きっかけは突然やってくる。
たまたま落ちてきた本棚に、頭を強くぶつけてしまい、病院にいった。CTやらMRI検査を受けたところで、結局、ぶつけた場所は打撲で大したことなかったのだが、「ちょっとだけ、動脈硬化があるねぇ」と、医者にさらっと告げられた。思考が停止する。頭がポカン、とはこういうことね。幸い、早い段階で見つかったため、食生活の改善と運動をしましょう。で、経過観察となった。
動脈硬化は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール、ともいう)値が高い人に発症しやすい。偏った食生活や、慢性的な運動不足が主な原因として挙げられているが、「家族性高コレステロール血症」と呼ばれる遺伝型で、生まれつきLDLコレステロール値が高い人もいる。私も後者のうちの一人で、自覚症状が無いため、普段の生活で気づくことは困難とされている。
その日から食に対する意識はだいぶ変わった。野菜の栄養素や効果など、何が身体に良いのか、悪いのか知識が身についてくると、自然と買い物が楽しくなる。調理の仕方によっても、栄養摂取量が変わってくるから、おもしろい。たとえば、じっくりと火を通した玉ねぎは、甘みが出て、申し分なく美味しいのだが、血液をサラサラにする成分は熱に弱いため、健康要素は軽減されてしまう。本来の栄養素を損なわないように、だけど美味しさも大切。食は、未来の自分をつくっている。だからこそしっかり考えて摂り入れなければならない。あと適度な運動も。
きっかけは、何だっていい。きっとみんな誰かの大切な人。どこかで聞いたセリフ、でもきっとそう。誰かのきっかけになればいい。
比屋根ひかり