大佛次郎の映画 「若き日の信長」 市川雷蔵主演! 海老蔵の舞台も! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「若き日の信長」 

 

「若き日の信長」 (音声の一部のみ)

 

1959年3月17日公開。

原作は、大佛次郎の戯曲。

 

原作:大佛次郎

脚本:八尋不二

監督:森一生

 

キャスト:

  • 上総介信長 : 市川雷蔵
  • 弥生(山口左馬之助の娘) : 金田一敦子
  • 小萩 : 青山京子
  • 林美作守 : 高松英郎
  • 平手五郎右衛門 : 北原義郎
  • 勘十郎信行 : 舟木洋一
  • 平手甚三郎 : 市川染五郎
  • 平手中務政秀 : 小沢栄太郎
  • 木下藤吉郎 : 月田昌也
  • 山口九郎二郎 : 伊沢一郎
  • 岩室長門守 : 清水元
  • 大石寺覚円 : 佐々木孝丸
  • 山口左馬之助 : 香川良介
  • 林佐渡守 : 荒木忍
  • 平手監物 : 松岡良樹

 

あらすじ:

戦国時代。若き織田信長は、尾張八カ郷を収め、清洲城により、駿遠三カ国の領主・今川義元と対していた。

日高城主、山口左馬之助は歴代織田家に仕えていたが、今川方の優勢に屈し、内応の約束をした。

娘の弥生を人質として清洲城に送ったのは、これを隠すためである。

彼女を林美作守と平手五郎右衛門が出迎えた。

美作守は名古屋の老臣林佐渡守の伜であり、五郎右衛門は信長の守役平手中務の長子である。

信長は奇行で知られていたが、実は遠謀深慮の武将であった。

林佐渡守が信長の弟信行を擁して、今川勢に降り、尾張の安全を計ろうとしていることも見抜いていたし、山口左馬之助の内通も承知していた。

さらに、今度、弥生の世話係にされた腰元、小萩が織田に亡された一族の遺児であり、左渡守と通じて信長を仇とねらっていることも。

諸国に間者たちを放っていたのだ。

この権謀術策には足軽頭の木下藤吉郎が一役買っていた。

--信長は弟・信行をむりやり馬に乗せ、ケガをさせた。

弟の体の弱さを憂えてのことであったが、いつもの乱暴とされた。

先殿の三回忌法要に、信長は姿を見せなかった。

--美作守は弥生に恋を打ち明けたが、彼女は信長を慕っていた。

小萩は平手中務の三男・甚三郎をあやつり、信長を刺させようとする。

--平手中務が自害した。

信長の行動をいさめるためである。

信長は遺書をつかんで男泣きに泣いた。

今川の大軍が越境してきた。

城門を開いた山口左馬之助は今川勢の手で斬殺された。

そうなるように信長が手をうったのだ。

前線の城は次々とおちた。

甚三郎は盃をくむ信長のスキを狙ったが、果せなかった。

中務の次男、監物はこれを知ると、小萩を斬ろうとする。

そのとき、美作守などが救いに現れるが、五郎右衛門の槍に刺された。

--裏切者は彼ら三兄弟に成敗されたのである。

信長は弥生からその慕情を告げられた。

彼は彼女のうつ鼓に合せて謡をうたい出陣の舞を一さし舞った。

豪雨の中を、数十騎を連れ、桶狭間をめざして馬を駆った。

今川勢は敗走し、信長は義元の首級をかかげた。

 

コメント:

 

市川雷蔵の主演による時代劇である。

映画デビューから6年目の作品である。

あの三島由紀夫の「金閣寺」を原作にした大ヒット作「炎上」の翌年の映画である。

 

若かりし日の信長を、若かりし日の雷蔵が演じている。

 

桶狭間の戦いまでの信長を描いているが、たった数十騎を連れて桶狭間で今川義元の首を取ったというのは、歌舞伎の世界に向けた話ではある。

 

原作は、大佛次郎の作品。 

だが、小説ではない。

大佛次郎が歌舞伎の為に書き下ろした戯曲だという。

2015年11月の顔見世興行で、市川海老蔵が大仏次郎の『若き日の信長』を演じている。

この作品は、昭和27年に、海老蔵の祖父に当たる九世市川海老蔵(後の十一世市川團十郎)のために書かれたものだ。

無法、放埓で知られた青年時代の織田信長の行動や思想を温かく肯定的な視線で捉えたものだ。

海老蔵の父・十二世團十郎もこの役を演じており、祖父以来の当たり役と考えてもよいが、それが戦後の作品、というのが面白い。

 

実際に先々代の團十郎を観ていない私が軽々に言うべきことではないが、良く言われるように、写真を見た限りではその面差しが、海老蔵は祖父にそっくりだ、とはよく言われている。

父の先代團十郎も海老蔵当時から現・海老蔵と同様に科白に難があることを指摘されていたが、この作品のように義太夫や長唄などの入らない芝居だと、それも気にならない。

意識しては知らないが、科白の語尾を無造作に放り投げるように言うのも、我々のイメージにある信長の無頼ぶりの一面を象徴しているように聞こえたという評価がある。

 

昼の部の三本の芝居の中から、あえてこの一本を批評として取り出したのは、期待していたよりも良かったからだ。

その原因は、先に述べた義太夫を使った歌舞伎ではないからだろう。

また、祖父に当てて書かれた芝居を、没後五十年に孫が演じている、という点もある。


信長に想いを寄せる孝太郎の弥生や、死を以てその振る舞いを諌める左団次の平手政秀の好助演が、海老蔵を支えていた要因は大きい。

ただ、この芝居の海老蔵に関して言えば、タイトルにあるように『若き日の』であり、信長が天下を取る前の人間として未完成な時代を取り上げ、それを演じる海老蔵の芝居もまた「未完成」であるからこその魅力だ。

 

 

そして、海老蔵が団十郎になった後の2023年に、再びこの演目を演じた。

その時の情報がYouTubeの残っている:

 

 

海老蔵といえば、独身の頃は、ヤンチャで有名だった。

暴走族の連中と毎夜のように都内の盛り場で群れて、酒を飲んで、喧嘩して、大けがしたり。

そんなわんぱく振りは、まさに若き日の信長と同然だった。

今は立派な歌舞伎界の中心人物になってきたが。

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