雨の朝は丸いビー玉に包まれて、ゆんらりと揺られているよう。
いわれのない罪悪感と甘美な自意識に陶酔する。
こういう時間さえも、ああ残酷だと攻撃するマイ・サガー。
顔を洗って、乾いたようにみえる角質細胞に(水分は真皮まで届きません)化粧水をねりこむとき、
手の体温が顔に触れて暖かいことに安堵する。
張り巡らされてる血流がどくどくと皮膚を伝わる。
私、今日も生きていると確認できる瞬間。
一日いちにち生きているという実感こそが、私の本当の勝負なんだろう。
夏の終わりから履いているフローレントのサルエルパンツの股がさけた。
このサルエルはなんちゃってじゃなくて、ほんまもんのサルエルシルエットなので、
布が歩幅についていかなくなったんだな。
で、そんなのを履いて男の子に会いに行く、この神経よ。
夏くらいに知り合って、ご縁があってみんなでぽつぽつと顔を合わせている付き合いの、
洋服デザイナー・ドリーミン氏。
まったくのお友達だが、二人で会うのは今夜がはじめて。
こういう、人間関係の深度が変わる、自分の人生に関わりや影響を与えるくらいに距離が縮まる瞬間、
ものすごくわくわくする。ドキドキもするけど。
忘年会の時に「つながれる人とは必ずつながれるんだよ」とか「願っていることはだいたいがかなう」とか、
男子にしてはめずらしく抽象的、普段は大人の男なんだけどふと垣間見せるユニセックスなエアリー感に
私のインタビュー魂がピーン!と反応したのだ。
洋服が大好きで、いつかはファッションにかかわることもやりたいと思っているくらいだから、
実際につくる人に出会えた時は、私の気持ちがたぐりよせた縁だ!
って勝手に興奮した。
なにがうれしいって、なにを着ても理解してもらえるところだろう。
私のTPOは会う人の好みによって洋服の趣味をいかにおさえるか、というところで
会社→個性がほんのり自己主張している、ミニ丈が基本の女子度高め。
女子友→男子から絶対にモテない、でも女子ウケはいい流行りめ。
デート→相手の趣味嗜好の範囲を超えない程度。
おじさん→努力できる程度のコンサバ。
となる。
本領発揮すると、ほんとにデコラティブなヘンチクリン、はずしすぎて逆にださくなるので
いい意味のストッパーなのかもしれないけれど。
伝説のおされカフェで、ファッションはほんとに自分以上の力になってくれるよね、という話などいろいろ話す。
洋服をつくるって、言葉を扱う仕事よりもクリエイティブ度が高いんでないかな。
すごく繊細な人なんだろうと勝手に思ってたけど、そうでもないよう。
その両極端なバランスが良いんだろう。
「性格悪い人っているの?それは価値観の違いだけじゃん」
「自分で相手の理想を見限るのはやめた」
「自分がちゃんと気持ちよくいられるかのほうが大事」
「そうやっておしゃれして、おいしいごはんが食べられることがまず幸せでしょ」
私が人に言われたちいさいことをぐちぐちしてるのを
「えー、気にしすぎなだけです」とか、いうことがいちいちまっとうなんだけど、
でもそう、そうなのよねー、となぜか納得するキャラクター。
「自分がここにいることに感謝する。目に見えない力のおかげだと思う」
男の人からそんな発言を聞く日がくるとは!
でも引き寄せる力があるのかも。そう言ってる間に、タイミングよすぎるメールが入って、
二人でびっくりする。
まあジェントルで安定してて、非常にもてそうな人なんだけど、
逐一紹介してるいい女とはなんだか煮え切らない感じ。
難しいのう。
好きな人だから、変な女にひっかからず自分の知り合いとくっついてほしいんだけど。
想像以上にいろいろ深い話ができて、時間があっというま。
楽しくて、うっかりデザートのケーキまでたいらげた。
いわゆる誤解をたくさんしていたな。向こうもそうだといいけどな。
またファミリーで集まるべ、と3月の予定を確認して別れる。
展示会が年に4回もあるとかで、すんごい疲れているようだった。
がんばって自分のブランド立ち上げてほしいなあ。
仲間うちが世に出て、なんかよくわからないけどかっこいいことをいっぱいしたい。
バジェットは無制限。それがかなうパトロンもいる!
出た、この単細胞発想。
ちなみにお互いの第一印象。
「なんかすかした女だなあ。」
「ふん、ダンディぶりやがって。」
いやあ、人間てあきらめずにつきあってみるべきですね。