「車掌以外の仕事 考えられない」
訴状によると、車掌は2005年4月の事故後、不眠症や適応障害で07年3月まで入院。
退院後に車掌への復職を求めたが、JR西は「乗務員としての適性や能力に疑義がある」として
駅業務に転換する人事案を示した。
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/dassen/20100708-OYO8T00312.htm
(2010年7月8日 読売新聞)
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100人をこす死者が出た、JR福知山線事故で脱線した快速電車に乗務していた車掌さんのこと
です。
事故後、車掌としての職場復帰などを求めた訴訟の口頭弁論が7日ありました。
このニュースへの直接的なコメントは控えたいと思います。
ここでは、このニュースに関連して経営者の皆さんに関連する、就業規則に関するポイントを2つ
あげたいと思います。
ひとつは、休職期間の長さです。
もともと休職の制度というのは、労働法上で必ず設けるように決まってはいません。
ただ、現実的には、それまで事業所の為に働いてくれた社員の雇用をある一定期間守ってあげる意味
や、あるいは解雇猶予期間としての性格を持たせる為、休職制度を規定化している事業所が、殆どだ
と思います。
この休職の期間ですが、公務員の規定を参考にした大企業の就業規則の流れで、中小企業においても
意外と長く設定されている企業様が多いように感じます。
現実は、まだまだ厳しい経済情勢です。
年々高くなる社会保険料の負担や、増え続けるメンタルヘルス不全による休職を考えると、はっきり
申しあげて、私は、就業規則を経営の身の丈にあった休職期間に変更すべきと思います。
3ケ月の試用期間が終わったばかりの社員が、2年間休職なんてことがありうる、就業規則も拝見
したことがあります。
一人の社員を守ることも大事ですが、会社の経営を守り、他の社員を守ることの方がもっと大事です。
もうひとつは、人事異動の命令です。
「配置転換」や「転勤」といった異動について、採用時の職種や勤務地の限定がない場合には、
就業規則に人事異動についての規定があれば、異動命令は基本的に可能です。
ただ、業務上の必然性と異動によって労働者が受ける不利益の程度を比較して異動命令の有効性
が判断されますが、業務上の異動命令の有効性はかなり広く認められています。
さて、皆さんの会社の就業規則はいかがでしょうか?