先週 詩人の吉野弘さんが、天に召されました。
吉野さんの代表作「祝婚歌」には、
夫婦が、いや人間関係の全てがうまくいく秘密がつまっています。
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祝婚歌 吉野弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは 長持ちしないことだと
気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで 疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には 色目を使わず
ゆったりゆたかに 光を浴びているほうがいい
健康で風にふかれながら
生きているなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても 二人にはわかるのであってほしい
・・・・・・・
私がこの詩を初めて知ったのは
2001年の11月4日。 結婚式の時。
彼の上司が祝辞に代えてと 読み上げて下さったのです。
が・・・
この言葉の奥にある深い教え、
当時は今の10分の一も 理解できていなかったんじゃないかな。
愚かでいられるどころか、 立派に見られたくてたまらなくて、
自分を正当化してばっかりだったし。
そんな私を 相手が自分を理解してくれない、
愛してくれない、 望んだことをしてくれない、
くれないくれないばっかりの、
「くれない族」でしたからね。
今も全てをわかっているとは思いませんが、
一人では生きて行くことすらできない自分を知り、
そして、そのことすら知らない自分の愚かさを知り、
愚かであることを受け容れたことで、
くれない族からだいぶ足を洗えたので、
あの頃に、何もわからなかった自分がわかる。
自分のステージが一段階上がると、
前のステージにいた自分が、 見えていなかったもの、
気づいていなかったことの多さに気づくんですよね。
言葉の奥に潜んでいる 真理や叡智を受け取る量や、
起きているものやことから真実を受け取る量は、
自分の器と比例します。
そして 受け取る量が増えると、それだけ人生が豊かになる。
心も、そして現実も。
目先の私利私欲に動かされることが減り、
豊かなエネルギーが循環するようになるんです。
だから、現実を豊かにしたいならば、
何をするよりもまず、 魂を成長させ 人間としての器を 大きくすることなんですよね。
人生は自分の魂を成長させる旅。
器を大きくする旅。
旅だから、 目的地にたどり着くことではなくて、
そのプロセスそのものを楽しみましょう。
旅の目的は、楽しむこと。
愚かでいいから、 ちゃんとしていなくていいから。
・・・・・・
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で風にふかれながら
生きているなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
・・・・・・
吉野さんもこうおっしゃっています。
自分を大きく見せようとせず、
そして、器を大きくすることに四苦八苦もせず、
成長できない自分はダメだ!と 自分を責めることなく、
苦しいことも、 ショックなできごとがあっても、
人生って色んなことがあるんだなあと達観して
魂を大きくすることそのものを、 楽しみ味わいながら、
進んでいきたいですね。
吉野さんのご冥福をお祈りします。
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