「ブロンコ・ビリー」
(原題:Bronco Billy)
1980年8月16日日本公開。
西部劇ショーを演じるイーストウッドのコメディ映画。
脚本:デニス・ハッキン
監督:クリント・イーストウッド
出演者:
クリント・イーストウッド
ソンドラ・ロック
スキャットマン・クローザース
ビル・マッキーニー
サム・ボトムズ
ダン・ヴァディス
シエラ・ペシャー
ジェフリー・ルイス
あらすじ:
ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)は、“ワイルド・ウエスト・ショー”のリーダーだ。
これは、西部男たちの向う見ずの荒っぽさを活劇ショーに仕立てて披露する旅まわりのショーだ。
花形スターの彼の他には、司会役のドック・リンチ(スキャットマン・クロザース)、インディアン混血の中年美人ロレーン(シェラ・ペシャー)、彼女の夫でインディアン・ダンスや曲芸をこなすチーフ・ビック・イーグル(ダン・バディス)、投げ縄の名人レオナード(サム・ボトムス)、左きき2丁拳銃のル・バウ(ビル・マッキニー)、それに愛馬バスターなどがメンバーのメインだ。
彼らはアメリカの中南部を巡業し、時には慈善公演もかって出るが、経済的にはいつも苦しかった。
一座の移動は車で行なわれ、その日もカンサス州のジャンクション・シティに意気盛んに乗り込むと、ビリーは早速興業の許可をもらうために市の役所に出かけた。
窓口で、ビリーはジョン・アーリントン(ジョフリー・ルイス)とリリー(ソンドラ・ロック)という金持ちのカップルを見かけた。
彼らは結婚許可書をもらいに来ていたのだが、遺産相続のためにいやいやジョンと結婚するリリーは、欲ばりの母親をうらみつつも、はるばるニューヨークからカンサスに結婚式をあげる為に来ていたのだ。
結婚式を済ませて、あるモーテルで初夜を迎えることになったリリーは、しかしどうしてもジョンに抱かれる気になれず、拒み通した。
怒ったジョンは、リリーの持ち物全てを奪い、町から姿を消してしまった。
翌朝目ざめて、仰天したリリーはニューヨークの母親に連絡するために隣りのガソリン・スタンドに飛び込むが、1セントのお金もない。
困っているところに出くわしたのがビリーだ。
彼に10セントを借りることにしたリリーは、その金を返すために、ビリーの一座に加わり危険なナイフ投げの的などの役をひきうけるはめになる。
一方、ニューヨークでは、行方知れずになったリリーに、アイリンは大あわて。
殺されたのかも知れないと思った彼女は、弁護士に相談した。
それから間もなくジョンは警官につかまりニューヨークヘ護送されてきた。
弁護士は、ジョンのところへやってきて、ある相談をもちかけた。
ジョンがリリーを殺したことにすれば、アイリンに入り込んでくる遺産のうち、50万ドルは分け前としてジョンにあげるというものだった。
弁護士の甘い言葉に乗ったジョンはすぐにその計画に賛成した。
一方、リリーは、生れも育ちも違うビリーと何かにつけて衝突していた。
しかし、時がたつうちにビリーのみんなに対するやさしさや、子供達から英雄視されている姿に少しずつ惹かれるものを感じるようになっていった。
そして、ビリーが、かつて浮気をした妻を殺して投獄された過去を持っていること、それでも今は過去を忘れて、団員を家族のように愛していることをメンバーから聞き、深い感動を覚えた。
ある夜、リリーは地元のカウボーイたちにつかまり暴行されそうになるが、そこへ現われたビリーやレナートに助けられる。
しかし、レナートが保安官につかまり、その釈放のために、ビリーはせっかくためた貯金を悪徳保安官の前にさし出した。
さらに突然の火事で残りの貯金や道具を失ったビリーは、やけになり列車強盗を計画するが、それも惨めな結果に終った。
ある鉱泉サナトリュームで何とか幕をあけることが可能になった頃、リリー殺しの罪を引き受けて精神病院送りになっていたジョンがそのサナトリュームに来ていた。
彼の口からアイリンらの陰謀の全てを知ったリリーは、事実を明白にするためニューヨークヘ帰っていった。
リリーを失ったビリーの芸は精彩に欠け、一座のメンバーたちを心配させた。
そんなある夜、アビリーンの町でショーの幕を開いたビリーは、演技者入場口で衣裳をまとい艶然と微笑むリリーの姿を目にするのだった。
コメント:
クリント・イーストウッドの作品の中ではポップ。
残虐シーンなどなく、楽しく観れる。
ビリーの説教シーン、列車強盗のシーンなどは秀逸。
ソンドラ・ロックも良い。
オチも綺麗にほっこり終わる。
イーストウッドはこのコメディ仕立ての映画で、すぐキレる座長を、時にお茶目に演じている。
頭にきて、車のクラクションを鳴らす様が、何だかかわいいい。
そしてよくしゃべる。
こういうイーストウッドもかつては映画の中に存在していたのだ。
やはり彼は西部劇が好きなのだろう。
そんな愛情が画面のそこかしこから窺える。
そして西部劇が作られなくなった淋しさも、感じられる。
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