精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木メンタルクリニック」を舞台にした連作短編集

 

 

クリニックにやってくる人達は、みんな一生懸命で頑張りすぎていて。無理を重ねた結果、心が疲れ切って、限界を超えてしまったのだなと。


決して特別な事ではなく、誰もがその立場になってもおかしくない。



作中でさおり先生が言う


「人間は完全な丸じゃないし、誰だってどこかが欠けているものなの」


この言葉に救われるし、小説のタイトルにつながってるのかなと思った。


また、表紙のタイトルのロゴの文字が、よく見ると少し欠けていて。

うまいデザインだなと思った。



さおり先生が

あるクライアントにかけた言葉

「生きているだけで百点」

とてもありがたく、深く沁みる(´艸`*)


一生懸命に生きている誰もが、ちょっと心が疲れた時に気軽に寄れるような場所の「椎木メンタルクリニック」

こんな場所があったらなと思う。


また、避難所みたいな人や場所をいくつか作るのも大事かもと思った。


自分を責めがちな、真面目すぎて、自分に厳しすぎる人達に寄り添い、そっと力づけてくれるような話だと感じたニコニコ

 

 


~心に残った言葉~

 

「これからは自分のできたところを加点方式で褒めてあげてね。うつになってしまう人は、まじめすぎて自分に厳しすぎて、つい減点してしまうのね。どんなことでもいいの。顔が洗えただけでも一点。ベッドが整えられただけでも一点。……それに本当は篠原さんが生きているだけで百点なんだよ」

 

完全な丸なんてもう目指さない。僕は欠けた月のまま、生きていくのだ。欠けた場所にはきっと真美が光を投げかけてくれる。真美に欠けた部分なんてあるとは思わないけれど、もし、あるとするのなら、僕が光を投げかける。

 

「強い人なんていないよ、麻美さん。みんな、いろんなことでぺしゃんこになって、心も折れて、そういうときは、こういうところで少し心を休めて、また歩き出していく。休み、休みでいいじゃない、人は一人じゃ生きられない。でも、身近なところで誰かに頼れなくても、私たちみたいな人もいる。そういうときは誰かを頼っていいんだよ」

 

「人生ってね、何度でも、どこからでも、もう一回始まられるんだよ」

 

人は自分の内側に入ったまま、外に出られなくなってしまうときがある。(中略)けれど、時期が来れば人は自分の殻をそっと壊して外に出てくる。

 

「でも、うまくいかないことのほうが多くないですか?悲観論者みたいに思われるかもしれないけれど、世の中って、人の人生って、人の心をくじくようなことばっかり起こるんだもの」