今のご時世、確定拠出年金の運用が厳しいのは、ある程度仕方がありません。



本日の日経新聞の夕刊に、確定拠出年金の加入者のうち、今年9月末時点で元本割れに陥っている人の割合が約6割にのぼる旨の記事がありました。



世界的な株安が響き、半年前の約4割から急拡大。




国民年金等の公的年金だけではなく、加入者が自ら運用責任を負う確定拠出年金でも運用難が深刻化しているといえます。






給与制度のコンサルなんかをしていると、今まであまりなかった、新しい形の確定拠出年金に出くわすことがあります。



それは通常であれば企業が掛け金を支払うのが「企業型年金」たる確定拠出年金なのですが、今支給している基本給等の一部を削って、掛金とするもの。



ある意味、会社ではなく、社員が掛金を拠出する確定拠出年金といえるかもしれません。



具体的には、希望する社員に、基本給(等)から掛金をいくら拠出するか選択してもらい、給与上は、その額を基本給から削って「ライフデザイン手当」という名目で支給する形にして、確定拠出年金の掛金にまわします。





会社と社員の双方で拠出する、いわゆる「マッチング拠出」とも違いますよね。



会社側としてのメリットとしては、この拠出額分は、社会保険料の対象とならないとのことなので、社会保険料の負担を減額させることができます。



てことは社員数が多い企業ほど、メリットは大きいことになります。



一方社員側としては、「ライフデザイン手当」の額は給与所得とは見なされない為、今までより課税対象額が減ることにより税金上のメリットがあります。



ただ、注意しなければいけないのは、老齢厚生年金は、平均標準報酬月額を用いて計算されますので、報酬額が減額となるということは、将来の厚生年金の額に影響するということ。



もちろん、長生きする人、しない人で損得が変わるのは、通常の年金と同じですけどね。







福利厚生として、この形の確定拠出年金の制度をうたっている会社もあるようです。



確かに、社員が自分の退職後の生活を考える上でのオプションの一つを会社が提供するという意味では、福利厚生であるといえるでしょう。



ただ、年金を絡めて考えれば必ず得するものとはいえませんので、そこはあくまで自己責任。



万一私傷病になった場合に受給できる傷病手当金等も、標準報酬月額から計算されますので、受給額見込額は制度導入前より減ることになります。



とはいえ、上の方では、受給者年齢を上げるとか、主婦年金の見直しとか、公的年金ですら迷走している状況ですから、自己責任で考えることができるという点では、この形の確定拠出年金は納得できるものかもしれませんね。









でも、まぁ一番悩ましいのは、次から次に出てくる制度に対し、勉強しつづけなければいけない私かもしれません。(笑)





ん!がんばれ、自分!!













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ヒートアップした大阪W選挙から1週間経ちました。

橋下新市長は、約2400億円にのぼる大阪市の人件費削減を掲げています。
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111204-OYO1T00155.htm?from=top

また、大阪維新の会府議団が提出した職員基本条例案は、府職員の人事評価に5段階の相対評価を導入し、2年連続で評価が最低ランクの職員は免職の対象とするほか、同一の職務命令に3回違反した場合は原則免職とすることなどを定めています。
http://www.asahi.com/politics/update/1128/OSK201111280191.html


以前、このAmebaを運営するサイバーエージェント社も、以前「ミスマッチ制度」と命名した人事制度を導入するとしてニュースになったことがあります。

「ミスマッチ制度」とは何かというと
「業績評価の下位5%をD評価とする」
「D評価2回でレッドカードとなり、退職勧奨か部署の異動かを選ばせる」といったもの。
 
つまり、組織から与えられたミッションに対し、期待されたパフォーマンスを出せないと「ミスマッチ」と判断され、
「いまの職場では活躍が難しそうなので、別の職場を考えた方がいい」と職場を離れることを勧められるそうです。
http://www.j-cast.com/2011/10/14110058.html?p=all
 
なるほど、これでうまくいくのなら問題社員を制度に則って、都合良く退職してもらうことができるのかもしれませんし、整理解雇の4要件の一つ”被解雇者選定の合理性”に当てはめることができるのかもしれません。



ただ、大阪維新の会も、サイバーエージェントも、人事評価の在り方はどうなっているのでしょうか?

人事評価は、えてして相対的評価です。

相対評価の難しい問題として、能力差がそれほど無くとも、ランクをあえて付けなければいけないという点があります。

つまり常に一定割合の数の下位者が必要なのです。

そして、ランク下位の社員が順次、退職や異動でいなくなるのなら、元々Cランクに位置していた社員がいつの間にか、下位のランクになってしまい職場を去らなければいけないことになってしまいます。

この為、考課の対象とする社員の範囲をどうするか、中途で入ってきた社員をどう位置づけしていくか、さらには退職してもらう場合の退職金等々、慎重に考えなければいけません。

そして考課するにあたって、必要なのが、考課する側がしかるべき考課者訓練を受けること。

例えば、ハロー効果、寛大化傾向、中心化傾向等といった、考課エラーも知らない考課者では話になりません。


それから会社側が社員の能力不足を理由に解雇したことを、社員が不服とし提訴した、セガ・エンタープライゼス事件(東京地決平11.10.15)があります。

会社は「労働能率が劣り、向上の見込みがない」との普通解雇事由を適用して社員を解雇しましたが、会社側は、教育訓練、配置転換等の手段で解雇を回避する努力をしなければならないとされ、解雇は無効となったのです。
http://www.jil.go.jp/hanrei/conts/085.htm


会社側の採用した責任、試用期間を経て正社員に登用した責任、そして指導する責任をきちんと認識した上で、正当な考課を行い、そして結果の低い社員に対しては、会社は改善の努力をするという手続きが大切となります。


私は、個人レベルの自助努力と自己責任が社会の基本だと思っています。

しかし労務管理の専門家である、社会保険労務士の立場としては、大阪維新の会やサイバーエージェントの考えについては、人事考課等わからない点も多く、モヤモヤがないではありません。

こういった威勢のいい報道に触発されて、不景気と職場の活性化を理由に、表面的なマネごとをする企業が出てくる可能性だってあります。



今後を注目していきたいと思います。




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さて、早いものでついに12月。

会社の給与担当者の方は、年末調整の処理に大忙しのことと思います。

それから、12月となれば冬期賞与が支給される会社もあるかと思いますので、賞与計算もありますよね。

さて、その賞与計算ですが、賞与においても、月例給与と同じように、減給の制裁として減額させることもできます。


労働者が本来受け取るべき賃金から制裁として一定の額を一方的に差し引く処分が「減給の制裁」ですよね。

この「減給の制裁」については、労働基準法 第91条において、制裁規定の制限が規定されています。

そこでは、1回の事案につき1日の平均賃金の半額を超えて、また、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給してはいけないと定められています。

では、賞与に適用される場合の「減給の制裁」ってどうなるのでしょう。

まず、この減給の制裁は、1回の事案につき1日の平均賃金の半額以下という制限は、通常の月例給与と同じです。

それから、賃金総額の10分の1という制限ですが、当然ここでいう賃金総額は、賞与総額のこと。

月例の給与より賞与の方が額が大きいのであれば、それだけ大きい減額が可能ということになります。

ただ、給与で制裁とした事案について、再び賞与で制裁を課すことはできませんので注意して下さいネ。

ここで勘違いしやすいのが、遅刻や欠勤についての減給が制裁といえるのか、ということ。

遅刻や欠勤については、そもそも賃金を支払う必要はありません。

原則は、あくまでノーワークノーペイなのです。


それに、賞与であれば、その前段として賞与査定があるはず。

賞与額は、一律、基本給の○.○ケ月を支給する、なんて規程があらかじめある会社は別ですが、本来、限りある賞与の原資を相対評価(査定)によって配分します。

査定の内容は会社ごとにマチマチでしょうが、査定が悪くて賞与が少なかったという場合は、減給の制裁とはいえません。

賞与における減給の制裁とは、正当な査定結果から導かれる賞与金額から、さらに制裁として減給した場合が想定します。

なので、遅刻早退があったときに働いていない時間を賃金を差し引くのは、制裁ではないためこの減給の制裁制限の規定にあたらないのです。


ところで、この減給の制裁の制限ですが、金額の制限はありますが、回数の制限はありません。

したがって、1回あたり1日の平均賃金の半額を減額とした場合、賃金総額の1/10までは減額できることになります。

これは、仮に賞与額が月例給与の額より多いのであれば、仮に減給制裁を課すなら、月例給与より賞与で課した方が、多く減額できることを意味します。

月例給与は従業員の生活給という性格を持つため、減給制裁は本来好ましくありませんし、月例給与を減額したところで、会社が負担する社会保険料も変わりません。(^^ゞ

賞与の減額なら、負担する社会保険料も下がりますよね。


賞与における減給制裁も、当然アリなのです。

ただ、制裁を課したい従業員が賞与の時期までに退職していなくなることもあるかも。

このあたり、賞与の対象期間との兼ね合いがありますから、運用には注意して下さいネ。






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