解説 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

【フィラデルフィア展・今日から】

解説アフロひらめき電球

『フィラデルフィア美術館展』東京展が10月10日から始まる。その内覧会が9日、上野の東京都美術館で行われ、今回は「フィリー・ソウル・サーチャーズ」の関係もあって、足を運んだ。

上野の森は、いくつか博物館があって、徳川展をやっている国立博物館に行ってしまった。少し遅れて入るとものすごい人だかり。司会者と美術館関係者がいくつかのやりとりをした後、今回のイメージキャラクター、檀れいがマティスの「青いドレスの女」を彷彿とさせるドレスで登場。

その後、「ソウル・サーチン」でコメンテーターも務める岡伸昭さんとともに作品を見る。音声ガイドも借りて、それを聴きながら行こうということになった。岡さんは、自分が絵を書いたり、デザインをしたりするアーティストでもあるが、とあるカルチャー・センターで美術史などを教えている先生でもある。

そこで、順路にしたがって、作品を見始めると岡さんがいろいろと説明してくれる。それがけっこうおもしろい。

たとえば、ある時期から絵の具がハンディになって、外に持って出られるようになった。それによって画家はそれまで室内でしか描けなかったが、外に出て描けるようになった。「つまりウォークマンが登場して音楽が戸外に出たのと同じことが起こったんですね」とか、画家の誰と誰が仲がいい、とか、仲が悪い、とか。この画家は金持ちからの支持が厚くけっこう裕福な生活ができた、とか、逆にこの画家は画家仲間からはものすごく評価されていたが、一般からは全然評価されていなかったので貧しかった、とか。これはその後のキュービズムに影響を与える原点になった、とか。彼はオリジナルだが、そのフォロワーの彼のほうが人気がでてしまった、とか。彼らは、当時の絵の世界ではかなり異端で、けっこうプリンスみたいな存在だったんですよ、とか言われると、急に親しみがわく。

そんな解説を受けながら、見ていると「フィリー・ソウル・ナイト」でお世話になったメトロS氏登場。これこれしかじかと説明すると、「じゃあパワーポイントとか使って、一点に一口キャッチかなんか言ってもらって、紹介するなんて、イヴェントの合間にいいかもしれませんね。『これは、だれそれの最高傑作、必見!』とか」。う~~ん、いいアイデアかも。

近代絵画史みたいなものが、ひじょうにおもしろく解説された。こういう話を聴きながら、絵画を見ると興味も広がる。あるいは、「岡先生と見る『フィラデルフィア美術館展』」なんていうのもおもしろいかもしれない。(笑) 歩き始めて閉館の6時すぎまでに、2時間弱、作品点数の半分くらいまでしか進まなかった。この続きは、また後日、ということになった。

■「フィラデルフィア美術館展」オフィシャルサイト
http://www.phila2007.jp

ENT>ART>Philadelphia Museum of Art Exhibition