★カリンバ奏者、ケヴィン・スピアーズ語る | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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★カリンバ奏者、ケヴィン・スピアーズ語る

【Kevin Spears Talks】

カリンバ。

カリンバ。アフリカの楽器だ。日本では指ピアノなどとも紹介される。だいたい15くらいの鍵盤が付いていて、それを両手で持ちながら、指ではじいて音を出す。ただこの鍵盤の数も別に決まっているわけではないそう。形状も決まりはない。よって、さまざまな種類のカリンバがある。オルゴールの原形・起源とも言われる。しかも、名前もアフリカの場所によって様々に呼ばれる。ンビラ、ンビラ・ニュンガ、カリンバ、マリンバ、オケメなどなど。

このサウンドを広く世界に紹介したのは、アース・ウィンド&ファイアーのリーダー、モーリス・ホワイトだ。彼が1970年代初期から自身のグループのレコーディングの中で積極的にこの楽器を使い、一気に広まった。とは言うものの、楽器自体が珍しいこと、演奏家が少ないことなどから、だれもかしこもやって大ブームということにはならなかった。しかし、それでも、徐々にアフリカ音楽をプレイする以外のアーティストたちにも浸透していった。

僕など、アースのサウンドをもっとも際立たせている楽器が、カリンバだと感じているので、カリンバの音が流れるだけで、アース! と条件反射で思ってしまう。

さて、そのカリンバを巧みに操るのがプロのカリンバ奏者、ケヴィン・スピアーズだ。先日、少し話を聞いた。

彼がそもそもカリンバに興味を持ったのは、彼の姉が大のアース・ウィンド&ファイアー好きだったからだ。姉がアースのアルバムを持っていて、それを聴いているうちに、モーリスが持っていたカリンバという楽器に興味を持った。1974年のこと、彼が10歳頃のことだった。アルバムは、『オープン・ユア・アイズ(邦題、太陽の化身)』(1974年3月リリース)だった。この中ジャケに各メンバーの写真がそれぞれあり、モーリスがカリンバを持って映っていた。

これは、オリジナルのアルバムの中に入っているLPレコードをいれる中ジャケットの写真のことで、今リリースされているCDにはその写真は入っていない。モーリスは、さまざまなタイプの打楽器を置いて、写真に映っている。カリンバもいくつかの種類を見せている。この写真が、いわば、ケヴィンのその後の人生を変えた。

ケヴィンは、1964年8月27日ケンタッキー州レキシトン生まれ。15年ほど前からアトランタ在住。11歳の誕生日(1975年)に、母親に「洋服も何もいらないから、カリンバを誕生日プレゼントにほしい」とねだり、買ってもらってから、毎日のようにカリンバで遊ぶようになった。彼によると、ケンタッキーというのは本当に畑くらいしかなく、何もない田舎の土地なので、カリンバにはかなり集中して練習したという。

ケンタッキーというと、たしか、モハメド・アリがケンタッキー生まれではなかったか、とケヴィンに言うと「おおっ、そうだ。アリはルイヴィル。僕はレキシントンという街だ。そこから車で1時間くらいのところだよ。よく知ってるな。(笑) ケンタッキー出身の人は、何もない田舎だから、けっこう隠したがるものなんだよ」と笑った。

おそらく、30ドルくらいで母親が買ってくれたのだろう。しかし、教則本もなければ、コーチもいなかったので、すべて独学。ひたすらアースのレコードを聴いて、どんな風に鳴っているかを耳で覚え、勉強していった、という。

そして、20代になると、少しずつプロとしての仕事が入ってくるようになり、1996年ごろ、アトランタに本拠を移し、多くのアーティストとかかわるようになった。

これまでに、ヴィクター・ウーテン、ブルース・ハンプトン、エリック・ベネイ、アレステッド・デヴェロップメント、ビル・サマーズなどと共演。プロのカリンバ奏者として知名度を上げている。

ステージでは、ループ・ステーションというその場で音を録音したものを、再生し、それにあわせてさらにプレイしたものを聴かせ、録音を重ねる機材を使い、おもしろいことを聴かせる。ケヴィンによれば、ここ4年ほど、このループ・ステーションを使っている、という。ただし、「プリ・レコード(事前に録音した音源)は、使わない主義だ」という。

ケヴィンのループ・ステーションを使ったパフォーマンス例


http://www.youtube.com/watch?v=e3BBAG1i5uw&feature=player_embedded

カリンバをプレイする人はやはりそれほど多くはないらしい。これまでに、カリンバを弾いていたら、ワイルドな動物が近づいてきたこともあるそうだ。

また、最近、彼は複数のカリンバをプレイすることもある。彼はカリンバをベースやロック風ギター、ヴォコーダーっぽく演奏してみたい、と考えている。そして、かつて、レス・ポールやジミ・ヘンドリックス、ハービー・ハンコックらがそれぞれの楽器で新たなサウンドをクリエイトしたように、このカリンバで新しい音、演奏方法などを生み出したいと思っている。


■「ジャズ・ファンク・アフリカ」のライヴは2011年7月9日(土)赤レンガ倉庫で

詳細↓
http://www.jfafesta.com/

横浜公演
【日時】2011年7月9日(土)
【場所】横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
【開場】15:00
【演奏】1st: 16:00~17:30 / 2nd: 18:30~20:00 (入替無し)
【ワークショップ】カリンバ、コラ、アフリカンドラム
【物販コーナー】
☆アフリカのハープ「コラ」の展示販売。最高峰のToumani Diabate工房製
☆マリの「泥染め」衣装 ☆西アフリカの「パーニュ」布の衣装、小物
☆コンゴの木工芸品、美しい砂絵、愛らしい子供服
☆ 東アフリカの布「カンガ」。美しい柄にスワヒリ語の諺などの文字がプリントされており、女性がその気分に合った文字のプリントされたカンガを身に纏い、意思表示としても使われます。
【入場料】 前売¥3500(ペア¥6000) 当日¥4000(ペア¥7000)
(何れも小学生以下無料)
※ご入場は受付番号順です。ご入金確認後受付番号をメールでお送り致します。
【お申込方法】
Jazz Funk Africa!公式ホームページの『ご案内・ご予約/Ticket』(下記URL)にあるお申込フォームをご利用下さい。
http://www.jfafesta.com/ticket001.html
【問合せ先】jazz.african@gmail.com


カリンバの音



http://youtu.be/mNsG2W7Z_d0

カリンバ・マジックのサイト(英語)
http://kalimbamagic.com/index.php

同サイトに掲載されているケヴィン・スピアーズのインタヴュー
http://kalimbamagic.com/newsletters/newsletter5.09/interview.shtml

アース・ウィンド&ファイアー 『太陽の化身』(ここにそのなも「カリンバ・ストーリー」という作品が収録されています

太陽の化身
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