☆「腎」の働き
中医学で言う「腎」。
わたしたちの馴れ親しんだ西洋医学の言葉遣いでいうと、次のようなものを含みます。
・腎臓
・副腎
・ホルモンを調整するシステム全般
・骨髄の機能を管理
・水分代謝を管理
・生殖機能を支える
……
「とても大事で欠かせない」ことを表す言葉に、「肝心」がありますが、もともとは「肝腎」と書くのが本当でした。
○成長・発育・生殖(・老化)をコントロール
赤ちゃんが生まれてくるとき。
お父さんとお母さんから、生命力のおおもとのようなものを分けてもらって、その勢いで命は誕生し、育って、「オギャー」とこの世に生まれてきます。
この、「生命力のおおもと」を中医学では「精(せい)」と呼びます。
精を貯え、必要に応じてそれを有効に使う。
この仕事をしているのが「腎」だと考えているのです。
ですから、
・成長が遅い
・こどもができにくい
・老化が早い
……
こうしたことが起きたら、
「『腎』の働きはどうですか?」
と重点的にチェックします。
○水の代謝をコントロール
身体の中での水の動きをおさらいしてみましょう。
まず、
・「脾 」が、飲んだり食べたりしたものから、必要な水と不要な水を分別する
・必要な水は脾の働きで上へと移動され
・「肺 」から全身にシャワーのように振り撒かれる
のでした。
届けられるのは分かりましたが、その後どうなるのでしょう。
また、分別されて、不要となった水はどこへ行くのでしょうか。
答えは、「腎」。
・不要な水
・シャワーのように全身に届けられたうるおい
これらは全て最後「腎」へとやってきます。
水の流れは「上から下へ」、自然のありよう人間の身体も同じです。
腎は身体の下の方にあって、
・まだ使えそうなうるおいは分別して
・温めて蒸気のようにして上へ戻す
・本当にもう要らない水分を分別して
・尿にカタチを変化させて排出する
という、水の代謝の根本を行っているのです。
○骨・髄・脳
こうしたものは、「腎」が丈夫でないとしっかりしません。
こどもの身体が成長するときは、「腎」に貯えられた「精」を使って骨を伸ばします。
脳というのは、髄がたくさん集まって成り立っているという見方をします。
年齢により「腎」がおとろえて、髄をよい状態に保てなくなると、
・物忘れが増えたり
・正しい認識ができなくなったり
するのです。
「腎」の栄養になるのは、「しょっぱい味」のもの。
「腎」と関係の深い感情は、「恐」「驚」。
塩からいものを食べ過ぎると、血圧が上がります。
逆に、塩分をカットしすぎると、体内のうるおいを保てません。
おばけ屋敷で、ひやっとしたものが首に触れたら。
あまりの驚きに、お小水がチラッと漏れることもあったりなかったり。
全て「腎」の働きから見ると、面白いほど説明がつくんですね。
腎と関係が深い組織に、
・耳
・髪
・陰部=大小便の出口と生殖器
があります。
腎が健康でしっかりしていると、こうした部分もしっかりと丈夫に働いてくれるのです。