「ブラッド・ダイヤモンド」
(原題:Blood Diamond)
2006年12月8日米国公開。
2007年4月7日日本公開。
西アフリカを舞台にダイヤモンド争奪を巡る人間たちの葛藤を描いた人間ドラマ。
興行収入:$171,407,179。
受賞歴・順位:
第79回(2006年度)アカデミー賞 主演男優・助演男優・音響編集・録音・編集の5部門にノミネート。
第64回(2006年度)ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)にノミネート.
第77回(2006年)ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 第3位。
脚本:チャールズ・リーヴィット
監督:エドワード・ズウィック
キャスト:
- ダニー・アーチャー - レオナルド・ディカプリオ
- ソロモン・バンディー - ジャイモン・フンスー
- マディー・ボウエン - ジェニファー・コネリー
- ディア・バンディー - カギソ・クイパーズ
- コッツィー大佐 - アーノルド・ヴォスルー
- コーデル・ブラウン - アントニー・コールマン
- ポイズン大尉 - デヴィッド・ヘアウッド
- ベンジャミン・マガイ - ベイジル・ウォレス
- ナビル - ジミ・ミストリー
- ルパート・シモンズ - マイケル・シーン
あらすじ:
内戦が続くアフリカの、シエラレオネ共和国。
漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)は平穏に暮らしていたが、反政府軍RUFの襲撃により家族と引き離されてしまう。
ソロモンが連れて行かれたのはRUFの資金源となっているダイヤモンドの採掘場だった。
そこで驚くほど大粒のピンク・ダイヤを発見するソロモン。
これがあれば家族を救える。
危険を承知で彼はダイヤを秘密の場所に隠すのだった。
一方、ダイヤの密輸を生業としているアーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、刑務所でそのピンク・ダイヤの話を聞き、ソロモンに接近しようとする。
家族を探す手伝いをする代わりにピンク・ダイヤの在り処を教えてくれと取引を持ちかけるアーチャー。
しかしソロモンは承知しなかった。
一方でジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)がアーチャーに近付いてくる。
RUFの資金源となっている「ブラッド・ダイヤモンド」の真相を追っている彼女は、アーチャーの持っている情報が欲しかったのだ。
しかしアーチャーは口を閉ざした。
やがて難民キャンプで家族と再会するソロモン。
しかし息子のディアの姿だけが無かった。
RUFが連れ去った可能性が高い。
ソロモンは覚悟を決め、アーチャーの申し出を受け入れた。
こうして異なる目的を持った三人がピンク・ダイヤを求めて過酷な道を歩き出す。
アーチャーはこの暗黒の大陸から抜け出すため、ソロモンは息子の行方を突き止めるため、そしてマディーはアーチャーから決定的な情報を引き出すために……。
コメント:
ディカプリオ主演の社会派サスペンス映画。
西アフリカのシエラレオネで実際に起こった1991年から2002年の「シエラレオネ内戦」をベースに制作された映画。
この紛争は、反政府勢力、革命統一戦線(RUF)と政府軍との交戦で、ダイヤモンドの鉱山の支配権をめぐって大規模な内戦に発展し、7万5000人以上の死者を出した。
タイトルの「Blood Diamond」とは、直訳すると「血のダイヤモンド」だ。
紛争地域で武器購入のために取引されるダイヤモンドのことで、まさにタイトル通り。
アフリカのシエラレオネ共和国を舞台に、反政府軍に引き裂かれた家族が再会し、ダイヤ密輸で自国を搾取している黒幕を暴く物語。
ダイヤモンドを追い求める三人の人間たちの葛藤を描いた人間ドラマである。
レオナルド・ディカプリオ扮するアーチャーは、ダイヤ密輸に奔走する金の亡者。
反政府軍に捕ったソロモンは、ダイヤの採掘現場で働かされている時に、大粒のピンクダイヤを見つけ、土に埋めて隠す。
ソロモンの母子は難民キャンプへ送られ、息子は反政府軍にマインド・コントロールされた兵士になってしまう。
アーチャーは、ソロモンがダイヤを隠し持っていることを知り、家族を見つけると言って近寄る。
一見人助けをする善人風なのだが、本当はソロモンのピンクダイヤをねらっている、人で無しのワル。
一方、ジェニファー・コネリーが扮するのはジャーナリストのマディー。
彼女は、アーチャーから密輸のカラクリを聞き出そうとする。
最初はつれないアーチャーだが、殺し合いを繰り返す現地の人々の生活を目の当たりにし、次第に心を許して自分の生い立ちをマディーに語る。
ジェニファー・コネリーが若々しく美しい。
マディーとアーチャーの助けを借りて、ソロモンは難民キャンプを訪れるが、せっかく再会しても、柵の向こうの妻と子供を抱きしめることすら、許されない。
アーチャーを連れて、隠したダイヤのある採掘現場へ向かうソロモン。
反政府軍が身近にいるのを知りながら、兵士にされている息子を助けようと、大声で息子を呼んでしまう。
感動の後半の展開は次の通り:
空爆により、キャンプが制圧される。
大佐はアーチャーに、ダイヤの埋めた場所を尋ねる。
アーチャーはソロモンに、ダイヤの在りかを教えろと迫る。
ソロモンの息子のディアを人質にとられて、アーチャーとソロモンは埋めた場所に案内する。
ソロモンがダイヤを掘り返そうとしていると、アーチャーは合図をする。
アーチャーは時間稼ぎをして、隙をついて大佐たちを射殺する。
アーチャーは自分の体から血が出ていることを知る。
ソロモンがダイヤを掘り返していると、なんと息子のディアが銃を向けてきた。
ソロモンは涙を流しながら、ディアに言葉を伝える。
ディアは相手が父だと知ると、涙を流してソロモンに抱きしめられる。
追手が迫る中、3人はナビルの飛行機が来る場所へ向かう。
アーチャーはソロモンからダイヤを預かる。
ナビルに連絡すると、ソロモンたちを置いていけと言われる。
血が流れてふらふらのアーチャー。
もうダメだと悟ったアーチャーは、ソロモンにダイヤを渡す。
また、マディーの名刺を渡す。
そしてアーチャーは、一人で追手に立ち向かう。
やがて出血多量で死を覚悟したアーチャーは、ケータイでマディーに電話し、ソロモンに会って、彼らを助けて欲しいと伝える。
ナビルの飛行機がソロモンたちを乗せて飛び立つ。
その様子を見ながら、アーチャーはついに息絶えた。
その後、ソロモンはマディーとロンドンで会うことができた。
ソロモンは、アーチャーの取引相手と、ダイヤの交渉をする。
金だけでなく、家族と会うことも条件にするソロモン。
結局、ソロモンは家族と会うことができ、金も受け取った。
その姿をマディーは写真に収めた。
ジャーナリストのマディーの力によって、ソロモンの記事が新聞に掲載された。
血のダイヤモンドとして話題となり、代表者としてソロモンが演説をすることになった。
その後、2003年にダイヤの売買を阻止する法案がつくられ、シエラレオネは平和となった。
アーチャーが、ソロモンの家族愛やマディーとの会話を通じて、人間性を取り戻していく感じが良い。
エンドに近づくにつれて、すっかり善人に変貌したディカプリオの姿が見えて来て、グッとくる。
こんな感動的な物語だったのかと、驚く。
これまでディカプリオという俳優は、イケメンで女を引っかけたり、詐欺のプロになったり、ヤクザな若いもんになったりしていたが、この作品で初めて人を救うという偉大な行為をして、最後にたくさんの人々から賞賛される存在になる人物を演じている。
こんなディカプリオが観たかった!
感動が止まらない力作である。
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