年金改革案:高給会社員の厚生年金、保険料上げ先送り | もっと知りたい労働法!

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東京都町田市を拠点に両立支援、労使トラブル、障害年金などに対応、『悩み』を『戦略』に変える労務管理を提案する特定社会保険労務士櫻井三樹子のブログです。日々の疑問や矛盾と戦います!!たまに日本酒でまったりします。

厚生労働省は11日、税と社会保障の一体改革案に盛り込んだ年金制度改革案の中の負担増を求めるものについて、給与の高い会社員の厚生年金保険料引き上げなど主要な案に関しては議論を先送りする方針を明らかにした。専業主婦ら配偶者が第3号被保険者の夫婦の年金を二分割する案や、働く高齢者の年金減額基準の要件緩和など賛否両論ある案も見送る。低所得者への基礎年金加算案を優先し、来年の通常国会に提出する関連法案に盛り込むことを目指す。

(毎日jp)


先送る話ばかりです。話題に上っていた厚生年金支給開始年齢を68歳~70歳に引き上げる案も既に見送る方針を示していますし、マクロ経済スライドの強化も議論しないということ…。


マクロ経済スライドとは、賃金や物価の伸びがマイナスの場合には年金給付額も下げるというルールです。しかし現在は年金引き下げを見送り本来より高水準の年金が支給されています。ですから、「強化」なんて議論できませんね。ただ、本来の水準に引き下げる案については議論されるようです。


その他、高所得者の基礎年金を最高で2分の1減額するという案、育児休業中だけでなく産前産後の休業中も厚生年金保険料を免除する案、厚生年金適用拡大、年金受給資格を得るために必要な期間を25年から10年に短縮する案なども議論されるようです。


小宮山大臣は会社員の厚生年金と公務員の共済年金を一元化し、同年金の保険料率を、より高い厚生年金にそろえる法案について「可能なら通常国会中に出したい」と述べたそうですが、「可能なら」というやる気のなさに驚きます。本気度が全然感じられません。


小手先だけの年金改革をやっていても財源不足や公平性、年金不信などの問題は全然解決しません。それよりも早く、超党派で抜本改革の議論を行い、これからの日本に必要な年金制度の形を明確に国民に示し、その形に近づけるための実効性のある年金制度改革を押し進めてほしいですね。


40代の会社員の方から「いつまでも年金はもらえそうにないから、もう厚生年金辞めたいんですが…」と相談を受けました。もしかしたら事故や病気などにより若い人でも明日からもらうかもしれないのが公的年金です。そして、国が運営しているのだから破たんはしないのです。「民間の保険に入るよりよっぽど信頼できる保険制度なんですよ。」とお答えしました。政府の本気度がなかなか感じられない現在であっても、公的年金の制度に入っている(保険料を払っている)人の方が得をすると思います。

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