「世界のほんとうの姿」を 知るための大前提

「クレムリン・メソッド」の11項目

 

http://www.kanekashi.com/blog/2016/12/5088.html

 

 

著者の北野幸伯氏は、

卒業生の半分は外交官に半分はKGBになるといわれる

「ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学」を卒業し、

 

カルムイキヤ共和国(2014年現在、

22あるロシアの自治共和国の一つ)の

大統領顧問を務め、

 

24年間に亘り

モスクワに住んでいた経歴をもつ。

 

その間に、様々な支配者達との交流を通じ、

ロシアだからこそ得られる情報を基に、

世界を表から、裏から客観的に見てきた方。

 

それをまとめたのがこれから紹介する

『「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~』です。

 

この書籍では、

「どうやって世界情勢を分析し、

未来を予測するのか?」

 

その方法や原理を、

11項目「クレムリン・メソッド」として紹介されています。

 

前回の『2016年世界情勢はこうなる!』

シリーズで、ベンジャミン・フルフォード氏の

書籍の内容を紹介しましたが、

 

内容については、

彼の見方とも共通する部分が多々あります。

 

今回『世界を動かす11の原理』シリーズでは、

前回シリーズも踏まえての補足を加えながら、

紹介していきます。

 

以下、

 

「クレムリン・メソッド」

~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)

からの紹介です。

 

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「クレムリン・メソッド」の

11項目を挙げておきます。

 

①世界の対極を知るには、

「主役」「ライバル」「準主役」の動きを見よ

 

②世界の歴史は

「覇権争奪」に繰り返しである

 

③国家にはライフサイクルがある

 

④国益とは「金儲け」と「安全の確保」である

 

⑤「エネルギー」は「平和」より重要である

 

⑥「基軸通貨」を握るものが世界を制す

 

⑦「国益」のために、

国家はあらゆる「ウソ」をつく

 

⑧世界のすべての情報は

「操作」されている

 

⑨世界の「出来事」は、

国の戦略によって「仕組まれる」

 

⑩戦争とは、

「情報戦」「経済戦」「実戦」の

三つである

 

⑪「イデオロギー」は、

国家が大衆を支配する「道具」にすぎない

 

 

●「真実」は、「言葉」ではなく

  「行動」にあらわれる

 

私は、2008年に出版した『隷属国家日本の岐路

今度は中国の天領になるのか?』のなかで、

「尖閣諸島から日中対立が起こる」ことを予想しました。

 

ご存知のように、その二年後の2010年、

事実「尖閣中国漁船衝突事件」が起こりました。

 

そして、2012年に日本が尖閣を国有化すると、

日中関係は戦後最悪になってしまいます。

 

そのことで、メルマガの会員をはじめ、多くのかたがたから、

「2010年から現在までの出来事を、なぜ予測できたのか?」と

よく質問されます。

 

実を言うと、私は難しいことは考えず、

ある「事実」を見て予想しただけだったのです。

では、その「事実」とは具体的にどんなことか?

 

アメリカが撤退したある地域、或いは

アメリカの影響力が低下した場所で、

中国は過去に何をしたか?

 

単純に、その「事実」を見てみたかったのです。

すると、何がわかったか?

 

 

①ベトナムの場合

 

34の小島からなる南シナ海・西沙諸島。

現在、ベトナム、中国、台湾が領有権を主張しています。

 

1970年代初めまで、中国が西沙諸島の北半分、

南ベトナムが南半分を実効支配していました。

 

皆さんご存知のように、

アメリカが1960年~70年代初めに掛けて、

南ベトナムを支配していました。

 

しかし、1973年に撤退します。

 

その翌年の1974年1月、中国は、

西沙諸島の南ベトナム実行支配地域に侵攻し、占領。

 

その後、どう諸島に

滑走路や通信施設を建設。

 

軍隊も常駐させ、

着々と実効支配を強化していきました。

 

 

②フィリピンの場合

 

1992年、アメリカ軍は、

フィリピン国内のスービック海軍基地、

クラーク空軍基地から撤退しました。

 

フィリピン議会が、アメリカ軍の

基地使用協定延長を拒否したからです。

アメリカ軍が去ったのを喜んだ中国。

 

1995年1月、フィリピンが

実効支配していた南沙諸島ミスチーフ環礁に

 

軍事監視施設を建設し、

そのまま居座ってしまいました。

 

中国が起こしたこの二つの事件(事実)を

日本に当てはめるとどうなるか?

 

中国は、「尖閣諸島はわが国固有の領土である!」と宣言している

(最近は、沖縄県全部が固有の領土と主張)

 

アメリカのパワーが衰えれば、

中国は尖閣を取るために

アグレッシブになっていくだろう。

 

そして、アメリカの衰えは著しいから、

日中は尖閣を巡って対立することになるだろう。

 

2008年の時点で私はこう予測し、

そのことを本に書いたのです。

 

「過去に、中国は、ベトナム、フィリピンに対し、

こういうことをした」というのは事実です。

 

私は、その事実から、

「日本にも同じことをする可能性がある」と予想、予測しただけ。

何も難しいことはありません。

 

 

●「愛」が「世界のほんとうの姿」を

    知るのを邪魔している

 

ところが、多くの人は、

そうドライに考えられません。

 

『隷属国家日本の岐路』にそのことを書いたところ、

事実、2010年に日中関係が悪化する前まで、

多くの人から様々な批判も多々寄せられました。

 

その根拠は二つです。

 

一つは、「中国は「平和的台頭」を宣言しているので、

あなたの書いているような「バカなこと」はしないはずだ」というもの。

 

こういった人達とメールでやり取りしていると、ある共通点が見つかりました。

彼らは何らかの理由で、おそらく「中国が好き」な人達だということです。

 

4000年と言われる中国の歴史と文化に、

畏敬の念を抱いているのかもしれません。

 

ひょっとしたら、職場や会社に中国人の親しい、

あるいは善良な友達や知人が居るのかもしれません。

 

もっと言えば、中国人の恋人が居たり、

中国人と結婚していたりしているのかもしれません。

 

とはいえ、「それ」と「これ」とは別問題。

「中国は『平和的台頭』を宣言しているので、

あなたの書いているような『バカなこと』はしないはずだ」

 

これは、どこまでが「事実」で、

どこまでが「中国への愛」「人間愛」に基づ

く「主観」なのかよくわかりません。

 

確かに、中国が「平和的台頭」を宣言しているのは、「事実」です。

ところが、「いっていること」と「やっていること」が異なっている。

 

こういう場合、

「言っていること」より「やっていること」を

重視しなければならない。

 

たとえば日本の政府高官が、

「消費税を上げるつもりはありません」と言った。

しかし、政府は、実際に「消費税の増税」をやった。

 

そうなったら、政府高官が

「上げるつもりはありません」と言ったことは、

何の意味もない。

 

同じように、中国が「平和的に台頭する!」と言っても、

実際にベトナム、フィリピンを攻撃していたら、

「攻撃した」という行動を重視する必要があります。

 

「世界のほんとうの姿」を知りたければ、

「言葉」よりも、「実際の行動」を重んじよ。

 

 

●いまだに「21世紀に戦争が起こらない」と

   信じ続ける「平和ボケ」日本人

 

もう一つの批判は、以下のようなものでした。

 

「いまの時代、そんなこと(中国が尖閣を侵略すること)があるわけないでしょう、あなた!」

この人は、確かな事実的根拠もなく、単に希望的に、「現代に、戦争など起こりえない」と信じているのでしょう。

 

私は、こういう人達を、「平和ボケ」と呼びます。

しかも、かなりの重症です。

 

日本人の多くが、

「第二次世界大戦後、世界は平和になった」

「人類は二度の世界大戦で数え切れないほどの教訓を学び、

戦争の悲惨さや無意味さを体験した。

 

だから、21世紀に戦争など起こらない」

などと信じているのです。

 

これは「事実」でしょうか?

それとも単なる「妄想」でしょうか?

 

もちろん「妄想」です。

では、「事実」はどうなのか?

 

 

●世界では、今も戦争状態が続いている

 

21世紀に入ってから起こった

主な戦争(内戦も含む)を列挙してみましょう。

 

①2001年~・・・アフガン戦争

②2003~2011年・・・イラク戦争

③2008年・・・ロシアvsグルジア戦争

④2011年・・・リビア戦争

⑤2014年・・・ウクライナ内線

⑥2014年・・・アメリカと同盟国による「イスラム国」空爆

 

「いまの時代、戦争なんか起こらない!」

「20世紀は戦争の時代だった。

でも21世紀は平和な時代」

 

これは「事実」でしょうか?

それとも「妄想」でしょうか?

 

私達は、ほとんど日本人しか掛らない

「平和ボケ」という重い病気を

まず徹底的に治す必要があります。

 

もちろん、それは

簡単なことではありません。

 

「戦争」を直接知らない

昭和20年(1945年)生まれの人達は、

もはや70歳になろうとしています。

 

つまり、いまの日本人のほとんどは、

生まれたときから「平和な国」で育った。

 

そのような人々が「戦争」を

イメージするのが極めて難しいのは

当たり前だからです。

 

しかし、もしあなたが

「世界のほんとうの姿」を知りたいと思うならば、

 

日本以外の世界では、

今もまだ戦争時代は続いている。

 

という材前提をまずは

認識しておく必要があります。

 

なぜなら、それは

「事実」なのですから。

 

 

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