私が代表を務めさせていただいている,福祉オンブズおかやまの総会とその記念講演が,平成25年5月26日に行われました。



福祉オンブズおかやまとは,福祉施設の運営などで問題があるとの相談を受け,その相談内容を検討し,法的措置を含めた救済手段を講じることを目的とした団体です。フェイスブックHPを設けておりますので,またお時間のある時にでもご覧下さい。



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その福祉オンブズおかやまの総会が,先日の日曜日に行われたのですが,総会に先立ち,記念講演も行われました。講演は,現在川崎医科大学神経科特任准教授をされている片山禎夫さんによる,「認知症ケアと身体ケアとの違い」です。



現在,認知症疾患医療センター副センター長でもある片山さんは,高齢化時代の現在,誰もが身近なものと感じざるを得ない認知症について,日々最先端の研究をされている方です。



そんな片山さんは,認知症の方を社会全体で支える大切さを唱えるとともに,それでも大切なことは,認知症の方との新しい関係を築いていこうという気持ちではないか,と言われたのです。



とても悲しく,苦しい側面を持つ認知症ですが,それでも社会としてその患者の方々を支える際,人と人としての関係の新しいスタートだ,と捉える気持ちが大切なのではないか,と言われるのです。






アメリカ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作でも知られる,俳優のマイケル・J・フォックスさんは,カナダ西部で,裕福ではないけれども愛情豊かな両親や祖父と過ごし,幸せな子供時代を送ります。



その後,「アメリカン・ドリーム」を胸に,アメリカのハリウッドにやって来ます。そして,まずはアメリカのTVドラマ「ファミリー・タイズ」で人気を博します。



そして,上でも述べた世界的な大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で,その人気を不動のものとしたのです。



もちろん私も,映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の3部作を拝見し,その面白さに魅了された1人です。作品そのものの面白さだけでなく,タイトルの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(未来に戻る)という言葉について,「よくこんな面白いタイトルを思いついたな」と感心したことを覚えています。



そして,もちろん映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の最大の魅力は,主役のマイケル・J・フォックスさんの魅力ですね。私個人としては,マイケル・J・フォックスさんの映画と言えば,他にも『摩天楼はバラ色に』(1987年)など,人生の喜びと悲しみ,そしてその素晴らしさを感じることができる作品が多いように思います。



さて,そんな飛ぶ鳥を落とす勢いだったマイケル・J・フォックスさんが30歳の時,悲しみが襲います。30歳の若さでパーキンソン病に罹患したのです。



マイケル・J・フォックスさんがその病気を罹患したことを雑誌ピープル誌上で発表したのが,罹患から7年後の1998年のことでした。その間,彼は日々苦悩の日々を送っていたのだと思います。



その病気のことを社会に知ってほしい,というマイケル・J・フォックスさんの希望から,自伝が出版されたのが2002年のことでした。『ラッキーマン』(2005年,ソフトバンク文庫)という自伝です。



自伝では,パーキンソン病を罹患していることを知った時のこと,その病気が進行し,症状を隠すのに疲れ果てていく過程,精神的に追い込まれていく様子など,とても悲しい気持ちになる記述が続く一方で,マイケル・J・フォックスさんは「パーキンソン病は天からの贈り物だ」と言われるのです。



マイケル・J・フォックスさんは言われます。こんな贈り物などいらない,と人はいうだろう。でもこの病気にならなければ自分がこの十年近く歩んできた心豊かな深みのある人生は送れなかった。



ハリウッドスターとして有頂天になっていた,病気に罹患する前の自分には決して戻りたいとは思わない。この病気のおかげで,僕は今のような自分になれたのだ。だから自分は「ラッキーマン(幸運な男)」だと思う,と。



そしてマイケル・J・フォックスさんは,少しずつですが現在でも俳優活動を続けながら,自ら設立した「マイケル・J・フォックス・パーキンソン病リサーチ財団」の活動を,日々熱心に行われているそうなのです。



病気になること。それ自体はとても悲しいことに違いありません。それはご本人にとっても,周囲の人間にとってもそうです。



でも,私達の人生に起こる全てのことそのものには,元々性質は付されていないのだと思います。その出来事を自分にとって幸せなのか,不幸せなのか,どう評価するかは自分自身が決めることであり,その評価の積み重ねが,またその人の人格を創り上げていくのだと思います。



片山先生の認知症のお話,そしてマイケル・J・フォックスさんのパーキンソン病のお話。さらには,その病気に決して負けずに,むしろ自分自身の人生にとって良かったのだ,ととても強い意志で困難に立ち向かおうとされているマイケル・J・フォックスさんの姿勢から,多くのことを学んだように思います。



なお,福祉オンブズおかやまの総会に合わせた会報に,私自身が代表として記事を寄せており,作花法律事務所HPのTOPIC欄にPDFとして掲載しておりますので,またお時間のある時にでもお読みください。



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