先日のこのブログの記事で,私が担当させていただいている東京地裁の2つの訴訟(①子の連れ去り違憲訴訟,②自由面会交流権訴訟)で,「親子審判制度の立法が可能である」との主張をしたことをお話しました。

 

 

 

 

 

弁護士作花知志のブログ/子の連れ去り違憲訴訟/親子審判の主張が裁判所で行われました

 

 

 

 

 

 

 

その後,さらに「子の連れ去り違憲訴訟」において提出した主張書面(原告ら側提出準備書面(7))の内容にも記載したのですが,実は,その「親子審判」に似た制度の立法提言が,あの法務省も参加して行われた「家族法研究会」が最終的に令和3年に公表した研究会での結論をまとめた「家族法研究会報告書」において,行われているのです。

 

 

 

 

 

その「家族法研究会報告書」133頁の「3 別居時の養育計画を適切に定めるための手続的規律」の記載を,以下で引用させていただきます。「親子審判制度」と類似した「手続の特則として特別の規律を設けること」について記載がされていると思うのは,私だけでしょうか。現在,その「家族法研究会報告書」は,法務大臣の諮問機関である法制審議会で参考資料として提出され,現在法改正案の策定が検討されています。「親子審判」の実現を心から期待しています。ご関心をお持ちの方は,ぜひ「家族法研究会報告書」133頁をご覧ください。

 

 

 

 

 

「家族法研究会報告書」133頁

 

 

 

 

 

3  別居時の養育計画を適切に定めるための手続的規律 家庭裁判所が上記1の判断を適切かつ迅速に行う観点から,この事項を 判断する審判において,手続の特則として特別の規律を設けること(保全手 続を含む。)について,更に検討を進めてはどうか。 例えば,上記1の事項を判断する審判において,家庭裁判所調査官による 子の現状確認及び親子の交流の様子の観察の結果(当該確認及び確認のた めの調査に対する両親それぞれの協力性に関する事情を含む。)を考慮する ことができるとの規律を設けることについて,更に検討を進めてはどうか。 

 

 

 

 

 

 

 (補足説明) 両親の別居が子に重大な影響を与えるものであることからすると,両親 が別居をする場合には,子の利益の確保を図る観点から,速やかに子の状況 を把握した上で,早急に子の監護に必要な事項が定められる必要がある。両 親の別居後の子の監護の在り方については,第一次的には,両親の間で,子 の利益を最も優先して取り決められることになるが,それが現実的に困難 な場合も少なくなく,そのような場合には,両親の別居開始後速やかに,家 庭裁判所において必要な解決が図られることが望まれる。この迅速性の観 点からは,保全手続の活用も考えられるところである。 

 

 

 

 

 

 

そして,家庭裁判所が「1」の判断をするに当たっては,子の現状や親子の交流に関する様子等を適切かつ迅速に把握する必要があるところ,その ための方法の一つとして,現在の実務でも用いられている,試行的面会交流 を含めた調査官調査が考えられる。そして,それら調査に対する両親それぞ れの協力性も,「1」の判断をするに当たって一つの考慮要素となるととも に,協力性を考慮要素として明示することにより,調査官調査において両親からの自発的な協力が促され,より適切かつ迅速な判断にもつながり得る と考えられる(もっとも,親子の交流の在り方等は各家庭の事情に応じて 様々であることから,非協力的であることのみをもって不利に扱うのでは なく,協力しない理由等を慎重に調査・把握することが必要であることはい うまでもない。)。

 

 

 

 

 

 

そこで,家庭裁判所が「1」の判断を適切かつ迅速に行う観点から,この 事項を判断する審判においては,本文に掲げたような手続の特則を設ける ことなどが考えられる。