叶わないことはわかっている。

それでも――愛のある家庭に生まれたかった。

いや、たとえ愛がなくてもいい。

 

せめて、湯を張った浴槽に顔を無理やり沈められて窒息しかけたり、

圧倒的な力の差のある親や兄に命の危険を感じるような暴力を振るわれたり、

面前で父が犬を虐待する様子を見せられたり

脳の病気を負い、毎月脳神経外科の病院に通う-

これからも、命が尽きるまで通い続けることになる。


そんな人生が待っているなら、生まれてきたくなかった。

 

そして、暴力を受けて苦しいと必死でSOSを出しても、

「そんなの子供のよくある喧嘩!💢」と怒鳴られ、

なぜか私だけが叱られるような、そんな理不尽な家庭ではなく、

ちゃんと私の痛みを受け止めてくれる場所に生まれたかった。

 

本来、家は心理的安全性が守られる場所であるべきなのに、

私にとっての家は、どこよりも危険で、どこよりも怖くて、

身体も心も痛めつけられる、逃げ場のない、恐ろしい場所だった。


首藤はるか