私が担当させていただいている「離婚後単独親権制度違憲訴訟」は,東京地裁令和3年2月17日判決と,その控訴審である東京高裁令和3年10月28日判決を経て,現在最高裁判所に係属しています。
その上告審における上告人(原告)の主張書面である「上告理由書」などを,12月13日付で最高裁判所に宛てて発送しました。今後は,その主張書面における主張が,最高裁判所においてどのように評価がされるのかを待つことになります。
最高裁判所に提出した「上告理由書」などは,以下の訴訟用HPでご覧になれます。
振り返りますと,令和元年3月に訴訟が東京地裁に提起された後,当時の上川法務大臣が読売新聞紙上で「離婚後共同親権制度を検討する」との発言をされました。
そして,訴訟における東京地裁令和3年2月17日や東京高裁令和3年10月28日判決では,「親による子の養育は,親にとっても,子にとっても人格的な利益であり,親である父と母が離婚をし,その一方が親権者とされた場合であっても,他方の親(非親権者)と子の間も親子であることに変わりがなく,当該人格的な利益は,他方の親(非親権者)にとっても,子にとっても,当然に失われるものではなく,また,失われるべきものでもない。」との判決が出されるに至っています。
現在の民法819条が採用した離婚後単独親権制度が,離婚後の親権争いを生み,さらには子の連れ去りと面会拒否を生んでいる,と指摘されています。その制度による一番の被害者は,子供たちだと思うのです。
最高裁判所大法廷平成27年12月16日判決(夫婦別姓訴訟)などにより,「基本的人権に該当しなくても,人格的な利益については,憲法14条1項や憲法24条2項が保障する『法の下の平等』の保障が及ぶ」とされています。「人格的な利益」であるはずの親による子の養育が,現在の民法819条により損なわれていることは明らかだと,私は思います。少数派の人権や人格的な利益の救済機関である最高裁判所が,親子分断を生んでいる現在の民法819条から少数派を救ってくれるはずだと信じて,最高裁判所からの連絡を待ちたいと思います。