東日本大震災により被害を受けられた皆様に,心からお見舞いを申し上げます。
地元の新聞である山陽新聞で,次のような記事を目にしました(2011年11月10付山陽新聞掲載の記事より)。
「『ヤミ金逃れ刑務所行きたかった』コンビニ強盗で起訴の男供述
コンビニで現金3万8千円を奪い,強盗罪などで起訴された高知県生まれ,住所不定,無職の被告(36)が,『ヤミ金融の取り立てから逃れるため,六法全書を読んだ結果,強盗をして刑務所に行くしかないと考えた』と供述していることが9日分かった。
岡山地裁で同日開かれた初公判で,岡山地検が明らかにした。
被告は9月19日午前5時半ごろ,岡山市北区表町のコンビニで,店員に包丁を突き付けて『強盗じゃ,金を出してくれ』と脅し,レジの現金を奪ったとされる。」
地検の冒頭陳述などによると,被告は18歳のころからパチスロなどにのめり込み,今年6月にはヤミ金融などへの借金が数千万円に膨らんだ。取り立てから逃れて9月に岡山に来たが,犯行前日には所持金が千円に。
このため書店に立ち寄り,六法全書を読んで現金が手に入る犯罪を確認。逮捕されても刑務所に行くことができると考え,犯行を決意したという。
被告人質問で被告は,『店員に『金を返せばなかったことにする』と説得されたが,捕まるのが目的だったので通報するように伝えた』と説明。『(逮捕で)拘束されて落ち着いた。いろいろ反省して今後を考えたい』と述べた。被告はこの日,懲役4年6月を求刑された。」
このような事件が起きるということは,司法へのアクセス障害,アクセス認識の問題が社会では未だ大きいことを示していると思います。この被告人が事件を起こす前に弁護士のところに相談に来られていたら,弁護士からヤミ金融に連絡をして,それで取り立ては止まり,そこで問題は解決されていたはずなのです。その意味で,とても不幸な事件です。
法律家は人助けをするのが仕事なのに,社会で困られているすべての方々を救うことができていないのだ,と感じる記事でした。
このような方が出ないように,より分かりやすい法律の本,法律家による解説,報道などが今後も必要なのだと思います。このブログもそのようなお手伝いができるような記事を書いていくことができれば,と思っています。