社会保険労務士・行政書士の渡辺です。 -2ページ目

社会保険労務士・行政書士の渡辺です。

福岡県筑後市に事務所があります。

政府は28日、「働き方改革実行計画」を策定し、建設業に時間外労働の上限規制を設ける方針を示した。労働基準法を改正し、労使間で36(さぶろく)協定を結んでも超えることができない罰則付の時間外労働の限度を、全産業を対象に設定。建設業への適用は、施行から一定の猶予期間を経た5年後とし、20年東京五輪を控えて増大する建設需要に影響が及ぶのを避けたい業界の意向に配慮した。

働き方改革実現会議での10回に及ぶ議論を経て同日決定した実行計画では、17日の前回会議で安倍晋三首相が時間外労働規制の適用除外となっている運送業と建設業の担い手確保の観点から、「猶予期間を設けた上で時間外労働規制を適用する方向としたい」との考え方を示したことに対応。建設業は17年度中に改正する労基法施行から5年後に、他産業と同様の一般則を適用するとした。

一般則で罰則対象となる時間外労働の限度は「月45時間・年360時間」。臨時的な特別の事情で労使が合意すれば、特例として「年720時間(月平均60時間)」まで認める。繁忙期には年720時間以内とすることを前提に、上回ることのできない上限を▽2~6カ月の平均で休日労働を含めて「80時間以内」▽単月なら休日労働を含めて「100時間未満」-などを満たさなければならないとした。

建設業での一般則の適用について復旧・復興工事の場合は、2~6カ月平均の80時間以内と単月100時間未満の条件は適用しないが、将来的には適用する方向で、関係省庁間で今後調整する。

改正法施行後も建設業については5年間、上限規制がない状態が続く。実行計画では、その間も労働時間の段階的な短縮に向けた取り組みを強力に推進すると明記した。

具体的には、長時間労働になりがちな商習慣の見直しや取引条件の適正化に向けて、民間発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置。適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進など休日確保に向けた取り組みを発注者の理解と協力を得て進められるようにする。制度的な対応は、国土交通省に設置している建設産業政策会議での議論も踏まえ、時間外労働規制の適用に向け、必要な環境を整備する。

長時間労働の是正を含めた働き方改革に取り組む建設会社への支援措置も実施。技術者・技能労働者の確保・育成を図る制度的な対応、施工時期の平準化、ICT(情報通信技術)の活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援といった長時間労働の是正につながる取り組みも推進する。        
 

営難の企業が雇用を維持するため、国が休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」制度で、2013~15年度に約54億3千万円の不正な受給が発覚し、このうち4割を超える約23億8千万円が返還されていないことが厚生労働省のまとめでわかった。同省は不正受給した企業に返還を求めており、応じない場合は刑事告訴したケースもある。

同省が全国の労働局のデータをとりまとめた。未返還の金額が明らかになるのは初めて。

同省によると、15年度までの3年間にこの助成金を受給したのは全国の21万6762社で、計約657億円。不正受給が発覚したのは379社で計約54億3千万円にのぼった。企業は受給の際、従業員の出勤簿などを労働局に提出して審査を受ける。しかし、休業させたと偽ったり、社員の訓練をしたと申告しながら社員を働かせていたりする手口が後を絶たないという。

不正が発覚した場合、各労働局の職員が企業を訪問するなどして返還を督促する。返還計画を立てさせるが、元々資金繰りに困っており、滞ることが多いという。不正を認めなかったり、調査に応じなかったりした場合は、企業名などを公表。返還の意思がなく手口が悪質な企業は刑事告訴することもある。

 都道府県で発注工事の1次下請業者に対する社会保険未加入対策の取り組みが広がっていることが、国土交通省の調査で分かった。6月時点で半分を超す26団体が1次下請から社会保険未加入業者を排除する取り組みを実施。うち20団体は、元請業者に未加入の1次下請業者との契約を禁止する措置を講じていた。国交、総務両省は未加入の下請業者を発注工事から排除するよう都道府県に要請。管内の市区町村への周知も求めており、今後、対策が一段と強化されそうだ。

国交省が5月に行った調査によると、すべての都道府県が発注工事の元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを実施。23団体が未加入の下請業者の排除にも取り組んでいた。

その後、5月下旬から6月下旬まで全国8ブロックで開いた16年度上期ブロック監理課長等会議で、未加入の1次下請業者を排除する取り組みを26団体が実施済み、12団体が検討中であることを確認した。

元請に未加入の1次下請業者との契約を禁止している都道府県は15年3月時点で7団体だったが、上期ブロック監理課長等会議で20団体に増えたことを確認。うち12団体は下請金額の大小にかかわらず、未加入の1次下請業者との契約締結を禁じていた。未加入業者が判明した場合、許可担当部局への通報のほか、入札参加資格の停止や工事成績評定の減点などの措置を講じている。

契約禁止以外の方法で未加入1次下請業者の排除に取り組んでいる6団体では、元請業者に未加入の1次下請業者を使わないことを約束する誓約書を提出させたり、元請業者に下請業者への加入指導を行ってもらったりしていた。

検討中の12団体からは「関係業界団体と意見交換などを行いながら実施の時期や方法などを検討」「未加入の1次下請業者を排除するため契約約款・契約書を7月に改定予定」などの状況が報告された。一方、未実施団体からは「公共工事の執行に支障を来さないようにするため、当面は未加入の下請業者との契約は禁止しない」「直ちに未加入下請業者の排除を行えば、業界の混乱が予想されるため現行は排除の取り組みを行っていない」などの声が出た。

国交省は同会議を通じ、社会保険未加入対策推進で全都道府県と合意。管内の市区町村への支援も求めた。国交、総務両省は6月、自治体に未加入の元請・下請業者を発注工事から排除する措置を講じるよう要請している。

国交省は社会保険加入の目標を「17年度をめどに許可業者単位で100%、労働者単位で製造業並み」と設定。直轄工事では未加入の元請・1次下請業者を排除しており、現在こうした対策を2次下請以下にも広げることを検討している。