私が担当させていただいている,子の連れ去り違憲訴訟の控訴審について,令和5年6月19日に東京高裁で審理が行われ,判決日が9月27日水午前11時50分からに決まりました。
子の連れ去り違憲訴訟は,令和5年1月25日に出された東京地裁判決を,多くの方に引用していただきました。同判決は,日本の裁判の歴史上初めて,「子の連れ去り」について,「国会の立法不作為」があることを認めた上で,以下のとおり判示しました。
東京高裁においては,①子の連れ去りについて「国会の立法不作為」があること,②その「国会の立法不作為」のために,多くの親と子が,自らの意志に反して引き裂かれて,多大な人権侵害や人格的利益の侵害を受けていること,③1人の人権を救済することが司法権の役割であり,「国会の立法不作為」に対しても積極的に違憲審査を行う判決が出されることを,心から祈っています。その判決がきっと,現在法制審議会で検討されている「離婚後共同親権制度」の創造に,大きな影響を与えることだと信じています。
(東京地裁令和5年1月25日判決)
東京地裁令和5年1月25日判決は,被告(国)の主張を排斥して,「したがって,原告らが主張する刑事法,民事法及び親権の行使に係る手続規定が現に存在するとはいえず,本件立法不作為が認められるというべきである。」と判示した。
さらに東京地裁令和5年1月25日判決は,「以上の事情によれば,日本の家族法制度については,国内でその在り方が議論されているにとどまらず,国際的にみても,条約の規定との整合性という観点等から問題視する立場があり,憲法98条2項が定める条約遵守義務に照らしても,他方親の同意なき子の連れ去りを違法とする規定,その他原告らが主張する法規制の制定は,今後の国内法の在り方の一つの選択肢として,議論されるべきものということができる。」と判示した。