1960年代並みの水準となった日本の石油需要 | 油を売る日々

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石油連盟によると、今年10月前半の日本の原油処理量は日量250万バレルを下回った模様です。国内原油消費量は1960年代以来の低水準に落ちたことになります。

日本の石油需要は1990年代半ばをピークに減少傾向を続けていますが、ここまでくると景気動向との関係というより社会の構造変化の指向性が石油を不要とするよう不可逆に定まっていると考えるべきでしょう。

日本の実質 GDP はリーマンショックによる落ち込みの後、東日本大震災の影響を受けながらも2013年には元のペースを取り戻して緩やかな成長を続けています。それにも関わらず原油処理量はリーマンショックの前から既に顕著な現象傾向を示しています。

現在の国内燃料油生産のうち31%を自動車用ガソリン、24%を軽油が占めています。自動車などの燃料が全体の55%ということになります。そして発電や工業燃料などに使う重油、化学工業の原料に使うナフサと続きます。火力発電には重油の他にも硫黄分の低い原油を生焚きし、発電燃料の使用量は重油が原油より2~3割多いのが通常です。

さて、燃料油最大用途の自動車燃料ですが、若者の車離れに象徴されるように近年国内の自動車販売台数の増加ペースは落ちています。ただし、乗用車の保有台数はそうした印象とは違い21世紀に入ってまったく減っていません。GDP と同様に緩やかに増えているのです。ところが、ガソリンの生産量は震災以降落ち込みが激しくなっています。ハイブリッド車の普及以上に家計支出の低下が大きいのでしょう。トラックの方は保有台数がジリジリ減っているのに燃料需要は堅調です。稼働率が上がっているのですね。国民の生活の余裕がなくなる一方、輸送業の効率性は高くなっているということです。

効率化の進行は原油処理についても顕在化しています。日本国内の製油所精製能力は2010年代に入って25%余り削減されています。2000年代後半には需要の低下に伴って稼働率が70%台に落ちたためです。大幅な施設の減量を経て、現在日本の石油会社は業務効率性を極めて高くしています。

 

自動車燃料に次いで大きな需要を占める発電用燃料についてはどうでしょう。2011年3月の東日本大震災の発生前には全国に合わせて59基、総出力にして5,100万kwあった原子力発電所は、安全確認のためすべて停止しました。その後2015年の8月の九州電力川内1号機再開から現在までに再稼働が認められたのはわずかに9基、合計出力は910万kwに過ぎません。被災した福島第一、第二原発を含む22基は廃炉が決まっています。その他について再稼働に具体的な予定は決まっていません。2010年には総発電量の27%を占めていた原子力発電は、2017年には3%に過ぎません。

原発停止直後日本の電力供給は大混乱に陥り、老朽休止火力発電所の稼働も緊急に引き上げました。とはいえ、石油火力が活躍したのは2012年までで、2014年には原発がまだ1基も再開していない状態にも関わらず、石油火力による発電量は震災前の水準に戻りました。現在は電力需要自体の低下と石炭や天然ガス発電量の増強、原発の一部再稼働などに加えて石油火力施設の老朽化に伴う廃棄もあって発電用重原油の需要は更に下がる一方です。石油を燃料に電力を作る時代は終わりつつあります。

 

我が国の製造業は海外移転が進み、インフラも生活スタイルもエネルギー消費を抑える方向に変化してきました。一次エネルギーをほぼ全量輸入に依存する日本にとって、そうした変化は安全保障上の脆弱性を低下させているともいえるのでしょう。

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