昨日の朝、岩手の患者様から電話があり、佐藤先生が対応しました。
グレートデンの出産が前日から始まったのですが、2頭死産でその後も生まれてこないので、仙台の病院で夜間診察を受けたそうです。
その病院で、エコー検査で胎児はまだ2頭いるのですが、お腹の中で既に死亡しているとのことでした。
電話の時点で岩手にいるので、少なくとも2頭は死産ですが出産したので、陣痛促進剤の注射をしてもらい、反応がなければ早期に胎児を取り出した方が良いとアドバイスしました。
飼い主様は、岩手、福島県内で帝王切開をしてもらえる病院を探したのですが見つからず、夕方5時過ぎに私の病院に来院しました。
すぐに、入院し陣痛促進剤を注射したのですが、反応はありませんでした。
既に死亡が確認されていること、お産が始まってから2日目になっていることから、夕方の診察が終わって手術の準備をすぐにして、7時に10分に手術が始まりました。
開腹して、子宮を切開し、2頭の胎児を取り出したのですが、子宮の中にはさらに1頭の胎児がいました。
最初の2頭は大きな子で、既に死亡していたのですが、3頭目の子は他の子の半分くらいしかありませんでした。
佐藤先生が執刀して、私と廣橋先生が助手でしたが、胎児を取り出した後に佐藤先生は飼い主様に説明するため手術を離れました。
そして、佐藤先生が取り出された胎児を確認したところ、3頭目の子は微かにまだ心臓が動いていたのです。
10秒に1度くらいのとても弱い脈で、当然呼吸は始まっていません。手術は、廣橋先生と宮下先生に閉腹を任せ、すぐに私も手術を離れ佐藤先生と蘇生に入りました。
心臓マッサージをして、体を拭いて呼吸を刺激するのですが、反応しませんでした。しかしまだ心臓は動いています。関先生が心拍を上げる注射を打ってくれ、マッサージを続けるとしばらくすると少しだけ心拍が上がってきました。
私は、マッサージをしながら小さの子に声をかけます。名前がないのでよく勝手な名前を呼びます。「頑張って生きろ!太郎!」。
スタッフが「男の子ですか?」、見ると女の子なので、「がんばれ花子!」すると、一回だけ努力呼吸をしたのです。周りのスタッフも「花子!こっちへ帰ってきて」と始まりました。
そして佐藤先生が、当院で一番細い気管チューブを挿管し、人工呼吸も始まり、取り出してから40分後ついにとても弱いのですが、自発呼吸が始まりました。
その日残ったスタッフは獣医師6名、看護師2名、自発が始まったよと言うと、全員歓喜の声を上げました。
そしてその10分後、抜管をして、花子ちゃんは元気な鳴き声をあげたのでした。
お母さんの名前は「ルミナちゃん」7月24日で4歳になりました。ちょうど4歳の誕生日にお産が始まりました。
挿管して、蘇生中の赤ちゃんです。
夜中は、小野先生が、赤ちゃんをお母さんのおっぱいにつけてくれました。今朝の赤ちゃんです。勝手に名前を言って申し訳ありませんでした。途中諦めなくてよかったです。スタッフさんご苦労様でした。
本当に奇跡の子です。
今日の午前中に無事に退院しました。これから岩手まで帰るそうです。本当にご苦労様でした。