「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」
(原題: Raiders of the Lost Ark)
1981年6月12日公開。
インディ・ジョーンズ・シリーズ第1作。
興行収入:$384,140,454。
制作総指揮:ジョージ・ルーカス
脚本:ローレンス・カスダン
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:
インディアナ・ジョーンズ博士:ハリソン・フォード
マリオン:カレン・アレン
ベロック:ポール・フリーマン
あらすじ:
時は1936年。第2次大戦勃発直前の混乱期。
勢力を増しつつあるナチス・ヒトラーは、最大の武器として多大な力を発揮するという伝説的なアーク<聖櫃>の行方を執拗に追っていた。
そのことを知ったアメリカ側は、阻止すべくあらゆる手段を用いる覚悟でいた。
その困難な任務を受けることになったのは、インディアナ・ジョーンズ博士(ハリソン・フォード)。
大学で考古学を教える教授である彼はアメリカ政府から、アーク発掘の要請を受け、早速エジプトに渡った。
彼は、恩師の娘で、かつて恋人だったマリオン(カレン・アレン)とネパールで再会した。
早くもナチス一派の攻撃を受けた彼らは、必然的に行動を共にすることになる。
しかし、インディのかわりにマリオンが襲われ、彼女が死んで初めて彼女を深く愛していたことに気がつくインディ。
ナチス側は、腹黒いフランス人の山師ベロック(ポール・フリーマン)を味方につけ、砂漠の廃城に発見されたアークの埋蔵地点発堀を開始した。
現地へ急行するインディ。
そこで、彼は、マリオンがまだ生きており、ドイツ軍の捕虜となっていたことを知る。
そして、敵の裏をかき見事アークを手にしたインディだったが、それもつかの間、アークを奪われると、マリオン共どもヘビの群がる神殿の奥底に閉じ込められた。
そこから脱出した2人は、軍用トラックを駆使して、再びアークを取り戻し、カイロからアメリカへと向かった。
しかし、ナチスは、Uボートでインディらの乗る貨物船を襲撃、アークとマリオンを奪い去ってゆく。
彼らは、ドイツ軍基地になっている、とある島についた。
ヒトラーに届ける前に、そのアークを開けることになったのだ。
島に追いついたインディは、マリオンを助けようとして、敵に捕われてしまう。
棒にしばりつけられる2人。夜、いよいよ、アークの蓋が開けられた。
しかし、中味はただの砂だ。
がっかりと顔見合わせた瞬間、すさまじい光が発し箱の中から出て一面をはうと、それは美しい女の姿になり、やがて恐ろしい骸骨に変わり、あっけにとられていた人々を襲い始めた。
その寸前にインディは、マリオンに絶対見てはいけないと警告しており、2人だけは、その様子を見ることなしに目を閉じていた。
嵐のような騒ぎがおさまると、インディとマリオン以外の人の姿はなく、アークの蓋はもとにおさまり、うそのように静まりかえるのだった。
それから数日後、政府の倉庫に、アークが運び込まれた。
そこには、同じような木箱が山と積まれているのだった。
コメント:
1930年代の戦乱期を舞台に謎の伝説に包まれた黄金のアークをめぐって様々な人々が暗躍するという冒険活劇。
タイトルの「アーク」とは、『旧約聖書』に記されている、十戒が刻まれた石板を収めた箱のこと。
証の箱(あかしのはこ)、掟の箱(おきてのはこ)、聖櫃(せいひつ)、約櫃(やくひつ)、ソロモンの秘宝とも呼ばれる。
この映画は、1981年に公開されたアメリカ合衆国の映画。
ジョージ・ルーカスとフィリップ・カウフマンの原案をもとに、スティーヴン・スピルバーグが監督を務めた。
出演はハリソン・フォード、カレン・アレン、ポール・フリーマンなど。
第二次世界大戦前の1936年を舞台に、フォード演じる考古学者のインディアナ・ジョーンズが、神秘の力を宿すと伝わる「聖櫃」を巡りナチス・ドイツとの争奪戦を繰り広げる冒険活劇で、後に続く「インディ・ジョーンズ」シリーズの1作目である。
1973年、ジョージ・ルーカスは、自身がかつて楽しんだ20世紀初頭の連続活劇を現代風にアレンジしたB級映画を作りたいと考えた。
1975年、ルーカスは友人のフィリップ・カウフマンと共に構想を練り、実在の考古学者や冒険家をモデルにインディ・ジョーンズの大まかな人物設定を創造。
また、この時にカウフマンは物語の礎となる契約の箱(聖櫃)キーアイテムとすることやナチスとの対立などの要素を提案した。
ルーカスはカウフマンが監督することを望むが、カウフマンは既に『アウトロー』(1976年)の制作に取り組んでいたため、ルーカスは一旦企画を停止。
『スター・ウォーズ』の制作・監督に専念した。
1977年5月、ルーカスは公開された『スター・ウォーズ』へ興行的失敗の可能性を感じたため、ハワイに逃避し休暇をとる。
この時、スティーヴン・スピルバーグが『未知との遭遇』の撮影を終え同じハワイで休暇を取っていたことで彼と対面。「『007シリーズ』のような作品を監督したい」と言うスピルバーグに「それならこんな企画がある」とルーカスが明かしたのが、本作の企画であった。ハワイから帰った数ヵ月後、カウフマンがプロジェクトに参加できないと分かったことでルーカスは正式にスピルバーグに参加を依頼し、スピルバーグは監督を引き受けた。
映画史に残る名作の1つとして知られる。
初公開時の1981年最高興行収入を記録するなど成功を収め、アカデミー賞5部門、サターン賞7部門など多数の賞に受賞・ノミネートされた。
大衆文化にも大きな影響を与える人気となり、公開後には『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年)、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023年)の4作のほか、テレビシリーズ、ビデオゲーム、テーマパークのアトラクションなど多くの続編やスピンオフが製作されている。
1999年、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
ストーリーもセリフまで覚えているほど何度も見た映画だという方々が多数いる名作だ。
だが、全く飽きない。
そして何度か見直すうちに、この映画のもつフィルム・ノワール的な表現、カメラワークのうまさにうなる。
特にヒマラヤでマリオンと再会する酒場のシーン。
マリオンの向こうの影に映るインディのシルエットが印象的だ。
まるでモノクロ映画の時代のハードボイルドのような表現が随所に示され、インディの存在感を際立たせる。
この主人公の奥深いキャラクターがこのシリーズを支えた大きな要因で、それはこのシルエットにあるようだ。
主人公は、決して万能ではなく、007やスーパーマンのようなかっこよさと強さはない。
どちらかというと情けない存在感でドジも踏むのだが、その魅力的な存在感こそこの映画の魅力なのだ。
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