ネビル・シュートの有名なSF小説。核戦争後の人たちの、最後の日々を描いている。
核戦争が勃発し、北半球の人間はほとんど死滅する。
戦争勃発時に、海中に潜航していた原子力潜水艦の乗組員がかろうじて生き残る。
彼らは南へ、オーストラリアに向かう。まだオーストラリアは生き残っていたのだ。
しかし、そのオーストラリアにも放射能の汚染は南下してきて、彼らもこの先、生き残ることは出来ない。
早晩、死の運命がやってくる。
その時、苦しんで死ぬよりも、薬によって安楽に死ぬことを、人々は願う。
その死までの日々を、淡々と描いて、当時の読者に衝撃を与えて、広範な読者を得た作品。
グレゴリー・ペック主演で映画化もされている。モノクロ作品。
映画を見ると、小松左京の「復活の日」は、この作品に影響を受けていたことがわかる
冒頭、潜水艦が浮上して、空気中の放射能の汚染度を調査するところから、映画は始まる。映画「復活の日」と同じだ。
「復活の日」は、ワクチンの存在しない危険なウィルス兵器の流出事故によって、南極にいる以外の全人類が死滅する。
物語中では、核ミサイルも発射される。しかし、世界滅亡の主因は、人工的に作られた殺人ウィルスなのだ。
「渚にて」は、核戦争による人類滅亡を描いている。
核爆弾が投下されて以降、宇宙から地球を見つめる目が増えているという。
果たして地球は、ウィルス兵器や核戦争の危機を乗り切ることが出来るのだろうか?