先日も御紹介しましたが,9月15日に東京霞ヶ関の日弁連会館で,シンポジュウム「国際人権の視点から日本の家族法を考える」が開催されました。
シンポでは,最近,国連女性差別撤廃委員会の委員長に就任された林陽子弁護士など,国際法,さらに国内法の両分野で活躍されている法律家の方々が登壇され,非常に貴重なお話を伺うことができました。
シンポジュウムのスタートが,その林陽子弁護士による貴重報告です。フランスでは2013年の国内法改正により,夫婦が別姓を選択した場合,子の姓について夫婦の話し合いで合意が成立しなければ,夫婦の名字のアルファベット順で決めるという法律が制定された,というお話がありました。
そしてシンポジュウムでは,11月4日に最高裁判所大法廷が開かれることが予定されている①夫婦別姓訴訟と②女性の再婚禁止期間違憲訴訟についての,現在の準備状況や大法廷での審理の見通しについての報告が行われました。
私は,担当させていただいている②女性の再婚禁止期間違憲訴訟についての報告をさせていただきました。
報告のメインテーマは,「国内裁判所で国際人権条約をいかに有効に用いるか」についてです。実はこのテーマは,全国の弁護士が頭を抱えていることでもあります。
本来の意味では,日本の国内法よりも上位の効力があるはずの国際人権条約が,日本の裁判で援用しても判決で取り上げられることが少ないのはなぜか。さらには,国際人権条約機関から日本の政府に対して行われた国内法改正の勧告についても,日本の裁判で援用しても判決出取りあげられることが少ない(むしろほとんどない)のはなぜか。
外国の判決と比較しても,日本の国内裁判所における国際人権条約の直接適用可能性が遅れていることは明らかだと思います。国際人権条約が締結される趣旨は,世界中のいかなる国においても,同様の人権が保障されるように,との理念にあります。その理念からすると,日本の裁判実務の姿が理念から離れたものであることも,また明らかだと思います。
私が報告させていただいたのは,「国際人権条約と人権条約機関からの勧告は,憲法解釈に意味を与える立法事実である」という主張が有効なのではないか,ということです。この点につきましては,私が書かせていただいた論文(作花知志「国内裁判所における人権条約と個人通報制―事実としての条約―」『国際人権』23号56頁)にまとめておりますので,ご関心をお持ちの方はご覧いただければと思います。
でもその永遠のテーマも,時代の中での「平等観」が示され,それが歴史の中で積み重なってきました。11月4日に開かれる最高裁判所大法廷とその結果出される判決もその歴史の1ページとなります。
シンポジュウムを通して改めて感じたのは,「平等を実現することは難しい」ということです。
「平等」とは何か,私達は憲法と法律を用いながら社会でどうすればそれを実現できるのか,ということは,変化する人類社会の中での永遠のテーマなのだと思います。
これまで社会が積み重ねてきた「平等」の歴史に,新しい意味を与えることができるように,精一杯の弁論を行いたいと考えています。