とある人物を知っている。
エイリアスではなく「実体」のほうだ。
そのエイリアスは、ことごとく「偽装」されていて、
そこだけしか知らない人間は、ものの見事に釣られる。
逃げろ。
恥も外聞もかなぐり捨てていい。
とにかく逃げろ。
そいつは、とんだトラブルメイカーだ。
俺は幸運だった。
掴まされた爆弾は爆発のタイミングがほんの少しズレて、
一瞬だけ思考する時間が生じた。
俺はそれを放り出して全力で逃げ、
文字通り「鍵」をかけた。
ただし、無傷というわけにはいかなかった。
その後、俺も小さくない損害を被った。
だが、破滅を免れるための「尻尾切り」レベルだ。
その分の代償は支払って頂いた。
幾分「取りすぎ」のような気もしたが、
あの巨大生物の並の小さな脳は
何も感じていないのかも知れない。
俺は、ああいった「食虫植物」のような醜悪なもの存在を認めない。