現れた「彼」ナシェル君は、写真よりも繊細そうで、やっぱり美しい男の子だった。


まつ毛長すぎやろ!


お目目もでかすぎだし。


ありきたりの表現ですが、少女マンガ(チョイ昔の)から抜け出したような青年が、


不安そうにこちらを見ている。


「ナシェル君?」


と私が尋ねると、彼は少しほっとした様子で、こちらに歩いてきた。


「本当に来てくれるのかって、ちょっと心配でした。あと・・・」


「綺麗な人で良かった」


お世辞とわかっていても、褒められるといい気分になる。・・・でも、なんだか素直に受け取れない。


「本気で綺麗な人間に褒められると、うれしいけど複雑」


「ははは」


「きれいとか、かっこいいとか言われ慣れてるでしょ?」


「謙遜しても嫌味っぽいって言われるから、素直に認めることにしています。関西人だし」


笑った顔も、さわやかだった。


・・・まぶしいなぁ。とアラフォー女な私は目を細める。





今日は今現在の話。


今日、12歳年下出家予定の彼「よっちゃん」と入籍しました。


同棲1年。


色々ありすぎた1年でした。のちのちブログにも書きますが。


年の差も


収入の壁も


何も持ってないってことも


全く気にならなかったなぁ。



年上のお金持ちのおっさんたちと結婚したくてたまらず付き合ってた時には、


いつも焦ってて、


いつも何か不満で、不安だった。


今も将来とか、出産とか、修行とか、心配ではあるけど、不安ではない。


同棲→妊娠→結婚→修行→新婚生活(予定)


と順番はばらばらになってしまったけれど、後悔はしていないな。




その日は過密な仕事と、部下とのトラブルで、かなり苛立っていた。


今日もいつものワインバーで、がっつりのんでやる!


仕事終わりにバーに予約しようと携帯を出すと、メールのマークが表示されていた。


「彼」だ。


SNSで、彼は「ナシェル」と名乗っていた。(ロードス島戦記の登場人物の名前だ。かなりのオタクとみた。知っている私も私だけど。)


メールのやり取りをしているうちに、そのことを指摘すると、彼は食いついてきた。


「女性で『ロードス島戦記』知ってるなんて、珍しいですね!なんだか親近感がわきます」


そのメールがきっかけになって、彼は頻繁にメールを送ってくるようになった。私の事をお気に召したらしい。


犬の事。仕事の事。天気の事。


カワイイ絵文字を付けて、まめに送ってくる。


・・・・・・やはりホストか詐欺師なんだろうか?


不安は感じたが、まあ、そういうのに巻き込まれるのも面白いかな、とどこかで楽しんでいる自分がいた。だから、


「飲みに行きませんか?」


とその日誘われた時も、あっさり受けてしまっていた。


じっくり考えたら、怖い話なんだけど。


もし詐欺だったら、とか、襲われたらとか。こんなご時世なのに。

どこかで面白がる自分と、実際こんな若くて男前なのに、自分にかまってくれるのはなぜなのか、知りたかった。

一人で飲みに行くのが、単に味気なかったのかもしれない。


渡辺純一の「化身」の逆バージョンになるんじゃないかとも思ったが、それはそれで、人生は経験。


初デートなのに、とくに化粧直しもせずに、待ち合わせの場所に向かった。