「平和に生きる」
(原題:Vivere in pace)
1947年イタリア公開。
1949年10月日本公開。
イタリアでのアメリカ軍とナチスとの戦いを描く。
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ
監督:ルイジ・ザンパ
キャスト:
アルド・ファブリッツィ:ティーニャ叔父さん
ミレーラ・モンティ:シルヴィア
ジョン・キッツミラー:黒人兵士ジョー
あらすじ:
第二次世界大戦末期。
場所は戦争が直接には影響していないイタリアのある山村である。
一見平和そうに見えるこの山村で、ティーニャ叔父さん(アルド・ファブリッツィ)は、豚を飼い、ぶどう酒をつくって日を送っている。
イタリアは独軍の占領下にあるが、ここには一人のファツショ駐在部長と一人のナチ監視兵が配置されているだけである。
ある日のこと、ティーニャ叔父さんの孫に当たるシルヴィア(ミレーラ・モンティ)という娘とその弟チットが、納屋から逃げだした豚を追いかけながら、愛犬ディックを探しに森の中へ入っていくと二人の脱走兵が隠れていた。
一人はアメリア軍の従軍記者ロナルド、一人は負傷した黒人兵士ジョー(ジョン・キッツミラー)であった。
姉弟は二人の脱走兵を馬小屋へそっと隠した。
それを知ったティーニャ叔父さんは苦情ばかり言いたてる妻をなだめすかして、二人をかくまう。
そして彼等も一家のもの同様に互いに親しくなっていった。
一方、ナチ監視兵のハンスは、ときおり郷愁にかられ、話相手がほしくなるのであった。
ある夜のこと、彼は、突然、ティーニャ叔父さんの戸をたたいた。
居間にいた脱走兵たちは逃げだした黒人ジョーのほうは穴倉へと身を隠した。
ハンスは、酒を飲みながら、いい気持になり、自分が百姓をしていた昔話を長々と語り出した。
穴倉にいるジョーは、貯蔵された酒を飲みだし、これもいい気持ちになって、放歌しはじめた。
おどろいたティーニャ叔父一同は、ハンスを泥酔させ、急場をつくろおうと懸命になる。
突如、ジョーが穴倉から姿を現わした。
敵と味方が相対した。
しかし、次の瞬間、ナチ兵と黒人兵士は抱擁し合い、千鳥足で夜の街を歩きながら、ピストルを乱射し、寝ている村人たちの安眠をさまたげた。
彼等は二人の姿をみて戦争が終わったものと早合点し、ナチ食糧貯蔵庫へ押しかけ思い思いの品物を持ち出した。
しかし戦争は終ったのではなかった。
翌朝これを知った村人たちは一人の牧師を残し、家財道具をまとめて避難しはじめた。
道ばたで寝てしまったハンスは翌朝、眼を覚ましたとき何も覚えていなかった。
そのとき、突如、砲声がとどろき、彼の記憶がよみがえりだす。
ナチ軍は連合軍のため遂に敗退したのだった。
ハンスは変装して脱出をはかる。
それを追っていくティーニャ叔父さん。
しかし、これも逃走中のナチ兵士を乗せたオートバイが通りかかり、二人は無残にも殺されてしまう。
そのあとで村には再び平和が訪れたのであった。
コメント:
戦争真っただ中で起こるコミカルな作品である。
実際にあった話だという。
以下のナレーションがある:
『登場するのは実在の人々である。
舞台になった村も実在する。
ドイツ軍は村を通過する時に、保管庫を守るドイツ兵1名と電話を残した。
村に駐在する役人は恐ろしい告示を貼り出す役目があった』
ハラハラドキドキの中に、笑えるシーンもあって、戦争映画としてはコメディにも思えてくる。
だが、最後に二人がナチスに殺されてしまう。
やっぱり戦争中だったのだ。
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