ボデガス・グティエレス・コロシア(DOヘレス)
ヘレスのワイナリーと一口に言っても、実はボデガ(ワイナリー)のある場所によって微妙に異なります。
グティエレス・コロシア社があるのは、上の地図でエル・プエルト・デ・サンタ・マリア(以下エル・プエルト)という町です。レイ・フェルナンド・デ・カスティージャ社はヘレス・デ・ラ・フロンテラの旧市街に位置していますので、この差がシェリーの味にも現れます。
そして、グティエレス・コロシア社は、エル・プエルトの中でもグアダレテ川の河口に一番近く、気温や湿度が一定しています。ボデガの前の道を挟んで川が流れています。カディスに行く定期船も行き来していました。
オーナーのお嬢さん、カルメンさんが案内して下さいました。フェルナンド・デ・カスティージャのボデガは床にアルベロと呼ばれる砂が敷いてありましたが、ここにはありません。そうです。湿度や温度が一定しているので、水を撒いて調整する必要がないのです。
グティエレス・コロシア社は創業は1838年。現オーナーのファン・カルロス氏はお爺様からこのボデガを引き継いでいらっしゃいます。気骨な方で、地味なボデガの仕事を誇りとして日々取り組んでいらっしゃいます。
こちらでもフロールを見せていただきました。ヘレスのレイ・フェルナンド・デ・カスティージャで見たよりも厚いです。フロールも生き物なので、人間と同じく、寒い時や暑い時はあまり成長せず、春秋の気候が良い時に厚くなるのだとか。
この一番奥に『ソレラ・ファミリアル』と呼ばれる、ボデガ秘伝のお宝シェリーの樽があります。抜き注ぎを極力抑えていて、平均熟成は40年~50年という涎垂物です。
その涎垂物シェリーの樽にこんなサインが!そうです。しぇりークラブさんのスタッフの方がここで結婚式をされた記念にサインされたもの。素敵ですね~。
こちらはシェリー・ブランディー、エルカノの樽。余韻の長いシェリーブランディー、食後やナイトキャップにおすすめです。
ボデガ見学の後はお待ちかねの試飲。各シェリーに合う料理の写真が載っています。これはお嬢さんのカルメンさんの案だとか。こうやって若い方にシェリービジネスが継承されていくのですね。
ボデガ訪問とは別の日、どうしても渡したいものがあって、折しも日曜日だったので誰もいらっしゃらないかと思って伺ったのですが…。オーナーのファン・カルロス氏が黙々と樽の中のシェリーをチェックしている光景を垣間見ることが出来ました。
日曜は見学者が来ないのでゆっくり仕事が出来ると。毎日シェリーのチェックは欠かしたことがなく、勿論一日で全ての樽をチェックすることは出来ませんから、ほぼ15日で一回りするようにしているのだそうです。ということは、月に2回同じ樽をチェックするということになりますね。
こういった地道な作業があってこそ、高品質のシェリーが出来るのだな、と今更ながらに感慨深くボデガを後にしました。
スペインワインの輸入販売をしています。