大阪市内は雨はそれほどでもないですが、強烈な風が吹き荒れています。
台風で思い出した、野球の話です。
大毎、阪急、近鉄で監督を務め、それぞれでリーグ優勝をはたした、名将と慕われた「西本幸雄」。
西本監督は、「一人の不埒な考えをもった選手がいるとその周囲にまで悪い影響を及ぼす。それを見過ごすことはできなかった。」と厳しい規律を求めました。
そして、阪急、近鉄という、当時お荷物といわれた球団を引き受け、選手を育て、采配をふるい、常勝と呼ばれるチームに変えました。
その西本監督が、厳しいプロ野球の世界に身を置き、また弱小球団を任されながらも、逆境に負けなかった、彼の”矜持”を支えたものがあります。
それは、中学生の時の、通勤する父親の記憶でした。
西本監督が旧制和歌山中学の2年生の頃、超大型の室戸台風が襲ったときの話。
どの家も近づく台風の為、自宅に雨戸に板や棒をうちつけて、ただ台風が無事通過するのを静かに祈っていたといいます。
そこで西本少年が我が目を疑いました。
日本勧業銀行に勤めていた父親が、いつもとまったく変わらずネクタイを締め、スーツをまとい、カバンを持って出勤しようとしている姿があったからです。
風速40メートルの暴風雨。
誰が銀行にお金を預けたりおろしたりするのか。
屈強な若者だった西本少年は、小柄な父親が吹き飛ばされては大変と急いで後を追いましたが、もう姿は見えなかったといいます。
「親父はすごい・・」と衝撃を受けました。
いつも通り出勤する父親の背中に、「いついかなるときも誠実をつくす」ことの「強さ」を学んだといいます。
(ベースボールマガジン社・「阪急ブレーブス黄金の歴史」より抜粋)
その記憶が、逆境に強い、西本幸雄の熱い血潮になったというのです。
大荒れの天気の中、出勤している方もいらっしゃるかと思います。
(ん、当たり前!?)
いえいえ、本当にご苦労様です。
明日は土曜日ですが、もっとひどい状況かもしれません。
出勤される方、どうか気をつけて。
考えれば、なんてことないタイムカードには、まじめに出勤した大切な足跡が残っています。
一歩ずつ歩いてきた歴史。
会社員としての年表。
そんなタイムカードを見て、自分の会社の社員に感謝し、責任を改めて感じる経営者の方もいらっしゃいます。
その一方で、未払い残業を追求されることを考えてのことか、タイムカードの導入をしぶる経営者の方もいらっしゃいます。
ある程度の社員数があるのに、社員がいつ出社して、いつ帰ったか、が、わからないなんて、経営者としては無責任な話です。
西本少年が、もし父親の会社の社長がそんな経営者だと知ったら、どう思うでしょう。
あ、その前に、満員の通勤電車で自分の前のスペースを確保して、携帯ゲームに没頭する自分の父親を見たなら、その後の名将の姿はなかったでしょうけどね。(>_<)
台風の被害が少しでも少ないことをお祈りしています。