◇映画『ソウル・ガールズ』~2014年1月11日公開 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

◇映画『ソウル・ガールズ』~2014年1月11日公開~ソウルの魅力を力説

【The Sapphires : Australian Movie Focus On Aborigine】

(少しネタばれになりますが、鑑賞の妨げにはなりません)

先住民。

舞台は1968年初め、オーストラリア。アボリジニ(オーストラリアの先住民族)の姉妹3人、ゲイル(デボラ・メイルマン)、ジュリー(ジェシカ・マーボイ)、シンシア(ミランダ・タプセル)は地元で歌のオーディションに参加。しかし、彼女たちは肌の色が濃い黒人ということで、はるかに実力の劣る白人シンガーに負けてしまう。そのときの審査員で売れないミュージシャン、デイヴ(クリス・オダウド)はそのインチキぶりに怒るが、主催者にそのことでクビにされてしまう。そんなとき、彼女たちは新聞でヴェトナム慰問のグループ募集の広告を見つけ、そのオーディションを受けようとデイヴに相談。

彼女たちはその落ちたオーディションではカントリー・ソングを歌っていたが、黒人兵の多いヴェトナムを慰問するには、カントリーではダメだ、ソウル・ミュージックを歌えと説得。さらにグループをパワーアップするために、少し肌の色の薄いいとこケイ(シャリ・セヴェンス)を加え、4人組その名もサファイアズを結成し、オーディションに挑戦する。ジュリーをリードにした4人組は「フーズ・ラヴィング・ユー」を歌って見事に合格、ヴェトナムへ飛んだ。そこで彼女たちが見たものはーー。ヴェトナムで彼女たちは受け入れられるのかーー。

これは元々オーストラリアに住む先住民アボロジニのガール・グループを元にした実話を2004年、舞台劇『ザ・サファイアーズ』にして、それが好評を得て映画化したもの。2011年に製作され、2012年5月カンヌ映画祭でプレミア公開、さらに同年8月にオーストラリアで一般公開されヒット。2013年3月から全米でも公開され、ヒットしている。総予算約10億円(約1000万ドル)、現在まで20億円の興行収入を得ている。日本では2014年1月11日ロード・ショー公開となる。

差別。

僕は今回アボリジニたちが、オーストラリアで黒人(black)と呼ばれ、激しく差別されていたことを初めて知った。また、肌の色の薄いケイが政府に拉致され白人として育てられたという歴史も初めて知った。

そんな彼女たちが、落ちこぼれの白人ミュージシャンにソウル・ミュージックの魅力を教わる。「君たち、ヴェトナムで何を歌うつもりだ?」と問われ、「私たちは、チャーリー・プライド(黒人のカントリー・シンガー)なんかが好きなのよ」と言い、デイヴはソウル・ミュージックについてこうぶち上げる。

「君たちは黒人だ。黒人がカントリーを歌ってもダメだ」 「じゃあ、何を歌えばいいの?」
「今の音楽は90%がクソで、残り10%はソウル・ミュージックだ。オーティス・レディング、サム・クック、ジェームス・ブラウン!」「白人のアンタに何がわかるっていうの?」「オレは肌は白いが、血は黒いんだ」

そして、4人に練習をつけているとき彼はこうも言う。

「カントリー(・ミュージック)は喪失(lost)を歌う。ソウルも喪失を歌う。そしてカントリーでは、人はあきらめ、故郷に戻って嘆き、暮らす。だが、ソウル・ミュージックはそれを取り戻そうと闘う。失ったものを求めて必死にそれを探す。そのせつなさを魂を込めて歌え」

このデイヴは、オーティス・レディングの「ディーズ・アームズ・オブ・マイン」を初めて聞いたときの衝撃が忘れられず、ソウル・ミュージックの虜になった。

白人のデイヴが黒人の女の子たちに「ソウル・ミュージックのすばらしさ、魅力」を語っているところがなんともすばらしいではないか。この台詞はいつでも、どこでも使える。僕もこんご使わせていただこうと思う。(笑)

当時の音楽も存分に使われ、ソウル・ミュージック好きにはたまらない映画だ。しかもここで多くを歌うジェシカ・マーボイは、オーストラリアですでに「オーストラリアン・アイドル」(オーストラリア版アメリカン・アイドルのようなオーディション番組)で2位まで行き、レコード契約も持ち、CDを出しているソウル・シンガーだ。

人種差別、肌の色の濃い薄いによる確執、ヴェトナム戦争、生と死、ラヴ・ストーリー、そしてグッド・オールド・ソウル・ミュージック。

邦題はわかりやすくていいと思う。『ドリーム・ガールズ』や1960年代ソウル、ガール・グループを好きな音楽ファンにはまちがいなくお勧め。2014年1月11日からロード・ショー公開。

『ソウル・ガールズ』公式ホームページ
http://soulgirls.jp/

予告編
http://youtu.be/rnq0fRAybbw



『ソウル・ガールズ、The Sapphires』映画、サウンドトラック(輸入盤)(670円から)

Sapphires
Sapphires
posted with amazlet at 13.11.23
Various Artists
Sony Import (2012-08-28)
売り上げランキング: 173,118


収録曲

1. Land Of A Thousand Dances / Jessica Mauboy
2. I Heard It Through The Grapevine / Jessica Mauboy
3. What A Man / Jessica Mauboy
4. I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch) / Jessica Mauboy
5. Who's Loving You / Jessica Mauboy
6. I'll Take You There / Jessica Mauboy
7. Gotcha / Jessica Mauboy
8. Soul Man / Sam & Dave
9. Hold On, I'm Coming / Sam & Dave
10. Run Through The Jungle / CCR
11. Today I Started Loving You Again / Jessica Mauboy
12. People Make The World A Better Place Juanita Tippins
13. Yellow Bird / Jessica Mauboy & Lou Bennett
14. Ngarra Burra Ferra / Jessica Mauboy, Lou Bennett, Jade McCrae, Juanita Tippins
15. Shouting Out Love / Emotions
16. In The Sweet Bye And Bye / Jessica Mauboy

■ 「ソウル・サーチン・レイディオ」、2013年11月26日放送でご紹介、試写状プレゼント

次回「ソウル・サーチン・レイディオ」(インターFM、76.1mhz、毎週火曜日夜8時~10時)で、映画試写状を抽選でリスナー10組20名の方にプレゼントします。応募方法などは番組をお聞きください。

試写会日時 2013年12月18日(水) 18時00分 開場 / 18時30分 開映 
場所:一ツ橋ホール(約800席) 東京都千代田区一ツ橋2丁目6-2 日本教育会館3F
03-3230-2831

MOVIE>The Sapphires
RADIO>Soul Searchin Radio