吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002


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●モハメド・アリ死去~リングで闘い、アメリカと戦ってきた男

【Muhammad Ali Dies At 74】

訃報。

ボクシング・チャンピオン、ヒーロー、グレイテスト、モハメド・アリが2016年6月3日(金)、アリゾナ州フェニックスの病院で死去した。長くパーキンソン病を患っていた。74歳だった。

http://www.nbcnews.com/news/sports/muhammad-ali-greatest-all-time-dead-74-n584776

http://www.newyorker.com/news/news-desk/the-outsized-life-of-muhammad-ali

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交差。

モハメド・アリについては、拙著『ソウル・サーチン R&Bの心を求めて』で、マイケル・マッサーの章で、マッサーとアリの人生を並行して描いた。マイケル・マッサー(1941年3月24日生まれ~2015年7月9日74歳)とモハメド・アリ(1942年1月17日生まれ~2016年6月3日74歳)は1歳違い。

マイケル・マッサーは、1973年、ダイアナ・ロスのヒット「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」を書いたことで一躍注目されるソングライター、プロデューサーとなった人物。

その彼が1977年、映画『アリ~ザ・グレイテスト』のサウンドトラックをてがけることになり、二人の人生が交差する。ジョージ・ベンソンが歌ったテーマ曲「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」は、マッサーがエルサレムへソウル・サーチンの旅に出た末に生まれた作品だった。

そして、この曲はのちに無名の女性シンガーにカヴァーされ歌われるようになる。それが1985年2月にデビューするホイットニー・ヒューストンだ。ホイットニーが歌った「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」はジョージ・ベンソンのもの以上に大ヒットし、ホイットニーもマイケルも押しも押されぬスターになっていく。

マイケルは昨年亡くなったが、アリもその後を追うように同じ74歳で旅立った。

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『ソウル・サーチン R&Bの心を求めて』から一部を抜粋する。

グレイテスト。

マイケル・マッサーは、1977年、エルサレムへの自身のソウル・サーチンの旅で得たものを一曲の作品に落とし込む。彼はエルサレムで発見した自分自身の奥深くにある何よりも素晴らしい愛、最高の愛について盟友・作詞家のリンダ・クリードにエルサレムでの体験を語った。もちろん、偉大な(グレイテスト)ボクサー、モハメド・アリを想定したものだ。

「誰もがその人にとってのヒーローを探し求めている。人々には尊敬できる人が必要だ。だが、私にはそれを満たす人が探せなかった。だから、私は頼れるの自分だけだと学んだ。過去の誰かの後を歩むことは決してすまいと思った。失敗しようと、成功しようと、自分が信じる道を生きていく。私からすべてを奪えても、私の尊厳だけは奪えない。なぜなら、自分自身の奥深くに、何よりも素晴らしい愛を見つけたから」(「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」=マイケル・マッサー、リンダ・クリード作、歌・ジョージ・ベンソン、のちにホイットニー・ヒューストンがカヴァー)

アリからボクシングのライセンスを奪っても、彼の尊厳は誰も奪えない。キンシャサで奇跡の勝利を飾った男は疑うことなくヒーローだった。

エピローグ。

1996年、アトランタ・オリンピック。聖火台に聖火を灯す人物の名前は最後の最後まで秘密にされていた。その人物の姿を見た瞬間、世界中の人々は感銘の言葉をあげた。

「モハメド・アリ!!」

パーキンソン病のために彼の体は思うように動かない。体は小刻みに震えている。必死に聖火を灯そうと腕を動かす。やっとの思いで聖火が点灯した。会場が興奮のるつぼと化した。

オリンピック委員会はこのとき、彼がかつてオハイオ川に投げ捨てた金メダルを三十数年ぶりに再度授与することを決めていた。

かつては、ボクシングのグローヴを持って敵と戦い、勝ち続けてきた男は、今、グローヴに代わって聖火を持ち、必死になってそれを灯した。思うように動かない腕を動かし、聖火を灯した彼にとっては、その灯された聖火台の火こそ、相手の「ノックアウト」を告げ、アリの腕をリングで高く掲げる審判の勝利宣言さながらだった。それは彼にとって、かつて敵視したアメリカという国家に対する高らかな勝利宣言だった。彼は今、新たな敵、パーキンソン病という病と闘っている。その姿は痛々しくあっても、以前と同じく、人々にとっての真のヒーローの姿だった。

マイケル・マッサーは、その歌を歌うヒロインや病魔と闘うヒーローに人生の聖火を灯したのである。

(ここまで『ソウル・サーチン R&Bの心を求めて』吉岡正晴・著、音楽之友社・刊、2000年、104ページ~105ページ、120ページ~121ページから抜粋)

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闘い。

評伝は彼クラスになると、あちこちに出るとおもうので、ここでは僕の個人的な思い出を。

拙著『ソウル・サーチン~R&Bの心を求めて』(音楽之友社、2000年=現在4作が電子書籍で発売中)で取り上げた7人は、よく考えてみると、いずれも何かと戦っていた人物ばかりだ。恥ずかしながら、今、気づいた。

ジョン・ホワイトヘッドの目を通して描いたオーティス・レディング、ハーヴィー・フークワの目を通して描いたマーヴィン・ゲイ、二人を並行して描いたモハメド・アリとマイケル・マッサー、ずっと戦っているナイル・ロジャーズ、同じく音楽業界で苦闘してきたウーマック&ウーマックとサム・クック、女性への偏見と闘ってきたミニー・リパートン、二世シンガーとして世間と戦ってきたナタリー・コール。いずれも、なかなか勝てない相手とみな戦ってきた。

モハメド・アリも、ずっと戦ってきた。文字通り、ボクサーとしてリングの上の相手と、さらに、徴兵拒否に端を発し、アメリカという国と、そして、最後はパーキンソン病という病と。カシアス・クレイという奴隷のような名前を捨て、モハメド・アリに改名した男。

「蝶のように舞い、ハチのように刺す」のキャッチフレーズでおなじみのモハメド・アリ。

安らかに。

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モハメド・アリ追悼ではたくさんのソウル・ヒットがありますが、とりあえず、いくつかを。

まず、ジョージ・ベンソンの「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」。ほかにも「アリ・ボンバ・イエ」も。

https://www.youtube.com/watch?v=14RCqvjy5Xk&feature=youtu.be



そして、カシアス・クレイ時代に彼が歌った「スタンド・バイ・ミー」

https://www.youtube.com/watch?v=gK5JEkGixS4



カシアス・クレイ&サム・クックの共演。

https://www.youtube.com/watch?v=KEBVpxYeqWc



OBITUARY>Ali, Muhammad (Cassius Clay)
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