「菊亭八百善の人びと」
原作は、宮尾登美子作の小説。
1990年2月27日から1991年3月20日までの1年間、読売新聞紙上に連載された。
東京に実在する有名料亭「八百善」を舞台とし、九代目栗山善四郎とその妻を題材として書かれている。
ヒロインは、戦後まもなく江戸料理の老舗に嫁いだ女性・汀子(ていこ)。
店の再興を賭けて、消えゆく江戸の味を守ろうと奮闘する下町育ちの女性の心意気を描く。
テレビドラマ(2004年版)
2004年3月29日から5月17日までの期間に、NHK総合テレビの月曜ドラマシリーズで放送された。
全7回。
視聴率不明。
キャスト:
- 杉山汀子:夏川結衣
- 杉山福二郎:吹越満
- 鈴木彦次(小鈴):金子昇
- 高木惇子:三原じゅん子
- わか:美保純
- 杉山静子:久我陽子
- 杉山秀太郎:利重剛
- 楠木護:田中実
- 与之助:清水アキラ
- 楠木茂一:橋爪功
- 鈴木清次(大鈴):塩見三省
- 中島みどり:井川遥
- 杉山れん:星由里子
- 杉山了二:杉浦直樹
各回のあらすじ:
第1回 「かつおにカラシ?」
昭和28年、深川育ちのちゃきちゃきの江戸っ子・汀子(ていこ)(夏川結衣)は杉山家に嫁いで6年。
江戸っ子らしく喧嘩は絶えないが、サラリーマンの夫・福二郎(吹越満)との間に2人の子をもうけごく普通の家庭を営んでいた。
杉山家は「八百善」という江戸時代から続く高級江戸料理屋を生業としていたが、空襲で店を焼かれ、営業を止めていた。
そんな折、福二郎の父・了二(杉浦直樹)が、営業再開にあたって自分は引退するので店は次男・福二郎に任せる、汀子が女将をやれと宣言。
自分は素人だととまどう汀子だが、素人なら勉強せよとにべもない。
不承知ながら女将修業を始めるが、古くからの従業員・わか(美保純)らから冷たくあしらわれ、板場の小鈴(金子昇)からは怒鳴られる始末。耐えかねた汀子は実家に戻り父・茂一(橋爪功)に、自分はサラリーマンに嫁いだのだ、店を継ぐのなら離婚すると訴える…。
第2回 「ハリハリ漬けの味」
菊亭八百善が開店した。
汀子(夏川結衣)も店に出たが、料理の名前がわからなかったり、熱燗や料理を落としてわか(美保純)から説教されたりと散々な初日だった。
おまけに帰宅すると長男・尊之が熱を出している。
汀子は自信をなくし、仕事と母親を両立するのは無理だと思ってしまう。
開店直後は忙しかったが、やがて客足が途絶える。
了二(杉浦直樹)が風流を解する客以外は断ってしまうのだ。
お客様を選ぶのはどうかと意見する汀子に、了二は「私の目の黒いうちは八百善の伝統を変えるつもりはない」と言う…。
第3回 「大鈴の味」
脳溢血で倒れた板長の大鈴(塩見三省)が亡くなった。
頼みの綱を失った汀子(夏川結衣)は落胆。
小鈴(金子昇)の料理を味見した了二(杉浦直樹)は小鈴を板長に。
大鈴を失った八百善は動揺。
馴染みの客も離れ、板長になった小鈴を快しとしない板前達。
小鈴を除く板前や仲居らが店の料理・酒で内輪の宴会をしているのを汀子が発見。
徹底的に追及すると言う福二郎(吹越満)だったが、わか(美保純)と面談し一転弱腰に。
仲居・さと(広岡由里子)が真実を告げた。
大鈴が倒れた日も宴会を大鈴に見咎められ、その時大鈴が倒れたのだと。
さらに、わかは福二郎が赤坂の芸者とできているという弱みを握っているので咎められないと言っていたという。
汀子は福二郎を追及するがとぼけるばかり。
大鈴の無念を晴らす為にも従業員との溝を埋めようと汀子は一家で店に住み込む事にする…。
第4回 「夫婦奮闘」
福二郎(吹越満)は元芸者みどり(井川遥)を八百善へ仲居として迎え、その馴染み客を店へ呼ぶ魂胆だ。
汀子(夏川結衣)はみどりの赤い髪留めが気になった。
以前赤い髪留めの女と夜の街へ消えて行く福二郎を見たのだ。
福二郎のあてははずれ、開店一年目の決算は大赤字。
無心を乞う汀子・福二郎に了二(杉浦直樹)は自分達で切り開けと厳しい。
みどりに酒を持って来させ、あおる福二郎。
そんな時、京料理の評判を聞いた汀子は小鈴(金子昇)とともに偵察に。
素材の味が生きていてなるほど美味しい。
しかし八百善の板場を預かるからには伝統の味を受け継いで行きたいと夢を語る小鈴。
汀子も今ははっきり言えるのだった。
「福二郎の夢に付き合って始めたが、八百善をやって行くのは私の夢」だと…。
第5回 「恋の味付け」
福二郎(吹越満)が入院する。
その原因は酒の飲み過ぎ・胃潰瘍。
みどり(井川遥)への援助の理由を追及する汀子(夏川結衣)を、いとこだからと煙に巻く福二郎。
福二郎とみどりの関係は店の者に知れ渡り、みどりは女将の座を狙ってると言う者も。
問いただそうとする汀子だが、みどりは黙って店を辞める。
そして了二(杉浦直樹)が汀子に真相を話した…。
第6回 「最大の危機」
みどり(井川遥)との結婚を前に、小鈴(金子昇)に呼び出された汀子(夏川結衣)。
何かを語ろうとする小鈴だったが、結局その真意はわからなかった。
福二郎(吹越満)は内密に八百善の全国展開計画を進めたが、資金調達のための小豆相場が暴落、1千万円の損をする。
了二(杉浦直樹)は家を抵当に入れ、汀子は実家の父(橋爪功)からも全財産を借金、八百善は最大の危機に…。
第7回 「最後の茶会」<終>
利き手を患い、店を辞めると言う小鈴(金子昇)を汀子(夏川結衣)は必死に説得する。
了二の喜寿の祝いまでに回復するよう頑張ると誓う小鈴。
八百善から目と鼻の先に安い京料理屋が開店。
軒並み予約取消が相次ぐ。
汀子と福二郎(吹越満)は宴会に使ってもらおうと営業に力を入れるが成果はあがらない。
小鈴は指のリハビリに努めたが回復は遠く、自棄になる小鈴をみどり(井川遥)が支える日々が続いた。
営業の甲斐あって店は宴会客に使われ出すが、了二(杉浦直樹)は複雑な思い。
了二の喜寿の祝いの日。
小鈴も板長の仕事を立派にこなし茶会は盛会の内に終わった。
しかし了二は「時代は変わった。もう風流など理解されない」と八百善の閉店を宣言する…。
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