本書は良質の情報を後世に伝えている。

  著者の土方敏夫は東京物理学校在学中に海軍に入り、パイロットになった。戦後は中学、高校の教師になり、外務省人事課につとめたことがある。終戦時、土方は自分の「航空記録」を捨てず、本書はその記録をもとに記憶をたどって書いている。だから内容は正確といえる。また高等教育を受けているので、大言壮語におちいりがちな空戦記憶を制御できている。