「黄昏」
(原題: On Golden Pond)
1981年12月4日公開。
人生の黄昏(たそがれ)を迎えた老夫婦と子供たちとの交流を描く名作。
ヘンリー・フォンダの遺作となった作品。
興行収入:$119,285,432。
受賞歴:
アカデミー主演男優賞(ヘンリー・フォンダ)
アカデミー主演女優賞(キャサリン・ヘプバーン)
アカデミー脚色賞
脚本:アーネスト・トンプソン
監督:マーク・ライデル
キャスト:
ノーマン:ヘンリー・フォンダ
エセル:キャサリン・へッブバーン
チェルシー:ジェーン・フォンダ
ビリー:ダブ・マッケオン
ビル:ダブニー・コールマン
あらすじ:
初夏のニューイングランド地方。
「ゴールデン・ポンド」と呼ばれる湖のほとりに、サイヤー一家の別荘があった。
引退した大学教授ノーマン(ヘンリー・フォンダ)と妻エセル(キャサリン・へッブバーン)が、今年も夏をこの別荘で過ごそうとやってきた。
もうすぐ80歳をむかえるノーマンは心臓が悪く、物忘れもひどくなっており、死への恐怖は増すばかりであったが、エセルはおだやかな愛情をもってノーマンを支えていた。
ある日、彼らの1人娘チェルシー(ジェーン・フォンダ)から手紙が届く。
ノーマンの誕生日を祝いにこの別荘に来るという知らせだった。
チェルシーは離婚経験がある。
13歳になるビリー(ダブ・マッケオン)という息子がいるボーイフレンドの歯医者ビル(ダブニー・コールマン)を伴ってやってきたチェルシーは、エセルには心から接すことができるが、父ノーマンとは相変わらずかみ合わない。
さらに悪いことには、ノーマンはビルにまで皮肉を言い、激しい感情のぶつかり合いを展開する。
やがて、チェルシーがビリーをおいてビルと共にヨーロッパへと旅立った。
しかし、1人残されたビリーは、だんだんとノーマンになついていき、2人はウォルターと呼ばれる魚を探しに岩だらけの入江へと釣りに出かけた。
夕暮れになっても戻らない2人を心配するエセル。
彼女の心配をよそに、2人はその後も釣りに熱中し入江を訪れた。
一方、ブリュッセルでビルとの結婚式を済ませて帰ってきたチェルシーは、エセルにノーマンの気持ちがわからないと告げるが、逆に「あなたは彼の愛情深い人柄がまだわからないの」と責められる。
ウォルターを釣って意気揚々と帰ってきたノーマンに、チェルシーは初めて素直な気持ちで口を開いた。
「普通の父と娘のような関係になりたい。パパと仲良くなりたい」と…。
コメント:
原作は1978年2月にブロードウェイで舞台化されたアーネスト・トンプソンの同名の戯曲『黄昏』(原題:On Golden Pond)である。
父と娘の確執を取り扱った作品であるが、それは実生活における父・ヘンリー・フォンダと娘・ジェーン・フォンダの不和を思い起こさせるものだった。
ジェーンが父親のために戯曲の映画化権を取得したとされている。
ジェーン・フォンダは父親の相手役として大女優のキャサリン・ヘプバーンを推薦した。
公開後本作品は批評家たちから絶賛され、興行的にも予想外の大成功を収める。
1981年度の第54回アカデミー賞では作品賞を含む10部門の候補となり、そのうち主演男優賞、主演女優賞、脚色賞の3部門で受賞した。
キャサリン・ヘプバーンが自身の記録を塗り替え史上最多となる4度目の主演女優賞、ヘンリー・フォンダが当時としては史上最高齢の76歳での主演男優賞と記録尽くめの受賞になった。
本作品で念願の主演男優賞を獲得したものの、ヘンリー・フォンダは授賞式を健康問題で欠席。
娘のジェーンが代わりに出席して賞を受け取った。
ヘンリー・フォンダは式の数ヶ月後の1982年8月12日に子供たちに見守られながら心臓病で死去し、彼にとって本作品が最後の映画出演となった。
この映画は、U-NEXTで動画配信可能: