「日本以外全部沈没」
2006年9月2日公開。
「日本沈没」のパロディ映画。
原作:筒井康隆「日本以外全部沈没」
脚本:河崎実、右田昌万
監督:河崎実
キャスト:
- おれ(主人公) - 小橋賢児
- 古賀 - 柏原収史
- 後藤 - 松尾政寿
- ジェリー・クルージング(オスカー俳優) - ブレイク・クロフォード
- エリザベス・クリフト(人気女優、ジェリーの妻) - キラ・ライチェブスカヤ
- キャサリン(「おれ」の妻) - デルチャ・ミハエラ・ガブリエラ
- 古賀明子(古賀の妻) - 土肥美緒
- ペピトーン元アメリカ大統領 - ジョン・ヒーズ
- ラインバック元アメリカ国務長官 - ビル・ダーリング
- 金元韓国大統領 - 坂本大地
- 張元中国国家主席 - 隅野貞二
- デンプシー元国連事務総長 - サラム・ジャーニュ
- 北の独裁者 - ジーコ内山
- ハリウッド映画監督ルージ・ジョーカス - ブルマンド・サンデイ
- 浅野内匠頭 - 八幡トモアキ
- 吉良上野介 - 石見栄英
- マジックガール - プリマベーラ
- 怪獣 - 谷口洋行
- 電エース - 破李拳竜
- 電一 - 南郷勇一
- 電車内の日本人 - 加藤礼次朗
- ナレーション - 木村裕二
- GAT・赤木隊長 - 岡村洋一
- GAT隊員 - 田崎敏路、清水一哉、原田光規、岡本光規、本宮賢二
- 記者 - 宮沢大地、阿部能丸、嶋田豪、稲川哲也
- アナウンサー - 三上哲
- ウェイトレス - 菅野沙織、一本木蛮、木村美幸、小峰柚子、野中聖治、渡部瑠美
- 出前持ち - ユリオカ超特Q
- 大家 - つぶやきシロー
- デーブ・スペクター(日本語学校「デーブ・スペクター日本語学院」校長) - デーブ・スペクター
- 結婚したばかりの若手議員 - イジリー岡田
- 機関銃で襲撃する北のウェイター - インゴ
- 予報士・森田良純 - 松尾貴史
- 酒場の男 - 筒井康隆(特別出演)
- アメリカ俳優 - プチ・ブルース、今一歩
- 編集長 - 黒田アーサー
- 伊達官房長官 - 中田博久
- 田所博士 - 寺田農
- 安泉純二郎首相 - 村野武範
- 石山新三郎防衛庁長官 - 藤岡弘
あらすじ:
酒場でペピトーン米大統領やロシア大統領が日本人をヨイショしている。
中韓首脳も神社にお参りしてきたという。
こうなったのも3年前の2011年、原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈んだのが最初。
大統領たちがエアフォースワンで脱出したり、4000人乗った飛行機が墜落したり大混乱。
オスカー俳優ジェリー・クルージングと妻のエリザベス・クリフトも自家用ジェットで日本に移住。
新聞記者「おれ」の妻キャサリンはアメリカ人で家族は中国に向かったかもしれないと慰める。
輸入に頼っている食糧は高騰している。
1週間後、中国大陸が沈没を始め、その1週間後にはユーラシア大陸がすべて、その2日後にはアフリカ大陸、翌日にはオーストラリア大陸が沈没。
田所博士によれば、地球温暖化でマントルが動き、挟まれた日本列島だけが突出したという。
避難民たちで日本の人口は5倍になる。
1ドル5銭になって外国で裕福な暮らしをしていた者たちも極貧になる。
外国人女性は日本の女性と違って可愛いと、メイドや愛玩用に雇われる。
捕鯨禁止を訴える国がなくなったため鯨肉が安くなる。
英会話学校が倒産して日本語学校が繁盛。
外国人犯罪が多発し対外国人治安維持組織が結成され、日本語を解さない者、日本文化に馴染めない者は国外(つまり海上)に放逐されるようになる。
おにぎり1個で仲間を売る外国人が増える。
「おれ」が外国人蔑視を強めるのと反比例して、移民を増やすべきというキャサリンの愛情は冷める。
キャサリンはうまい棒を万引して特殊部隊GATに捕まったジェリーと一緒に国外追放されることを選ぶ。
一方、日本に潜入していた北の某国の独裁者率いる特殊部隊が日本を乗っ取るためにテロを起こすが、田所博士は日本も沈むと予言し、安泉首相は各国の元首脳から今までの仕返しとしてリンチを受ける。
襲撃された石山防衛庁長官は特殊部隊を道連れに自爆し、田所の予言通りに日本列島も沈没を始める。
最期を前にした「おれ」や各国首脳たちはようやく和解し、日本列島は完全に沈没した。
コメント:
原作は、筒井康隆の同名短編小説。『オール讀物』1973年9月号に発表。
当時のベストセラーであった小松左京のSF長編小説『日本沈没』のパロディである。
題名の通り、日本列島以外の陸地すべてが沈没してしまった世界を舞台にしており、唯一の陸地である日本へと殺到する世界の著名人の悲惨な境遇と、世界で一番偉い人種となった日本人と三等市民である外国人の軋轢を描いた小説である。
とにかく、あらすじもキャストも、ハチャメチャだ。
日本の首相の名前が、「安泉純二郎首相」だと。
これは間違いなく「小泉純一郎」のパクリだ。
こういう小説や映画が世に出て良いのか?
大阪出身のSFの大家・筒井康隆が、ついに「日本沈没」のパロディ小説を作って、さらに映画化までしてしまうという。
おそらくこの作品が、最も人を食った、最低の俗物映画だろう。
「日本沈没」リメイク版が2006年7月15日に公開され、この映画は、その2か月後の2006年9月2日に公開された。
最もバカバカしい映画として、この作品は邦画史上名前が残るかも知れない。
この映画は、バラバラになった映像が多数YouTubeで散見されるが、まとめてしっかり見る価値はないだろう。
どうしても観てみたい方は、こちらからどうぞ: