一人芝居 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

【高山広の演技に感動した人】

一人芝居非常口

「あの人は、なんなの?」 「ふだん、一人芝居している人」 「じょうずなのねえ。旅行かばん持って、出てくところなんか、ほんとそっくり」 「アレサのことを知らなくても、楽しめたかも」 「高山さんって、けっこうイケ面だったのよ」

いろいろなご意見が飛び交うおしゃれな街六本木25時。今回の高山広さんの芝居のタイトルは、"Day Dreaming -- I’m Thinking Of You"。曲のタイトルそのままだ。謎の音楽評論家正岡吉晴が、アレサを見にはるばるニューヨークまで行くのだが、空港で飛行機が4時間遅れることになり、行くか行かないか迷うところから始まる。前日までほとんど寝ていなかった正岡は、うとうとと白昼夢(デイ・ドリーミング)を見始める、という趣向だ。

まあ、音楽評論家正岡という設定が、若干楽屋落ち的な部分もなきにしもあらずだったが(笑)、そこから夢にも思わぬ「村興し」という展開、さらに天国からルーサーが降りてきて、ルーサーからアレサへのメッセージを読むという構成には度肝を抜かれた。「夢」というところにキーワードを掘り起こした高山さんはどうも、泣かせの達人らしい。またまた、彼の演技を見ながら目頭を押さえていた方も何人もいらっしゃったようだ。

「デイ・ドリーミン」と「アイ・ドリームド・ア・ドリーム」の歌詞とその訳詞を教えてください、と言われたのは一週間ほど前。いろいろお渡ししたCDから、そこに目をつけたか、と興味津々になった。

何人の役を演じ分けたのか考えると、1)音楽評論家、2)村興しの村人、3)ルーサーが乗り移った音楽評論家ということかな。アレサ本人がでてこないところがミソか。

村興しの人の「(アレサの音楽は)言葉がわからないのに、感動する、っていうのは、相当すごい人なんじゃねえのか」というせりふは本質をついている。

「前回は、ビデオを見ると20分以上やってるんですよね~。今回はきっちり15分で終わりますから」と言っていた彼だが、終わってみるとやはり25分近くになっていた。(笑) 

高山さんから翌日メールが来た。ご本人の了承を得たので一部をご紹介する。

「昨日、そして準備期間のすべての時間あわせて本当にお疲れ様でしたm(__)m 夕べ、あの後六本木のホームで電車まちをしていたら良い感じで頬が赤らんだご婦人方数名と若い女性に「あのぉ、ソウル・サーチンに出てらっしゃった方ですよね」と声をかけて頂きました。「本当に楽しかった!」と喜んで頂けたようでした。特に年配の女性からは「ぐっときちゃって思わず…。私らぐらいの年齢になるとわかる部分があったわ」と有り難いお言葉を。

そこには、ショウ全体を心行くまで味わい尽くした心地良い疲労感と満足感に満ちたイイ顔たちがありました。その雰囲気から昨日のソウルサーチン:ザ・セッション全体の成功を確信できました。同時に、僕が理想とするライヴというものの在り方を目の当たりにすることができ、僕自身最高にハッピーな気分になれたのでした。いろいろとお気遣いありがとうございました。一言。今回もエキサイティングで楽しかった! やばい、くせになりそうです(笑) 時間延ばしたのも含め、いろいろ失礼をお許し下さい」

音楽ライヴの会場にまったく異業種・異端な一人芝居。僕はこのメルティング・ポット的なごった煮が気に入っている。あと2回「ソウル・サーチン」やったら、作品が全部で4本になって、「ソウル・サーチン:高山広の会」というのが1回出来るなあ、などと指折り数えた。(笑) 

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