私が担当させていただいている離婚後単独親権制度違憲立法不作為訴訟について,12月18日に東京地裁で第3回期日が開かれました。原告側は,被告(国)が答弁書等で行った主張に対する反論をまとめた主張書面(準備書面(1))と,原告の方の心情をまとめた陳述書等の証拠を提出しました。それらの書面は,以下の訴訟のHPでご覧頂けます。
期日では,原告側の主張に対し,被告(国)が再反論を行うことになり,次回期日が令和2年3月18日(水)午後1時30分(予定では東京地裁526号法廷)に指定されました。
上でもお話しした,今回原告側が提出した主張書面には,親と子とが触れあう時間を重ねながら互いに成長していくことや,親の子に対するして親権を有することについて,「国が与えたものでもなく,憲法が与えたものでもない。人が人として生まれたことにより,当然に有する権利である。親の子に対する親権は,その意味において,憲法13条が保障する人格権や幸福追求権に含まれる基本的人権である。」との主張を中心とした,とても美しい人権論が展開されていると感じています。
また,原告の方が書いてくださった陳述書には,現在世界中から非難されている,日本の離婚後単独親権制度が,どのように親子を引き離しているのか,子が両親と同じように会うことを希望していても,その希望を否定する結果をもたらしているのか,
さらには,互いに離婚で合意している夫婦が子について争わざるをえないという意味で,いわゆるゲーム理論における「囚人のジレンマ」を課しているのと同様ではないか,という内容がまとめられています。離婚後単独親権制度で親子関係を持つことが否定されている方,さらには,現在の法律制度に疑問を持たれている方が読んでいただければ,心を打たれる内容になっているように感じています。
法務省では離婚後共同親権制度導入を検討する研究会が既に始まっています。行政と司法とは異なる国家作用ではありますが,そのいずれも目指す方向が,社会の正義と公平の実現と,子の福祉の実現と,さらには,親子の貴重な触れあいの時間を大切にすることであることは確実だろうと思います。それが,私達の心の中の羅針盤が確実に指し示している方向なのだと思っています。
訴訟につきましては,今後も上で御紹介した訴訟のHPやこのブログで,お話する予定です。訴訟はまだまだ続きます。でも私は,この訴訟からは,きっと新しい規範が生まれるのではないか,21世紀の社会が求める正義と公平が姿を現すのではないか,と感じています。その新しい規範である離婚後共同親権制度の法改正が実現する瞬間を待ち望まれている方々のためにも,良い訴訟活動を続けていきたいと考えています。