助走 | seekerのブログ

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雑感、皮肉、ココロモヨウ、好きなこと、お買い得、時事・・・
身勝手な俺が繰り出す、書いた本人もろくに覚えていない言葉の集合体

垂直離着陸のできるヘリコプターや

オスプレイなら話は別だが
いきなりその場からジャンプしたって

遠くへ飛ぶことはできない。

ふたたび
空の高みへ上がって行くには
地上をしばらく走り続けるしかない。

まして、完全停止状態からでは
動き始めることすら簡単ではない。


幸い五体満足だった。

いくらかのダメージはあったし、
向かい風ではあった。

けれど気持ちは萎えてはいない。


かなり不安定な走り出しではあったけれど
加速を続けた。
やがて、全身のきしみも消え、アラートは収まった。


怒りは膨大なエネルギーを生み
火の粉は若干周囲を焦がしたかもしれないが、
知ったことではない。


もう一度、空へ。



その間に俺は変わった。

やさしさは捨てた。
他者を傷付けても
自分が生き残るしたたかさを身につけた。
そこに生まれる悲しみを感じることが

己の「弱点」だと切って捨て、
それを意識の底へ封じ込めて置き去りにできる。


いつか歪められた自我に
自分が押しつぶされることになっても
後悔はしない。


次、落ちたなら
俺はもう二度と飛べないだろう。



恐怖もためらいも未練も捨てる。




もう一度、空へ。



俺はその手の中にあるものを投げ捨て

地を蹴った。