族から健康を心配され多くのアドバイスやフィードバックを何度も受けましたが
禁煙はしませんでした。

そんな義父は肺がんだと分かった瞬間、80才を超えていましたが
あっさり禁煙をしました。
人は自分で納得したら、ポジティブな未来を掴むために
どんな苦しいことも乗り越えるのだと見ていて理解しました。

自分で腑に落ちて分かった瞬間。
自分で望んだ瞬間。

ネガティブフィードバックは
このどちらかの前提条件がなければ

<する側>がいくら熱心でも、<される側>は
耳も目も心も閉じて受け付けないような気がします。

自分が望んでいないときは
否定的な言葉に強いショックを受け、
モチベーションが大きく損なわれます。

モチベーションがなくなり
それ以降のアドバイスはもはや実行する気持ちにならない。

選択理論心理学のグラッサー博士は
苦痛感情は否定的価値を生み出し
どうやったらこの苦痛を感じないようにするか行動する。
と説いています。

ネガティブフィードバックは
とても慎重に、そして心からの愛情を伴い
相手が変わりたいと思い、自らマイナスの評価も聞ける状態に
自分からなっていないときは・・・

自分に対してネガティブフィードバックばかりくれる人とは
もう接したくないと思います。

あるいは、負の感情に取り込まれ自信をなくし
人格全てを否定されたように感じメンタルヘルスに影響がでます。

自己肯定感が低くなり、
自己承認が出来なくなり鬱症状も起こします。

これは、私自身が過去に体験したことです。

息子のためにと思って母親に言ったお医者様の言葉は
私を追い詰め、私の人格が粉々にくだけていき
母親としての自信を完全に喪失し、心が暗闇に堕ちていきました。

私は自分の目の前の結果は自分が原因だと思う性格ですから
先生の口から出る否定語の全ての責任を自分で受け止め
自分で自分を傷つけていきました・・・。

この時の経験から
私は一方的に評価をする人がとても苦手で
ネガティブ思考やネガティブな言葉を感じた瞬間。
一瞬で心が閉じてしまうのです。

しかし、信頼している方や愛情を深く感じるような
ポジティブな未来をしっかり確信できるネガティブフィードバックは
自分から受けることを望み、耳も目も心も言葉を受け入れます。

私は人にコントロールされたくないので
最終的に自分のことは自分でやりたい性格であり
フィードバックも自分で受けると決めて覚悟を持ち
必ず実行したいのかもしれません。

心の準備のないときに
一方的にネガティブな評価は与えても効果がなく

本人はそれを望んでいるか否かの確認と
かならず論理的にポジティブな結果に導けるよう

する側は、納得させるスキルと
相手を思う愛情があるか否か

これが重要なポイントではないでしょうか。

私のフィードバックは愛があるか、覚悟があるか。
私のエゴや私の偏った価値観から言ってないか。

いつも人の心の弱さを意識して
押しつけにならないようにしなければと
自分の苦しかった経験を想いだし

私はいつもそうしているだろうか・・・・と

今日は自分のためのメモとして残したいと思います。