仲代達矢の映画 「白と黒」 真犯人は誰か? 何度も犯人が入れ替わる最高のミステリー作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「白と黒」

 

映画「白と黒」 | 野中宗助の日常

 

1963年4月10日公開。

何度も犯人が入れ替わる最高のミステリー作品。

第37回キネマ旬報ベスト・テン第9位。

 

脚本:橋本忍

監督:堀川弘通

 

キャスト:

  • 小林桂樹:落合克巳(東京地検捜査検事)
  • 仲代達矢:浜野一郎(弁護士)
  • 乙羽信子:落合知子(落合の妻)
  • 大空真弓:村松由紀(製鋼会社会長の娘、浜野の婚約者)
  • 千田是也:宗方治正(城南弁護士会会長)
  • 東野英治郎:宮本(宮本組社長)
  • 小沢栄太郎:吉岡(東京地検刑事部長、落合の上司)
  • 西村晃:平尾(警視庁捜査一課刑事)
  • 山茶花究:岩崎
  • 三島雅夫:村松(製鋼会社会長)
  • 永井智雄:高原(東京地検公判検事)
  • 浜田寅彦:石川
  • 稲葉義男:法医学教授
  • 浜村純:矢野
  • 井川比佐志:脇田正吉(前科4犯の容疑者)
  • 岩崎加根子:大井房子
  • 木村俊恵:明美(呑み屋の女)
  • 野村昭子:ちよみ(呑み屋の女)
  • 菅井きん:きよ(宗方家女中)
  • 近藤洋介:大沢
  • 東野英心:ラジオ屋の店員
  • 淡島千景:宗方靖江(宗方の妻)
  • 松本清張:関東テレビ土曜日の番組『この人をたずねて』の司会
  • 大宅壮一:本人役(テレビ番組内の評論家)

あらすじ:

目黒の高級住宅街で殺人事件が起こった。

被害者は城南弁護士会会長・宗方治正(千田是也)の妻・靖江(淡島千景)で、発見者は夜間学校から帰宅した女中のきよ(菅井きん)だ。

捜査一課の厳重な警戒網が布かれた結果、前科四犯の脇田(井川比佐志)が現場附近の不審尋問に引っかかり、宗方邸へ強盗に押し入ったことを自供した。

事件担当検事・落合(小林桂樹)の尋問に脇田は殺人を自白した。

死刑廃止論者の宗方は、助手の浜野(仲代達矢)とともに脇田の弁護をかってでた。

浜野は新進気鋭の弁護士で学生時代から宗方夫妻の世話をうけていた。

この浜野と靖江の間には、彼が書生として住みこんでいた頃から関係があった。

しかし、その浜野には、製鋼会社会長・村松(三島雅夫)の娘・由紀(大空真弓)との縁談があった。

嫉妬に狂った靖江は由紀に二人の関係を告げると言い出したため、浜野は夢中で靖江の首をしめたのだった。

浜野は脇田が捕まって初めは喜んだが、日が立つにつれて良心の呵責に苦しんだ。

果ては、落合に必要以上に脇田の無罪を主張した。

落合は浜野の妙にからんだ言葉に疑問を持ち、極秘裡に補充捜査をすることになった。

その間、脇田は法廷で死刑の論告を言い渡されていた。

そんな頃、浜野が真犯人であるという証拠物件の数々が捜査一課に集まった。

その証拠の前に浜野は、殺人を自白した。

落合のメンツを捨てた再調査の、勇気と信念に対して、マスコミは一斉に拍手を送った。

ところが石川公一(浜田寅彦)という一人の見知らぬ男からの手紙によって、事件はまたもや意外なところに波及した。

九時二十八分に電話したとき話し中であったため、電話局で調べてもらったところ、女の声で応答があったというのである。

浜野は絞殺して九時には宗方邸を出ているのである。

失神状態を死んだと勘違いして逃げたのであった。

脇田はその後に押し入り、さわがれて殺したのであった。

検察庁はマスコミに徹底的に叩かれた。

落合は宮崎に左遷されることになった。

 

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コメント:

 

弁護士・浜野一郎(仲代達矢)は、不倫相手(淡島千景)に「男めかけ」と言われ、衝動的に首を絞める。

その不倫相手とは恩義のある先輩弁護士(千田是也)の妻だった。
一旦は立ち去るものの、お手伝いさんからの電話で呼び戻されるとそこには刑事が事情聴取をしている。

彼の事情聴取の最中に犯人が捕まったという通報が入り、うやむやになる。

 

映画「白と黒」仲代達矢&小林桂樹&橋本忍 - 映画とライフデザイン


捜査検事・落合(小林桂樹)は犯人・脇田(井川比佐志)を取り調べるが、彼は殺人は否認した。

その後、脇田は執拗な取り調べに対し、私がやったと自白する。

そこから裁判になるが、落合と浜野の議論の中で、もう一度調べ直してみようと思う。

そして捜査は進み、浜野の犯行にたどり着く。

 

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全体がよく組み立てられており、それぞれの関係者の心理をよく描いている。

特に落合が浜野に考えを述べるシーンでは、考えを述べる落合が映っているときは普通の音声で、それを聞く浜野が映っているときは音声を絞り、音の大きさで浜野の心理を表すところは素晴らしい。
殺人事件のえん罪は晴れたかに思えたが、ある手紙から再逆転が起きる。


落合検事の出世をふいにしてもえん罪を晴らそうとする執念は見上げたものである。

ここでもメンツとか出世とか司法の世界のどろどろした部分が描かれている。

 

まるでミステリー小説のような、逆転に次ぐ逆転で、最高にわくわくする展開になっている。

松本清張も関東テレビ土曜日の番組『この人をたずねて』の司会役で特別出演している。

だが、この映画は、松本清張原作ではない。
橋本忍のオリジナルだ。

この人は、邦画界きっての名脚本家で、数多くの傑作を残している。

主な作品を挙げると、ざっと以下の通り:

『羅生門』 / 『生きる』 / 『七人の侍』
『真昼の暗黒』 / 『張込み』 / 『ゼロの焦点』
『切腹』 / 『霧の旗』 / 『白い巨塔』
『上意討ち 拝領妻始末』 / 『日本のいちばん長い日』 / 『現代任侠史』
『日本沈没』 /『砂の器』 / 『八甲田山』 / 『八つ墓村』

 

この映画は、ビデオ化もDVD化もされていない。

だが、AMAZON PRIMEで動画配信可能: