上司が言う。
「こういっちゃなんだが、あいつは障害者みたいなものだから
もう、そういうレベルでしか仕事はさせられないんだ」
メンヘラ男は仕事の負荷が上がってくると会社に来なくなる。
ようやく来だしたので、丁寧に扱ってると増長し
仕事の選り好みを平気で口にする。
お前、それがサラリーマンの言うことか、と
ケリでも入れれば
当然、懲罰を食らうのはこっちのほうなので、
瞬間沸騰したアタマをなんとか押さえ込み
酒の席で上司と話をしたときに出た台詞が
上の「障害者」のくだりというわけだ。
4月1日からは、”企業に義務付けられている障害者の
雇用割合(法定雇用率)が2.0%から2.2%に上昇する”
のだとか。
上司からは障害者とみなされているこの男が
実際にその数にカウントされることはない。
障害者やメンタルヘルスの問題を抱えた人たち全般に対する、
俺個人の見解はここでは別にどうだっていいが、
このメンヘラ男に対しては心底辟易している。
だが、会社は「退職勧奨」も「解雇」もできずに
こんなひ弱な人間を本人が辞めると言うまで
やさしくやさしく飼ってやらねばならない。
もっとも、こいつを自主退職に追い込めたとしても
将来生活保護などに成り下がったら、なおさら腹立たしい。
なんで、俺らが労働し、納めた税金で
お前を食わせにゃならんのだ、、、と。
声を大にして彼を擁護し、
メンタルヘルスのつらさがいかばかりかを
とくとくと説教してくれる
奇特な人がいるかもしれない。
俺だって他人事なら
「皆で協力して彼を支えていきましょう」くらい
言おうと思えばいくらでも言える。
だが、目の前でこんなクソ甘えた人間が
会社に来たり来なかったりを繰り返し、
仕事の選り好みをし、
その上で、満額給料もらってるのを見れば
そんなキレイゴトなど吹き飛んでしまう。
とりあえず
どれだけふざけたことを言っても
手だけは出さない。
それが俺のこの男に対する最大限の思いやり。
(いや、ケリも入れない)