「農地の大規模化を考える:森林、ため池、湿地、田んぼなどのモザイク・多様性の世界 取り戻して行く」
農地は、日本の国土面積に占める面積は、432万haです。
割合としたら、日本列島の11%ほど。ざっくり言うと、国土の7割が山地で、そのほかが平地なので、平地の半分が農地です。
我が国の生物多様性国家戦略2023-2030には
p190
「里地里山は、農地、ため池、樹林地、草原等を含む多様な生態系のモザイクであり、国土の約4割を占めるといわれている」
「国土の約4%を占める河川をはじめとした湖沼、湿原、湧水池等の水系は、国土における生態系ネットワークの重要な基軸」とも。
また、海も大事であり、それぞれ、生態系を守って行くことが求められる、と。
そして、この生物多様性国家戦略の農地、農業の部分を読んでみると、人間の開発等が原因と影響が書いてあります。
一つに集約的農業管理、とも書いてあります。
最近、日本でも鳥類、蝶等、ミツバチの減少が言われて来ました。
去年、5年事に調査発表される環境省と自然環境団体が発表したモニタリング1000では、5年前から進み、引き続きまた、鳥類やチョウなどの減少が続いているということが言われました。
(ウサギ、キツネなど他も)
・生物多様性がないとなぜ、いけないのか?という理由。
上の方にも載っていますので、こちらから出すと
P191
「多様な自然資源を利用することによって成り立っている農業は、生態系サービスへの依存度も高い。
病害虫を抑制する天敵は周辺の生物相からもたらされる等、生態系が有する機能を可能な限り活用し、自然の病害虫制御作用が促されることで、病害虫の被害の軽減による生産力の向上と農業の持続性の確保が図られるとの指摘も」
「果樹や果菜類等の生産には訪花昆虫が欠かせない。我が国の農業は、野生のハナバチ等から総額で約 3,300 億円分の送粉サービスを受けているという報告もある」
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など、いろいろ理由は書けそうですが、この辺で。
では実際何をするか?というと、これも上から抜粋
P30
「② 農地
農地における生物多様性保全に関する評価を進めるとともに、農業における化学肥料の使用量や化学農薬の使用によるリスクの低減、有機農業の推進、家畜排せつ物の適正管理等による環境負荷の低減、
多様な生物の生息・生育・繁殖環境となる水路・畦畔や防風林などを含めたモザイク性のある農村景観全体の保全及びこれら多様な環境の広域的な観点からのネットワーク形成等を進める。
これらにより、生物多様性に配慮した持続可能な農業を推進する。
また、適正な農業生産活動の継続による荒廃農地の発生防止や多面的機能の確保を図る観点から中山間地域等への支援を行う。
さらに、管理不足から全国的に減少傾向にある草地における生産性や生物多様性保全等の機能の維持のための整備や管理を促進する。」
など。
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・やること
こちらに載っていることを、私的に脳内で、私の頭寄りにまとめると、もとのモザイク状にやり直す、直して行く、ということかと。
農地、ため池、樹林地、草原、畔、防風林、水路、川、二次林等を含む多様な生態系のモザイクとなっていて、生息地や生息環境があるのが農地、この農地の生態系が劣化喪失している。
今は人の開発、ダム、堰、また、人間がいないことなどによっても、生態系や生息地が喪失、分断している。
こちらも減少を食い止め、分断劣化を直し、回復、再生していく。また、奥山や海まで様々な、周囲の多様な生態系との連携も含める。
ことだなと。
つまり、農地も農業生態系を回復し、周囲の自然環境と促進や連携し合う関係になり、多くの便益を享受して農業をしていく。
農地も自然環境と共にある農地になり、農業も自然環境と共に農業をする。
ことだなと。
・賢明な利用
・持続可能な農地農業
こちらに、湿地とつながった農地や農業のことが出てきます。
・レジリエンス
気候変動の危機でもありますので、そうして強靭になって、耐性をつけるという面もあります。
私も生物多様性とかいらんいらん、何も考えず、作りたいだけ大規模田んぼで、好き勝手に農薬除草剤、化学肥料撒いて、何も考えず作ってればいいわ、生物多様性とか、生態系とか不要?と、考えてみたのですが・・・
巨大な大規模田んぼにしてしまえば、その地は単調な植物しか、生えてない環境になります。
そうなると、病原菌が流行ったりしやすいですし、害虫等が発生したら、一気に壊滅してしまうことになります。
森林を全部切って、土壌流出、野菜を植えても育たないイースター島と同じです。
イースター島で気候変動。最悪の選択肢でしょうね。
そういうことで、農作物も、気候変動の不作のリスクも緩和するなど、こちらに、集約型の農業に対し、持続可能な農業のことが書かれています。
FAO
これを読んで、生物多様性の低下をすると、農業への害虫、病原体にたいする体制、気候変動に対する強靭性(レジリエンス)を損なうとか、なるほど、と思ったのですよね。
多様性のある農地は病害虫への抑止力を持ち、回復力も違うとも書かれていました。
アメリカでハリケーンのあと、棚田とか、いろいろ植えた林業の場、いろいろ植えた生物多様性に富んだ農場は、単一栽培を行っている近隣の農場と、表土を20~40%多く保持し、土壌浸食が少なく、経済的損失も少なかったとも。
外部資源への依存度を軽減し、生産者の自立性を高め、栄養循環を完結させ、市場や気候変動によるショックに対する脆弱性を軽減する。とか。
もし今後、気候変動でも、自然と共に農業を出来る形、有機肥料を循環させて作れる状態にしていたら、何が起きても、生産は止まらない。とか。確かにと。
調環境負荷の高い農業生産は、土壌の肥沃度が低下し、土壌も流れ出て、農薬や化学肥料などで水の汚染、ひいては海の貧酸素症を作って魚も消え、温室効果ガスを出して気候変動も進めます。
我が国も海外輸入依存が多く、自立性、食料安全確保が問題になっています。
有機栽培、循環型農業などにして、その農村で生産出来る状態にしておけば、万一何かあった時、他所が被害を受けても、その村の食料生産は何も問題なく続けられる。
生物多様性も高い。
前もレジリエンスについて書いたものです。生き物自然好きだから生物がーと言っているのではなく、今後、生き延びるために必要があるから、と。
農業生態系も同じですね。
循環型だの、再生型だの言われていますが、単におシャレ、美味しい、というだけでなく、気候変動、生物多様性の低下による危機に、洪水山火事、ダメージを受けたりすることも増えて来ました。そのダメージから、回復するため、今後、その地域が生き延びるためでもある、という部分もあるから、です。
皆、今後生き残るため、生きるか死ぬかの瀬戸際だからです。
私の前記事
それで、私もいろいろ考えた末、大規模大型化より、小さい田んぼで大勢でやるほうが、食料生産システムとしては優れているのでないか?・・・・と思いました。
簡単に言いますが、小さい田んぼで大勢で見たら、甲斐甲斐しく世話が出来るし、地産地消となり、その地域の人々に食料も行き渡る、皆、それぞれの田んぼの状態になるし、植える品種も違う。
考えたら、大勢で皆で見たら、世話が行き届いて当然です。昔から千年以上も続いて来た農地の形式ですし。
でも、大型化すれば目が行き届かない場も出来、味も質も落ち、配送の手間がかかり、品種は一面同じ単調化、モノが行き届かない地域もあるでしょうし、生物多様性も低下するでしょう。
大規模にしたら、小規模と競合したり、格差や不平等も生まれたりするでしょう。
環境問題、土地の収奪があったり、巨大な独占企業が出たり、悪影響の部分も出てくるのでないかと思います。
昔のプランテーションとか言われる流れが、集約農業と思います。
そこで、昔のプランテーションなど、企業がうまいこと言って契約させて、その後、反故にして借金を負わすなどがあったそうですから、私も前に、直接契約するとかの話を書きましたが、気をつけねばなりませんね。昔のプランテーションの話なので今はどうかは分かりませんが、ちょっと心配になったので、書いておきたいと思います。
・若手、継承者がいない問題
問題は、今の農家の収入が低下し、若手が出ない、継承出来ない、ことですね。
これには、前も書きましたが、農業観光地にして、食事したり、農作物を買いに来てもらう、販売所を作るとか、いろいろ収入アップにつながる多方面での営業をする、とか。
私のよく食べるもので、カップ飯。というのがありまして、そういうフリーズドライにして、湯で戻せる、そういうのを海外へ向けて売る。とか。
あとは自然の管理面で、田んぼの景観などを直接支払いをするのはEUでもありますが、上の湿地の資料でも、川や湿地をしている国もありまして、湿地地帯を管理することで飲み水を浄化するので管理への直接支払いとか、土手など川の温度を下げることで、海や川の養殖などにも良いので、川辺を管理したりするのに直接支払いとか。
それからまだ記事にしてないけど、NHKでもこの前やっていたのですが、コミュニティ農地。
貸地みたいな田んぼ田園家屋みたいにして、そこで集まって、にんじん植えたり、自然生活を楽しむ。またそこで集まった人らとコミュニティの場イベントもしたり、お茶会などが出来る。
そういうので、コミュニティ竹林っても、最近あるようです。ほかもいろいろ、草原とか海外はあるようです。
昔の旧家の古い住宅は、学校のイベントなどを請け負うことで、生計を立てたりするとか。
学校イベント、企業研修、教育実習の場に、そういう農地、牧草地、果樹園などで、研修とか昆虫研究とか。
とくに草原なんかは、草原性が減っているので、草原性の対策にもなります。果樹園にしたら、林縁の生き物がこれも減っているので、絶滅危惧種の林縁性の鳥たち、蝶などへの対策にもなります。
生物多様性への直接支払いで加算というのは、我々にとっても、水や空気、大気の汚染除去、気候調節等、さまざま恩恵があります。多くのレクリエーションの場になったり、我々が癒しに思ったり、農地や川や海の魚などに良い等、多くの便益があります。
大規模農地にしてしまうと、大量農薬大量肥料をかけて環境負荷が高くなり、気候変動も進めるうえ、その場が単調化する。病害虫や病気が出たら一気に壊滅してしまうでしょうし、そんため大量の農薬が必要となる。化学肥料も必要で、水の汚染、土の力を失い、気候変動を・・・と。
ミツバチのいないアメリカとか、昆虫絶滅も言われています。
例えば、うちの近所なら、今なら100枚ほどあって、数十人ほどが丁寧に農業をして、100様もの状態、品種がある田んぼが、1面になる。わけです。2面でも3面でも。
そうなったら、今まで、100様もの生き物や生息動物らがいたものが、田んぼ一面か、3つかにしかなりません。
(今でも慣行栽培の農薬のためほとんどいませんが、まだ少々、あちこち飛び交ったり、カエルとかはいます)
100haもの自衛隊駐屯基地、ゴルフ場程のものがメタン抑制などした日には、沈黙の夏です。カエルの。
カエルが消え、水鳥も消えます。
今の米騒動になる前、うちの近所は、米を休作していたのですね。(今年はやる気)
そうして、水田はカラカラだったのです。
すると、夜、イモムシでもミヨーかななどと家を出た時、妙にしん、としていました。
あれ?おかしい。なんでしんとしてるんだろ?と。
それで気づいたのですが、カエルの声がしなかった。秋の虫の声みたいなものだけはしてました。
水田がなくなれば、大変なことになる、とその時思ったのです。
同じく、大量農薬で殺虫剤をやるのなら、沈黙の春秋も、体験することになるはず。
それから、メタン抑制がーという話。
これに対し、水鳥の減少などを危惧する声をあちこち見ました。
これは、生き物を途絶してしまえば、春でも夏でも、秋でも冬でも言えます。
ドイツでは、昆虫の量が7割も減ってしまっていると、昆虫基本計画がありました。
気候変動の加速の中そんな農業で持つのか?とも思いますし、でも、今のままでは、なり手がいない・・・
とにかく、利益が出る体制にしてもらう、ですね。
農家が立ちゆくような、採算の取れる事。そうでないと、農業でも続かないと思います。
そこは、田んぼを何枚も作ってもらう。とか、減反せずに作ってもらう等して、生産は出来る限りしてもらう。
あとは適正な、経費などを請求した額で支払ってもらう。
そして、売り先はもっと売れるように、もっと食べてもらうように、いろいろ売り先、食べ手を、広げていく。
上でも加算や多方面の経営での副収入などのことを書きましたが、とにかく農家が農家にさえなれば安泰、その地で悠々自適に暮らせる職業家になれるようにしていくしかないように思います。
担い手が増えて、大勢いたら、農地も農村も、荒廃しないで、今の皆の郷里の姿を維持できると思いますし。
今はまだ私の思いついたりすることは上ぐらいですが、また今後もいろいろ考えて、思いついたりしたら書いてみたいと思います。
また、米を食べて応援、というのは言っていきたいと思っています。
あとは農地の生態系、です。
今でも農地の設計は、生態系を入れた設計にはなってないと思います。
さらに大型化したら、もう・・・100/1に減るかもしれませんからね。
有機の大型だったら、話が違うでしょうね。有機にしたらまだ、良いでしょうが、でも全部を担い切れるものでもないでしょうね。
ということで、農地は、またモザイク様に戻し、農地の生態系の分断も回復させ、奥山自然系や海川などの生態系へとつないでいく。農地も。と、していかねばならないと、今でもそうですから、思います。
いわば、自然インフラですね。農村にもグリーンインフラ、インフラというのはあまり好きではない言葉ですが、モズの生態インフラ大使もありましたが、まあ、入れていく、ということですね。時間を元に戻すというか。
今、でもなくずっと、EUも農地の生物多様性に取り組まれています。
2020年にEUでは特別レポートが作られたものがあります。
こちらのHPから、図をお借りして、こちらに出させてもらいます。
EU
出典:欧州会計検査院 (ECA)
CC BY 4.0
Special Report
Biodiversity on farmland:CAP contribution has nothalted the decline
EUでも集約化が進み、2020年までにも農業の生物多様性に取り組みましたが、まだ回復までは確認できなかったと報告されています。
ということで、EUでは今またさらに、こうした取り組みへと進まれています。
・・・・・・・
それで、私のまとまらない頭で考えてたものを、ちょっと描いてみたので、ちょっと失敗作なのですが、
あんまり思った通り描けなかったのですが、一応。
EUでは、間にあった木などの生垣をほとんど撤去してしまったそうです。でも、今また、入れることを考えられています。
リンク先では、ドイツのミツバチの保護の取り組みが見れますが、川岸を何メートルとか、道路の横の畔を5mほど取るとか載ってました。
考えてみましたが、道路の横っていいなと思います。
今から、田んぼはまあ、空いてくるので、こうした自然地帯を道路の横に多く取ったり、間に入れたりすると良いのでないでしょうか?
道路横ってだけでなく、空いたところにいろいろ、作って行ったらいいのでないかと思います。日本人は、なら、畔ならこーと、直線一面几帳面に固めそうですが、一様でなくて良いと思います。
あちこち、いろいろ、同じものはなくていい。あちこち、いろいろちがう感じで入れるのが必要だと思います。入れるというか、取り戻して行く。時間を遡る。
うちの近所は昔、このあたりは汽水域で、湿地性だったようです。(何かで見た)
じっとりして、湿地性植物が生えて、木がぽつぽつだったのでないかと。
そういうことで、緑の木々、草地、緑の道、セメント張りした川を自然の岸辺化、砂利化、湿地、池などを入れ、描いてみました。
循環型にする場合、地域的な防除の仕組み、肥料をその地域で作っていく体制が必要になって来るでしょうが、空いた土地で、肥料生産などをしていくことも可能と思います。
田んぼに魚などを入れたら、そのウンチも肥料になりますし、生き物がたくさんいたら、それも。それらが川へと落ちて、川や海の栄養にもなります。
その地その地の昔の状態ってのがあると思うので、昔の写真なんかを参考にして、自然地帯を入れて行ったらいいと思います。
で、私も最近、ちょっと調べて分かったのですが、在来種が生えるのは田んぼの周辺ぐらいで、あとはもう絶えているのですよね。
その在来種の在来環境を、どう入れていくのか?が、イラストでさっと描いてみただけですが、難しいなと。
私は勝手に描き入れましたが、これは研究や調査が必要なことと思いました。
EUでも低下が止まってないものを、日本ならどこまで低下するか分かりません。
地の力を失い、イースター島化して、異様な灼熱化の世界へ突入する・・・か。その前に、その地で放っておいても生えてくるほどの自力があり、ダメージを受けてもわずかで終わり、すぐ農作物も木々も生き物も回復する世界にしておくか。
何にせよ、農地だけでなく、山や海川、都市なども同じ出ないかと思います。
我らは多様性、複合的な複雑な自然がある場で生きていく。というのが、2050年自然との調和の世界での、目指すところと思います。
そのため、山にしても、海にしても、田んぼにしても、リゾートでも、都市でも農村でも同じ、生物多様性の面とつながりながら、促進させていくという、全部がそんなような使い方になると思います。
人間一人一人、我々にしても、キャンプのために開発開発ではなし、痕跡を残さない利用を考えたりしていくものと思います。
問題は、農家さんの収益です。
観光、野菜販売所、イベント等、何をやるにせよ、たくさん儲かって欲しいです。どんな制度になるにせよ、我が国の主食、食料です。
前の米騒動の時でもありましたが、どこかに足元見られて、自由化など、何を要求されるかもわからないですしね。
だから、気をつけて主食は特に大事に今後も、守って行かねばならないものと思います。
お読みいただきありがとうございました。




