(アメブロ創作同盟有志のキャラが出演します! 著作権はキャラ提供者さまにあります)

 

 僕はハムスターたちの歓迎に贅沢に満腹して満足し喜々と帰路に就いた。つ~か正直、世界が壊れてきたような印象受けるよう。創造主『紙』は真面目に世界を運営しようなんてする気持ち、微塵も無いね。

 シント中枢地下三十階の総統プライベート・ルームにはソング総統の他、アーダと不知火が待っていた。

 不知火は不機嫌だ。「時雨、ハムスターの駆除任務はどうした。それを無視して敵、それもケダモノから歓待受けるなんてアホか!」

「駆除って……ただ生き延びたいだけの無害な生き物を殺すのは人道に反するよう~っ! 食用に調達するなら許せるけれど、巨大体は人間並の知性を持っているよ、まあ僕は捕鯨賛成派だけど、鯨肉は筋張っていて硬くて臭みがあるよ。その点ハムスターは美味しかったね、おっといけない」

 って、最近食って飲んで眠ってばかりだ。人生を疑問に思う僕であった。命張った戦いはあっても恵まれているな。ふと気付く。創造主『紙』が病欠中で禁酒禁煙しているから、代わりに僕が宴会招かれるのか。

 でも艱難辛苦をなめる、なんてシチュエーションとは無縁だな、僕強いもん! ま、それはおいて。

 僕はやれやれという。「なんでハムスターが人間の言葉話せるの。それも生まれて間もないはずなのに」

 不知火は憶測を語った。「おそらく遺伝子レベルで操作されているな、サイバーなハムスターだ。本能的なのか電子操作による記憶植え込みか」

「いまその説明を流します」とソング総統。

 ここでモニターに映像が表示された。一流の人間の知性と知識を脳内に取り込む過去光の文明の技術……恐るべきデータ画像説明だった。ならば、勉強なんかしなくても誰でもエリートになれるな、これを一部の特権階級のみが用いるなどと……許せないことだ。

 ソングは深くため息を吐いていた。「これは、歴代の総統の誰しも受け継がなかったテクノロジーです。それを偶然とはいえ、あの人間サイズハムスターたちは得てしまった。まことに由々しい事態です。かれらの知性は、学者並の見識を有します。それも学問という学問、技術芸術といったあらゆる部門で一線級の」

 不知火は積極策を提案した。「もはや猫では勝てないな。ここは虎を使って駆除すべきだ」

 そんな! ハムスターたちは良い子たちだったよ! 僕はお願いした。「閣下、どうか寛大な処遇を……」

 ソングは断言した。「シント総統として、最善の策を提案します。ハムスターはペット……否、客員待遇で楽器倉庫とコンサートホールに居住を認め、食糧は保証すると。ただし条件として、避妊を徹底して絶対数を増やさないように」

 アーダは黄色い声を上げている。「ハムちゃんたち、可愛いわ。私の家にも何匹か住まわせようかしら」

 僕は意見した。「対デーモン戦に、二十七倍体ないし八十一倍体のモンスターハムスターを迎撃に当たらせるという案がハムから出たよ! ひええ、恐ろしい。御裁可をいかがされます総統閣下?」

 ソングはぐったりと言う。「総統命令により却下。人間サイズの九倍体が限度です」

「良かったわ」クスクスと一息吐くアーダ。物憂げな仕草が色っぽい。「この騒動の発端となったマッド・サイエンティストだけど。あのナックルファイターを開発した技官リティン二尉の仕業らしいわ!」

 不知火は心底からの称賛の声を発した。「傑物だ。二尉どころか技術中将任せても良いくらいだな。俺はソフトだけしか扱えないからな、尊敬に値するよ」

 アーダは非難の声を上げた。「あんな機械馬鹿が! のさばらせるわけにいかないわ」

 不知火はいつになく激しく反論した。「エンジニアをなめるな! 技師抜きでは銃どころかナイフも作れないだろう」

 アーダは引用した。「ハードウェアに頼って戦争に勝利した例は無いというわ」

「歪んだ知識だな。いまは技術進歩が停滞しているからどうか知らないが、過去の大戦で鍵を握ったのは科学力だ。ナックルファイターのスペックは拝読した。戦局をまさに一転できる兵器だ。強過ぎて悪用に注意したいくらいだよ」

 僕は申し出た。「シントは兵器で武装してあるし、都市国家で戦力が集中しているからきっと護り通せるよ。僕はそれより、キュートが心配だな。たとえ相手がデーモンだろうと、誇り高く戦い抜くのみ!」

 不知火は驚きの声だ。「って……時雨、素手で戦うつもりか?! 今回ばかりは無効だぞ、魔法の武器か光の武器でないとほとんど通用しないのだから。だいたい、デーモンは体長三、四十メートルある!」

 ソング総統が語る。「素手でデーモンを倒した豪傑もいました。帝国三傑の一人、風の神フーハク。時雨なら闘い抜けるかもしれません」

 僕は敬礼した。「戦い抜くであります! 頂いた特製バトルスーツは並の金属鎧より強靭です、軽いし。お願いします、僕をキュート王国へ運んで下さい、明後日夜の新月まで間もない」

 総統の裁可でキュートへの移送は認められたが、僕はなんと客ではなく、単座軽戦闘機パイロットとして自由行動が許された。さりげなく戦力を提供してもらってしまった。戦闘機パイロットなら昔取った杵柄、存分に暴れさせてもらえるね!

 さっそくハンガーへ赴き全長十メートル程の三角翼の機体に乗り込む。操縦システムは、二十一世紀のフライトシューティングゲーム並に簡素化されていた。高性能なV-STOL機だ。垂直離陸する。軽快な加速度にゾクゾクする。いざ、キュート王国まで巡航飛行だ!

 

(すまいるまいるさん、亜崎愁さま、akiruさま、初孤羅さま、月村澪里さま。ご参加ありがとうございました。不備があれば訂正します。言動をアドバイス下さい。他の会員さまもお願いしますね、参加待っています)

(続く)