「最近あなたが花を飾ってるからさ」

と夫が出張のお土産に買ってきてくれた一輪挿し。


炭黒とも茶色とも見える、
あらゆる色を閉じ込めたような渋い色合い。

もって見ると、驚くほど軽く、卵の殻を思わせるような繊細さ。

作り手の魂の波動が伝わってくる作品で、


どんな人が作ったのか興味が湧いて
調べてみました。


安斎賢太さんという作家さん。

医療機器メーカーの営業から陶芸家という、
キャリアも面白く、
インタビューを読みすすめているうちに、
ああやっぱり・・・と思ったんですね。


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僕がいまもすごく大事にしているというか、
イギリスで学んだことですけれど、
向こうの作家さんは仕事としての陶芸というよりは、
陶芸で生きて行くという感じなんです。


これはうまく言葉にできませんが、
似ているようでちょっと違っていて。

ほかと比べて個性を出そうとか、
そういうことではなくて、
本当に自分の生き方として陶芸をやっている感じなので、
意識しなくても個性的で、
お金の稼ぎ方にしてもとても健康的というふうに僕には見えました。
そういうスタイルがいいなと。


安斎賢太 インタビュー 触りたくなる器 より抜粋)

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使命を生きる時の働き方、
お金の稼ぎ方って、まさにこういうこと。


「やりたいことを仕事にしたい」


多くの人が願うこの想いが、
叶う人とそうじゃない人がいる。


また、やりたいことを仕事にできた幸運な人の中にも、


これが私の道だ、とゆるぎなく
(もちろん見えないところでは葛藤があるのは当然として)
進んでいく人と、


仕事にしたとたんに、
好きという想いが失われたり、
売れないとか、忙しいとか
事業を成り立たせることに四苦八苦して、

結局続かなかったり、苦しくなったりしている人。


が、いますよね。


その違いは、何なのか・・・

やっぱり矢印の向きなんだよなって思う。


安斎さんの言葉でいくと、

仕事としての陶芸と、
陶芸をして生きていくこと・・・


これ、宿っている動機がまったく違う。

仕事としての陶芸・・
つまり、同じ働くなら好きなことを、という発想だけだとしたら、

そもそも働きたくないけど働くなら、好きなことやりたいな、

っていう感じ? 

食べていくことが目的で、そのための手段が仕事。

そういう場合は、

どこか深い部分で、働きたくない。。。とか、

働くことは大変なこと・・・っていう意識が根付いているんだろう。



そうじゃなくて、

その仕事をして生きていこう、っていうのは、

似ているようでちょっと・・・いや、全然違うと思う。


その仕事そのものが目的、

お金を稼ぐは、その目的を果たしたうえでの結果という位置づけ。


前者と後者では、

仕事をする動機がまったく違う。


使命を生きることは、

顕在意識が追い求める欲望を超えたところにある、
魂のミッションを果たしていくこと。


魂のミッションは、

そもそも自分の利益ではなく、
利他的なエネルギーを宿しながらも

同時に、
自分にしかないものを
外に表現して生きていくことでもある、


これが真の自己実現。
本願成就ともいえるかな。
自分の神話を生きるということ。


そして天は、

エゴを手放し自己実現に向かおうとする人
自分の神話を生きる人を必ず応援してくれる。


そして不思議というか当たり前というか・・。

表面上にある夢や願望を達成するよりもはるかに
満たされた、ゆるぎない感覚が全身を貫くようになる。


「自分はこれでいい」と、
満たされた想いで生きていけるようになる。


そしてその満たされた想いに感謝し、
世界に自分を明け渡して生きていく毎日を送ることができる。


。。。

自分が本当にやりたいことが見つかったら、
そうやって生きていけるんじゃないの?って思うかもしれないけどね。


そうじゃないんだよね、
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せっかくなら自分のやりたいことをやろうと思って始めたのが陶芸でした。
でも、たまたま陶芸だっただけで、民藝運動に感動してとか、
何か陶芸に対して強い思いとか大志があったわけではないです。

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とあります。


たまたま目の前にやってきた興味がわきそうなものを、
どこまで自分のものとして手繰り寄せられるか、

どこまで自分の自己実現を果たす道具に仕立て上げられるか、

なんですよね。

夢中になれる好きなものに出会えたらいいな、って
ちょうだいちょうだいってあれこれ探していたら、
永遠にそこから抜け出せないんですね。



自分の目の前にあるもの、
まずはそれを大切にして生きていこうとしてみること。

それが、
自分の神話への最初の一歩かもしれません。


大丈夫!

インタビューにもあるように、
安斎さんも、(僭越ながらわたくしも)
どうせならやりたいことを・・からのスタートでした。


大切なのは、

どうせならやりたいことを。。。
本気でやって生きていこうって覚悟なんだと思うよ。


だから、あなたも本気になればいい。

本気で目の前を大切に、

いまここを楽しみながら、真剣に生きればいいのです。