○トランプ大統領が食べたマンチズ・バーガーを食す（Part ２）

○大統領が食べたマンチズ・バーガー（２）

【How To Serve Munch’s Burger To President Trump】

（昨日の続き。元バー・ルームの樫井さんが開いた「トランプのバーガーを食べる会」に出席。その経緯を店主に訊いた）

青天の霹靂（へきれき）。

どのようにしてトランプにお店のハンバーガーを提供することになったのか。

トランプが横田基地に来日したのは2017年11月5日（日曜）。横田からゴルフ場（霞ケ関カンツリー倶楽部）にヘリコプターで移動。そこで取るランチとしてマンチズ・バーガーのハンバーガーが選ばれ、提供された。

この話が来たのは、その1週間ほど前。まさに柳澤夫妻にとっては青天の霹靂（へきれき）だった。外務省の職員が、「まだ何も決まっていないが、こんどトランプ大統領が来日するが、そのときにお店のハンバーガーを出せるか」と問い合わせてきた。もちろん、「出せる」という返事。「おそらく、それからいろいろと先方も調べたんだと思います。で、数日前に『お願いする』という正式なオファーが来ました」

そして、金曜日（11月3日）に現地（ゴルフ場）に行き下見をした。レストランの一部を使わせてもらえることになり、打ち合わせ。彼らはキッチンでハンバーガーを焼いて作るだけ。給仕は別のスタッフがゲスト（大統領と首相）のところまで持って行く。

当初は、安倍首相とトランプ大統領の2食分が出せればよい、ということだった。プロゴルファーの松山さん分はカウントされていなかったという。ただ、柳澤さんらは一応、40食分を用意した。

40食。

というのは、ハンバーガーは焼いてすぐに食べてもらわないとダメなので、トランプ氏の到着、ランチの始まり時刻に正確にあわせてバーガーを焼かなければならない。だいたい1枚2分くらいで焼けるのだが、当日は刻一刻、今トランプが横田を出た、着いた、レストランに入ったなどが連絡が入ってきて、それに合わせ、バーガーをどんどん焼いていたという。だが焼いても、すぐにランチにならないと時間が経ったものは提供できないので、次のものを焼くことになった。

焼いてすぐに出すために、10食ほどは、2人の首脳に提供する前に焼かれたという。結局、2人が食べた後に、それらの余ったものや、さらに余分に焼いたものがスタッフ、そして、松山さんに供されたという。

そして、2人が食べ終わった最後に柳澤さんが呼ばれ、トランプ安部両氏と面会が許された。ただし、写真は許されなかったという。

移動屋台で始めたのが2006年4月、実店舗が出来たのが2011年1月。屋台から11年余で、柳澤さんのハンバーガーはアメリカ大統領が食べたハンバーガーとなった。

「マンチズ」とは、病みつき、とか、むしゃむしゃ、もぐもぐ食べるというスラング。気取りなくむしゃむしゃ食べるハンバーガーだ。

聞けば、柳澤さんその昔、ラップもやっていたという。「いやいや、たいしたことないです」と謙虚に言っていたが、ラッパー転じてハンバーガー屋さんとは、なんというソウルフルな人生。どうもミュージシャンからハンバーガー屋さんになる人は多いような気もする。

～～～

コンサルタント。

それにしても、渋谷のソウル・バー「バー・ルーム」を樫井さんがクローズしてから9年。いわゆるコンサルタントとして、この「マンチズ・バーガー」のコンサルタントをすることになっていきなり、トランプのバーガー話が浮上した。もちろん、樫井さんはこのトランプにはまったく関連していないのだが、樫井さんがコンサルに入ったとたん、トランプの話が出た、という時系列で行くと、一言で樫井さんは「持ってる」としかいいようがない。その「強運」は生かしていくしかない。