東北の震災以来、家族の絆が強くなったという話をあちらこちらで聞きます。

何かあった時に助けてくれる人がいるというのは、もちろん心強いことです。



また一方、労働問題の上でも、あまりにひどい過重労働があると、社員本人ではなく、その家族が会社にクレームを入れるというケースが増えています。

社員本人は、責任感やいろんな社内のしがらみもありますので、不平があっても言い出せないこともあることは想像できます。

そんな社員の心を思い図り、なかなか会社から帰って来ない夫、息子、娘の健康を心配してのことでしょう。


そして、その家族の思いの矛先は会社だけではありません。

2004年、ある外食チェーン店で店長だった夫の過労死を巡って、妻は会社の労働組合を訴えた事件がありました。

本来は労働者の健康と命を守る立場であるはずの労働組合が、機能していないとその責任を訴えたのですが、それには伏線がありました。


2005年にその会社の労働組合の委員長のインタビュー記事が雑誌に載りました。

「店長は誰の助けもなく、忙しさも半端ではありません。しかし、本当にできる店長、つまり強い店長は、その中でも休みを取れる。」

この発言が、「夫を侮辱し、家族を傷つける」として、真意をただす質問状を組合に提出しましたが、それに対する具体的な回答がなかったのです。

その上での訴えでした。

(2007年8月1日読売新聞より)



「経営の神様」松下幸之助は、従業員の家族にまで思いをはせるという経営哲学がありました。

これもまた古き良き松下電器の時代の話ではありますが、経営者も、上司も、先輩も、そして労働組合も、従業員の家族への配慮を欠けば、結果としてトラブルを生むことは、今もって多々あるのです。

従業員の家族の協力があってこそ、従業員は職務に邁進できます。

従業員の肩越しに、家族の存在を感じなければいけないのです。



さて、昨日偶然見た、NHK児玉清さん追悼特集。

なんと嬉しい、龍馬伝の再放送「遥かなるヌーヨーカ」でした。

今さらながら、「龍馬伝」はよかったですねー。

役者さんの演技、脚本(セリフ)、カメラ、音楽、至る所に見所が満載です。

この回の話では、児玉清さん演じる龍馬の父が、死の病床から息子龍馬へ語りかけた言葉が印象的でした。

「・・・己を磨き高めようという気持ちを忘れては生きておる価値はないぜよ・・・命は使い切らんといかん、使い切って生涯を終えるがじゃ」


そして、最後、ゆったりとした展開の中で、家族全員での海辺のシーン。

黒船に乗って家族みんなで外国を見て回るのだと嬉しそうに話す龍馬に、家族は一緒にはしゃぎ、死期の近い父は、それを聞きながら目を閉じて旅をしているようでした。

そして、龍馬の父は「楽しそうな旅じゃ、みんなで行くがぜよ。こんな嬉しい日は初めてじゃ」と、涙を浮かべて笑うのです。


温かみに満ちた、龍馬が育った家族の話。


私もつられて少し涙ぐんでしまいました。


龍馬伝。DVDでまた見ようっと。



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