昨夜は金曜ながら、空模様が怪しかったせいか亀有駅前の人出は少なかった。
とっとの前に集まっているのは10名ほどの常連たちのほかには、数人だった。
並のストリートミュージシャンならいざしらず、とっとにしては少ない。
そんな状況で、唄いながら声を詰まらせる場面があった。
伴奏だけが続くのを、常連組もただ見守るしかない。
そのときランドセルを背負った男の子が、手拍子を打ちながら聴衆の輪に加わっていた。
男の子は激しく踊り、歓喜の表情が全身からあふれている。
その様子を見て、とっとは声を詰まらせたのだった。
とっとは、ちょっと照れたような表情を見せながら演奏を続ける。
再び唄いはじめてからは、よく声がのびた。
男の子のうしろには、母親らしき女性が微笑んでいた。
男の子との、言葉によらない対話。
優れた音楽は、思いを伝える。
写真でも、それは出来るはずだと思わずにいられなかった。


